ラブソファに、ひとり

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.09
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041101377

作品紹介・あらすじ

女、独身、35歳。25年ローンでマンションを買ったものの、自分が本当に欲しかったものは別だと気づき-。恋に落ちる瞬間のときめき、非日常の浮遊感。このうえなく贅沢に薫る、ラブストーリーの花束。当代一の名手が紡ぐ、極上恋愛短篇集。あなたもきっと、恋に一歩、踏みだしたくなる、幸せの処方箋9レシピ。

感想・レビュー・書評

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  • ラブソファに、ひとり──はさすがに寂しいよね。だから誰かと、という恋愛小説集。

    これまた軽い短編集である。
    初出のほとんどが、文庫のPRブックだったりと、お金を払わなくてもよい読み物に書かれたものだから(冒頭の「ラブソファに、ひとり」だけは書き下ろし)、すべて軽いタッチで、すんなり読みきれる。
    内容は、都会の男女の軽い恋愛模様。

    *唯一「ハート・オブ・ゴールド」だけは恋バナ感が薄い。そして、この作品が最も良い出来と思えるのは皮肉なものだ。

    でも男女の恋愛観や結婚観などをモチーフに、この短さとしては心情をうまく描写し書き切っている。
    こういう洒落た短編は石田衣良の独壇場なのかもしれない。
    まるでエッセイを読んでいるようだ。
    街の風景や料理やファッションなどもさりげなく描かれ、エッセンスとして散りばめられている。
    それでも、電車に乗りながら合間に読めるような内容なので、とりたてて「うーむ」と唸るとか、
    「さすがの表現だ!」とか感心するほどのものではない。
    毒にも薬にもならない、読み流せる短編集と言ってしまっては言いすぎか。
    もちろん、一編一編、手抜きはなく、この短さにしては話としてキラリと光る部分も随所にあるが。
    魂を揺さぶるような小説をこれに求めるのは無理というものだろう。
    もちろん、作者本人もそんなつもりでは書いてないだろうが。
    時間つぶしの一冊と言ったところか。
    やはり短編の秀逸さでは吉田修一のほうが一歩も二歩も上のように思う。
    書いている路線自体が異なるのだから、比較するのも無謀かもしれないが。

    ここのところ、新作を読んで心の底から満足できる本になかなか出合えない気がする。
    最近、発売のずいぶん前に図書館に予約を入れられるようになったおかげで、4月頃から多くの作家の新作を立て続けに読んだのにもかかわらず、満足できたのは、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇蹟」と湊かなえ「サファイヤ」有川浩「三匹のおっさん ふたたび」瀬尾まいこ「ぼくらのご飯は明日で待ってる」ぐらいかなあ。
    出版不況で、作家がとりあえず書き散らしているというわけでもあるまいが……。

  • 石田さんらしい読みやすくてお洒落で素敵なラブストーリーが詰まった短編集。
    石田さんの作品は久しぶりに読んだんですがやっぱりうまいなぁ~
    でもなんかそのうまさが少し鼻についてしまうって感じてしまうのは僕だけでしょうか?
    I.W.G.Pシリーズは結構好きだったんですがもう復活しないかなぁ(最後のほうはマンネリ気味が否めませんでしたが)
    なんやかんや言いましたがさらっと読めてなかなかよかったですよ。

  • 恋愛短編集。「ハート・オブ・ゴールド」と「リアルラブ?」はなんだか好きになれないなぁ。

  • 最近、衣良さんの方向性が若干よくわからないときもあるけど、これはなかなかほわほわと読めた。ちょっと若いなっておもうけど、それも不快じゃなかった。

  • 恋を探す男女を描いた短編集。
    さらっと読めて良いけど、あまり印象に残らない。

  • 石田衣良は好きなので新刊がでれば無条件で買うが正直に言うと私は長編の方が好き。今回の短編集もうまいし面白いが後にストーリーは残らない。ただ二点気になった文章があった。「富はただの金だけじゃなくて、社会のなかで積んでいく経験でもあるんだよ」「本を読んでいる人は、だいじょうぶ。どんなに時代が変わっても、だいじょうぶ。」この言葉は大切にしたい。

  • 色々な恋愛小説が楽しめますって言いたいところですが、だいたいは「え?ここで終わり?」って感じの尻切れトンボです。
    気に入る、共感できる主人公もいなくて「ドラゴン&フラワー」で挫折しました。

  • どこか冷めてて、でもどこか夢見がちな大人たちの短編集。
    ひとつひとつ長さや主人公の性格が違うから、毎回新鮮な気持ちで読めた。

  • 全9話+あとがき の短編集。
    何てことない誰かの日常を覗き見る感覚になり、時にまったり、時に同感したり。
    基本“恋愛”ですが、“お金”のお話もありました。
    “恋愛”だらけの短編集なので際立ちましたね。
    個人的には“匂い”で恋愛相手を求めている子のお話に自分に近しいものを感じ、ときめきました(お付き合いしている方の匂いが大好きなもので……(*/□\*)笑)
    購入したままのアンソロジーに収録されているお話がこちらに入っていて、戸惑ったのも事実です(苦笑)←自業自得です
    でもやはり衣良様の描く恋愛はいやらしくないし、本当この世のどこかでありそうで、大好きです。
    久々に恋愛小説を読み、心が潤った感覚がありました。

  • 女、独身、35歳。25年ローンでマンションを買ったものの、自分が本当に欲しかったものは別だと気づき―。恋に落ちる瞬間のときめき、非日常の浮遊感。このうえなく贅沢に薫る、ラブストーリーの花束。当代一の名手が紡ぐ、極上恋愛短篇集。あなたもきっと、恋に一歩、踏みだしたくなる、幸せの処方箋9レシピ。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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