子供は怖い夢を見る

  • KADOKAWA
3.73
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本棚登録 : 471
感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041115527

作品紹介・あらすじ

虐待の末に殺された妹を、不思議な力を持つ一族に救われた航。蘇った妹は失踪し、20年以上会えないまま。しかしある日出会った「ガオ」という青年から、生き別れた妹が成長したと思われる女性を紹介され……。

感想・レビュー・書評

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  • てっきりホラー小説だと思って読み始めましたが、ファンタジー小説でした。

    8歳の少年長谷部航は母の江里子が父と別れて生活できなくて困っているときに母が男から一枚のチラシを受取り「至恩の光教」という宗教団体に入ったことから、そこでの共同生活を強いられることになります。

    江里子はその時妊娠中で妹の満里奈を産み、満里奈は教団の子とされますが教団による事故によって死に至り、川に流されてしまいます。

    航は川に流された妹を川から引き上げ、学校でただ一人の友だちだった青い目をした段田蒼人の異能の家族のところへ連れて行き、祖父の喜蓮の不思議な能力により、生き返らせてもらいます。

    そして蒼人の母の友子に満里奈を引き取って育ててもらうことになりますが、やがて異能の家族は航の前から姿を消します。

    22年後母と縁を切って児童養護施設で育った航は、施設を出て総菜配達のアルバイト生活をしていた時にガオという中国人と出会い一緒に仕事をしないかと誘われます。

    ガオの事務所「フォーバレー企画」に弁当を配達に行くと、そこでなんと満里奈とおぼしき女性が働いていたのです。満里奈は違う名を名乗り航のことなど何も知らないといいますが…。

    ファンタジーは苦手だと思っていましたが、この物語は読みやすく抵抗なく読めました。それぞれが違う異能をもつ魔族の話が中心です。

    タルヴァガン・ウィルスというウィルスが流行しますが、現代のコロナとは全く関係ないこの作品独自の設定の疫病です。

    最後はなぜこんな残酷な結末が待っていたのかと思いきやラストの4ページに救われました。非常にカタルシスのある作品でした。面白かったです。

    • くるたんさん
      こちらでもこんばんは♪

      ラストは泣きましたね。ガオ、良い仕事をしてくれたなって。
      私もファンタジーは苦手だけど、こちらは骨太ファンタジーっ...
      こちらでもこんばんは♪

      ラストは泣きましたね。ガオ、良い仕事をしてくれたなって。
      私もファンタジーは苦手だけど、こちらは骨太ファンタジーって感じで良かったです¨̮♡
      2021/12/01
    • まことさん
      くるたんさん。
      ガオも、いい所ありましたよね。
      これは、よかったです。

      私は、図書館は、今月中で、雪のため、通えなくなると思うので、新作が...
      くるたんさん。
      ガオも、いい所ありましたよね。
      これは、よかったです。

      私は、図書館は、今月中で、雪のため、通えなくなると思うので、新作があまり読めなくなって、くるたんさんと、同じ本があまり読めなくなりますが、ブクログには来るので、よろしくお願いします♪
      いいね!をたくさん、ありがとうございます。
      2021/12/01
  • タイトルからホラー?と思ったらファンタジー!

    惣菜屋で働く主人公・航は小学二年生の時にお腹の大きくなった母親と共に父親に捨てられ家も失った。
    路頭に迷った母子は街で手渡されたチラシによって悲惨な人生を送る事になります。
    チラシは「至恩の光教」胡散臭い新興宗教のもので2人はその施設で信者達と住み始めるのですよ(*_*)
    至れり尽くせりの信者達のお世話に洗脳された母親はネグレクト、近所の人達からは気味悪がれ、学校ではイジメにあう航が可哀想。゚(゚´ω`゚)゚。
    こんな悲しい話なのか…と思ったらここからファンタジー笑
    青い目をした謎の転校生&不思議家族
    からの超能力…そして友との別れ。
    魔族そして未知のウイルスが世界に蔓延?

    こんなに盛り込んでくるとは…
    それがまた上手いこと繋がってファンタジーになってるんですよ♪
    で、この意味深なタイトルです。


    ガオ‼︎あなた最高だ‼︎
    ラストたったの4ページでハッピーエンドにしてくれてありがと〜\(//∇//)


    宇佐美まこと作品はジャンルが幅広すぎて読むまでわからないと言うね…楽しい(〃ω〃)


    • ゆーき本さん
      昔は読まなかったファンタジーも
      最近は読むようになりました( '︶' )/
      色んな本と出会うのたのしい

      GAOといえば「サヨナラ」世代です
      昔は読まなかったファンタジーも
      最近は読むようになりました( '︶' )/
      色んな本と出会うのたのしい

      GAOといえば「サヨナラ」世代です
      2023/04/24
  • たった一人の友達

    かえがたい家族

    というものに

    心を砕く姿に

    ついつい愛おしさが湧きます



    魔族の能力が

    ご都合主義になりますし

    そもそも

    タイムトラベル出来るなら。。。

    という矛盾には目をつぶって



    最後に

    小さい友を救いに行く

    そこが泣けるんですよ

    もしかしたら

    過去を変えれば

    会えないかもしれない

    でも救いたい



    違う人生になったら

    3人が友達になれる

    そんな夢がみたいなぁ

  • 子どもは怖い夢を見る。
    わずか8歳の航は赤ん坊の満里奈を助けるために川に飛び込んだ。そんな過去を男は大人になっても度々夢を見た。

    表紙を見てホラーかなと思って読んでみたら、なんとジャンル分けすればいいだろう、現代日本が舞台のダークファンタジーなミステリーだ。
    児童養護施設で育ち、商店街の惣菜屋で働いていた航はひょんなことからガオという男と知り合い、そこから航の幼少期、不思議な力を持つ人々の話などが展開されていく。
    次々と転がっていく展開に、面白くてぐいぐい読み進められた。
    これ以上はネタバレになるので具体的な内容は差し控えたい。
    ラストはこれが救いなのか、これで良かったのか。
    少し考えさせられた。ラスト以外にも、家族の形や様々なことを考えさせられる物語だった。
    宇佐美さんの作品は面白いので、また他の作品も読んでいきたい。

  • フィナーレに感謝の一冊。

    いじめ、理不尽な境遇と…子供達が経験するには実につらいテーマ。
    それをファンタジー色に巧く塗り替えられ良い塩梅で緩衝材になってこの世界を和らげてくれた気がする。

    不思議な能力を持つが故の魔族の抱える苦しみが静かに胸を打ち、さりげなく描かれる家族愛、友情には心をぐっと掴まれ、じんわり心に響く。

    そしてこのフィナーレには素直に感謝と涙。

    優しさ、温かさが一気に心の中ではじけた。

    神さまだって、これはきっと見なかったふりをしてくれたに違いない。

    宇佐美さんの描くこういう優しさひと匙の魔法が好き。

    • まことさん
      くるたんさん。
      この作品も読みました♪
      最後がよかったですよね。
      宇佐美さんの描く優しさひと匙の魔法。それも、素敵だけど、それを素敵な言葉で...
      くるたんさん。
      この作品も読みました♪
      最後がよかったですよね。
      宇佐美さんの描く優しさひと匙の魔法。それも、素敵だけど、それを素敵な言葉で、レビューに置き換えるくるたんさんの言葉づかいが、また、拝見できるのも、嬉しいな。
      2021/12/01
    • くるたんさん
      まことさん♪ありがとうございます♡

      これもつらいテーマだっただけにサプライズ的な読後感が良かったですよね¨̮♡
      これだから宇佐美さんの作品...
      まことさん♪ありがとうございます♡

      これもつらいテーマだっただけにサプライズ的な読後感が良かったですよね¨̮♡
      これだから宇佐美さんの作品は目が離せません¨̮♡
      2021/12/01
  • 宇佐美まことのこれまでの小説とはちょっと違うかな…と思いながら読み進めていく。。

    虐待児を救ってくれるのなら魔家族がいていいんじゃないかと。。

    今の世の中、どこかしらで虐待されている児童がいて貧困に苦しんでいるシングルマザーがいる。
    何の手立てもないまま亡くなる子もいる。

    だからこそ、夢物語でもいい…魔家族が救ってくれたら…と思えた。

    ホラーミステリという怖さは感じなかった。
    救いを感じ、友情を感じ、家族を考えさせられた。
    ラストが感極まる。

  • <独>
    『本の雑誌』2022年新年1月号で紹介された北上次郎さんのおススメ書評 ・・・というかとにかく面白いので読んで損はさせませんよ的な発言。これが北上さんでなければならない僕は相手にしなかった・・・ を読んで一も二もなく入手読了。宇佐美まことは一体このような独特の雰囲気を持ちながら凄く面白い物語をどうやって思いついて一冊の本にしてしまうのだろう。

    僕はしばしば思う。小説雑誌などへの連載仕事ならこんな面白い作品もまあどうにか創り出せるのかもしれないけど書き下しでこんな作品を書けるのは・・・きっと”作家さん”だからだなぁ,と当たり前の事をしみじみと思ってしまう。

    宇佐美まことは四国愛媛の生まれだと思うけど今はどちらにお住まいなのだろう。今どきは別に東京などに住まなくたって作家仕事は充分に出来るものなぁ。いやなにちょっとなにげに興味があるだけです。すまぬ。



  • 『羊は安らかに草を食み』を読んでから
    作者 宇佐美まこと さんの小説が好きで
    新しく書店で見つけると、次に読もうと
    読みたいリストに加えてます。

    作者が好き、
    且つ、表示の絵にも惹かれやっと読めました。

    ホラー&ミステリー?と想像してたのですが、
    予想とは異なり個人的感想は
    ファンタジーでありヒューマンでした。

    読み終えてラストに安堵が残る。
    心もあったかくなる、優しくて少し切ない。

    読めてよかったです。

  • ホラーの気分で読み進めたらどんどんファンタジーに!
    ファンタジーはあまり好きではないんだけど、そんなに抵抗なく読めたかな。

  • 最後のエピローグがすべて。
    宗教関係の話かと思いきや魔界要素、現代風刺も入れつつどんでん返し。最後にはちょっとしたタイムトラベル。こんなに色々入り混じってるとは。
    あっちこっちに行きつつ結局は家族とは何かを問う話だと解釈した。

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著者プロフィール

(うさみ・まこと)1957年、愛媛県生まれ。2007年、『るんびにの子供』でデビュー。2017年に『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。2020年、『ボニン浄土』で第23回大藪春彦賞候補に、『展望塔のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補に選ばれる。2021年『黒鳥の湖』がWOWOWでテレビドラマ化。著書には他に『熟れた月』『骨を弔う』『羊は安らかに草を食み』『子供は怖い夢を見る』『月の光の届く距離』『夢伝い』『ドラゴンズ・タン』などがある。

「2023年 『逆転のバラッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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