- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041116548
作品紹介・あらすじ
私の職業は小説家である。ベストセラーとは無縁だが、一応、生活はできている。そして出版業界に長年関わっていると、様々な小説家に出会う。そして彼らは、奇人変人であることが多く、またトラブルに巻き込まれる者も多い。そして私は幸福な作家というものにも出会ったことがない──。
そんな「私」が告発する、世にも不思議な小説家の世界。
感想・レビュー・書評
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変人小説家たちの七つの不思議なお話
山白朝子さんらしいゾクッと感もあり、満足な一冊です
七人ともかなりの変人で、特殊な方法で執筆する。
読んでいるとつい
「ヘェ~作家さんってこんなふうに物語を生み出すんだ」と思ってしまうが(思わない!?)、いやいやこの七人は変人ですから!
あ、【ある編集者の偏執的な恋】だけは、編集者が変人と言うべきかな。
私が好きなのは……
【小説家、逃げた】
筆が異様に速い覆面作家で、その執筆する様子!
ラストが良い
【脳内アクター】
R先生の頭の中には劇団がある。
脳内の劇団員が様々なキャラクターを演じるのだ。
最後は背筋がゾクッ
【精神感応小説家】
なんだかとても良いお話。
悲しさと怖さの感じさせ方が、さすが。
「出版社のパーティ」というのに潜入してみたい( ˊᵕˋ )
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小説家には奇人変人が多い。その奇行ゆえ、トラブルに巻き込まれることも少なくない。そしてトラブルの中には、奇譚としか言えないできごとがあったりもする。
そんな小説家の経験した奇譚を集めた連作サスペンスホラー短編集。
物語は、奇譚を蒐集・記録した「私」の視点で描かれる。
◇
O氏という小説家がいた。
20代で小説を書きはじめたO氏は、新人賞への応募作が審査員特別賞を受賞してミステリー作家としてデビューした。
O氏の作品の魅力は描写のリアリティの高さにある。例えば舞台となる学校の持つ空気、生徒たちの息遣いなど、瑞々しさや存在感が感じられるほどの表現力なのだ。
一定のファンを獲得したO氏は、以後も同じ高校を舞台にしたミステリーをシリーズ化して、執筆し続けていたのだった。
ある出版社で行われた年末のパーティで私はO氏と初めて顔を合わせた。
O氏は長身・痩せ型で色が白く、頬は不健康そうにこけている。さらに骨折した左腕を三角巾で首から吊っていた。心配する私にO氏は、慣れれば特に執筆には支障がないと言う。
その後は和やかに会話が進み、話題は執筆中の作品に移った。
O氏は学園ミステリーシリーズの新作を書いていると話したあと、照れ笑いしながら「実はこの腕、自分で折ったんです」と打ち明けた。
理由を尋ねたところ……。
( 第1話「墓場の小説家」) 全7話。
* * * * *
「小説家には変人・奇人が多い」のは昔からよく知られたことです。特に優れた作家ほどその傾向が強いと言います。
例えば『百鬼園事件帖』を読むまでもなく内田百閒の変人ぶりは有名ですし、百閒の師である夏目漱石もかなり変わったところがあったと伝わっています。
他にも、永井荷風、泉鏡花、太宰治、菊池寛と錚々たる顔ぶれが変人として挙がります。
そして私たちは、そんな文豪たちの奇行のエピソードを興味津々で読んだり聞いたりしたがるものです。
そういう点で、本作は目のつけどころがよかった。まず、そう思いました。
各話それぞれで主人公となる小説家たちは、ヒットメーカーとも言える人気作家なので、変人・奇人に違いないと期待が高まります。
そして彼らの奇行ぶりを蒐集・記録していく「私」は、作家であっても大きなヒットとは無縁の人。つまり私たちと同じく、人気作家の奇行やそれに絡むエピソードに興味津々になるのは自然な流れだと思います。( 実際、機会を狙っては彼らに話を聞きに行ったりするという大切な役回りでした。)
と無理なく作品に入っていける設定でした。
7話ともよく考えられた話で、山白さんの創作力の高さがよくわかる出来栄えでしたが、ホラーとして見ると、第4話「小説の怪人」が優れていたのではないかと思います。
第4話「小説の怪人」は、若い時分から様々な経歴とエピソードを持つ大御所作家の秘密が描かれます。さわりだけ紹介すると……。
文壇の大御所たる「X先生」の新作が出版されるや映画化が決まるなど大ヒットとなりました。けれど、そのプロットや設定に私は覚えがありました。
20年以上前、当時駆け出し作家仲間だったAさんが大切に温めていたものと同じだったのです。
Aさんが構想を作品化しないまま、作家を諦めて郷里に帰ったことを知っていた私はすぐ彼女の郷里を訪れますが、実家にはAさんの姿はありませんでした。
不吉な予感を抱いて東京に戻った私を道端で待っていたのはX先生でした。彼は私に「話がある」と言って車に乗るよう促しました。
というなかなか不穏なサスペンス調の展開です。この不穏さはどんどん大きくなっていき、ラストがまた不気味です。
その他にも、第6話「ある編集者の偏執的な恋」はミステリー要素が強い作品になっています。
内容を簡単に紹介すると……。
ある編集者が目当ての作家に対して異常なやり方で接近を図るというもので、顔色ひとつ変えずに計画を実行していくところや、目的を達したあとは何食わぬ顔で作家に接しているさまなど、本当にゾッとする内容です。
また、第7話「精神感応小説家」はオカルト要素が絡んできますが、まったくホラーではありません。これも簡単に紹介すると……。
ベトナムから技能実習生として日本へやってきたN君は、ある時「相手に触れるだけで考えていることがわかる」という能力を手に入れます。そんなN君の存在を知った編集者がN君に仕事を頼みます。
その仕事とは、ひどい交通事故で全身麻痺となった文豪J先生の頭の中にある新作を原稿に書き起こすというものでした。
J先生は意思表示が一切できないものの思考力や判断力はまったく問題ない状態だったのです。ところが文豪の国語力とN君の日本語能力に大きな隔たりがあり……。
J先生の交通事故が仕組まれたものであったり、身動きの取れないJ先生を狙う人間がいたりとサスペンス要素も楽しめるうえに、ハッピーエンドなので読後感は良好です。最終話にふさわしいと思います。
乙一さんの山白朝子バージョンは初読みですが、完成度の高い作品でとても楽しめました。1話ずつの分量もちょうどよくて読みやすかったので、オススメです。 -
「私(山白さん?)」曰く、小説家は変人が多く、どこか人格的に問題があり、上手に社会で生きられずはみだしてしまった人間らしいですw
そんな奇人変人たちの世にも不思議な世界を堪能しましたw
◆墓場の小説家
Oは小説を書くため自身をその状況、状態に置いた
学園ミステリ、恋愛小説、そしてホラー…
ホラー作品を墓地で書いていたOは…
◆小説家、逃げた
小説家Yは3年3ヶ月という短い作家人生で35冊の小説を出版した
それはYが持つ【筆が異様に速い】という特徴が成し得た技である
しかし……、
◆キ
ホラー小説新人賞で入賞したKが書いた本に動物霊が取り憑いている…
それはある理由でホラー小説が執筆できなくなった彼がとった行動が原因か!?
◆小説の怪人
ベストセラー作家Xの執筆は実は分業制!?
会話、物語、トリック、そして、作家自身も分業で割り振られていた!?
◆脳内アウター
スターシステムを利用して執筆している作家R
彼は書く登場人物たちがタルパ【化身】として見えるようになるが、それは彼の解離性同一性障害から生み出されたものだった…
◆ある編集者の偏執的な恋
小説家Dは担当編集者Uからストーリー行為を受ける
しかし、Uは編集者ではなかった…
そして、ストーカーを計画したのは…
◆精神感応小説家
事故に合い閉じこめ症候群となったJ
精神感応、いわゆるテレパシーが使えるN君の力を借りて小説の続きを執筆していく
山白さん、やっぱりいいねぇ〜♪
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白山朝子さんだぁ!
図書館にあるかチェックしよ( ー̀֊ー́)و♡
1Qさん メアリースー読み終わりました?
わたし 今日 読了しましたっ...白山朝子さんだぁ!
図書館にあるかチェックしよ( ー̀֊ー́)و♡
1Qさん メアリースー読み終わりました?
わたし 今日 読了しましたっ
そして「沈みかけの船より、愛をこめて」を予約しましたっ2023/07/20 -
ゆーき本さん、メアリースー古本屋にも図書館にも無いんでよ_| ̄|○ il||li
本棚に登録だけはして読む気満々なんですが…
図書館にリクエ...ゆーき本さん、メアリースー古本屋にも図書館にも無いんでよ_| ̄|○ il||li
本棚に登録だけはして読む気満々なんですが…
図書館にリクエストを出して取り寄せてもらおうと思います^_^2023/07/20 -
2023/07/22
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奇妙な小説家たちのお話し。
7篇の短編集。
久し振りの乙一さん、いや、山白朝子さんを堪能。
●墓場の小説家 イメージを膨らませるために彼は。
●小説家、逃げた ラストの切れ味が秀逸。ニヤリ。
●キ ゾワゾワ&少々グロ。
●小説の怪人 合理的で悪くない執筆方法ではある。
●脳内シアター 少しせつない。
●ある編集者の偏執的な恋 手が込みすぎ。無茶です。
●精神感応小説家 ベトナム青年奮闘す。
どれもおもしろかった。読みやすい。
しかし際立った作品はなかったように感じた。
一塁打、二塁打はあるものの三塁打やホームランはない。
それでも7篇すべてをヒット以上に仕上げる力量はさすがだと思います。
読んで損なし!
中でもどうしても1篇選ぶなら「キ」かなぁ? 後味は悪いけど。
精神を矯正されてしまった作家の歪み。書くためにとったその方法は……。
その後に、いつか必ず起こるであろう悲劇を想起してしまう恐ろしさ。
正しさを疑わずに集団で行う暴力なんて反吐がでる。
さあ、図書館本の消化が終わったから、いよいよ京極さんの新作「鵺の碑」にいこうかなっと♪-
2023/11/03
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2023/11/03
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2023/11/03
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あ〜面白かったε- (´ー`*)
山白朝子が7人の小説家や編集者との会話形式で
奇妙な体験談を語るという7つのお話。
なかには作風や容姿など〝あの人をイメージした?“
なんて作家もいたりして笑
切ない話もあればゾワっとする話もあり、山白名義の本らしくグロさは少なめだけどゾワゾワしつつ結末が気になる話ばかりでした。
「ある編集者の偏執的な恋」では女性編集者がストーカー化していくのがミザリーを彷彿とさせるサイコスリラーで結末に思わず〝上手い!上手ぎ!!“
と感心しきり♪
「精神感応小説家」は最悪のパターンにいくか?ウルっとハッピーエンドにいくか?黒乙?中田?
とワクワク♪どんな結末でもこの人らしいと思えるその凄さに感服(* ´ ェ `*)
七人七様の小説家…
たくさんの名義を持つ乙一の七つの顔という気がして「実は全て僕のお話でした…」と言われても何の不思議もない一冊とわたしは感じた。
やっぱりこの人天才だわ〜♪
赤青黄桃黒…
ゴレンジャーか!!(●︎´艸`)ムフフ
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2023/08/09
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わたしも読み終わりました〜´▽`)ノ
レビューは土曜日ゆっくりあげます。
作家さんってホントにみんな こんな変態なのか…笑わたしも読み終わりました〜´▽`)ノ
レビューは土曜日ゆっくりあげます。
作家さんってホントにみんな こんな変態なのか…笑2023/08/10 -
2023/08/10
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小説家には変人が多い。
こ〜んな出だしから始まる7人の変人小説家達のお話。
「私」が告発する世にも不思議な小説家の世界。
どうやって作品が生まれるのか、小説家の執筆にまつわる7つの短編集♪
作家さんてすごいな〜。
なんでこんな構想練れるんだろう?ってよく感じたりする。
ずっと小説を生み続けるってほんとに大変な事だよな〜って思う。
なのでこれはフィクションだけど、実はちゃんとモデルもいるほんとの話なんだよと言われても全然不思議じゃないかも、、笑
山白朝子さん名義だけど、そこまで奇妙な感じや怖さはなくてソフトだったかな??
でも7話とも面白かった〜!
個人的には「小説家、逃げた」と「脳内アクター」が特に好きでした\♡︎/-
mihiroさーん♪
読まれたんですね^_^
この本を読んでいるとほんとにモデルもいる話かも…、って思っちゃいますね
モデルは山白さん?乙一...mihiroさーん♪
読まれたんですね^_^
この本を読んでいるとほんとにモデルもいる話かも…、って思っちゃいますね
モデルは山白さん?乙一さん?中田さん?なんてねw2023/10/04 -
1Qさ〜ん、やっと回ってきて読めました〜(σ´з`)σ
面白かったですね!!
ほんともしかしてあの人をモデルに書いてるのかな?って話もありま...1Qさ〜ん、やっと回ってきて読めました〜(σ´з`)σ
面白かったですね!!
ほんともしかしてあの人をモデルに書いてるのかな?って話もありましたよね〜!
でも実際は、山白さん、乙一さん、中田さん、、全部自分の事だったりするかもですね〜笑笑2023/10/05
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「小説家には変人が多い。それはなぜだろう。まともな頭の人は、小説を書こうなどとは思わないのかもしれない。」
もう出だしからワクワクです。
小説の世界観と 現実の世界。その境界が曖昧になった変人作家たちの7つの奇妙な物語。
【墓場の小説家】
骨折した主人公の痛みを知る為に、自分の腕を奥さんの運転する車で轢かせるO。さすが変人。
「日常と作品世界の境界を曖昧にして、執筆モードに頭を切り替える」死体発見の場面を書く時は、部屋に血のりをまく。学園ミステリーを書くために、高校の裏に家を買い、双眼鏡で校舎を覗く。そして、ホラー小説を書くためは 深夜 墓場にパソコンを持っていき………。次第にOはやつれていく。
【キ】
「とある小説を古本屋で買ったら、家の中で動物が歩き回っている気配がする。ペットなんて飼っていないのに」「書店で小説を買ったら、夜中に部屋で猫の鳴き声がする。我が家はペット禁止のアパートです」 どうやら霊障の原因となった本は 作家Kが執筆したファンタジー小説らしい。なぜKの小説に動物の霊が取り憑いたのか。それはKが執筆のために行っていたある儀式が………。
「作品の創造とは、美を追求する行為。常軌を逸した者たちが、美を追求するあまり、破滅へと向かってしまう。」
面白いものを書く。そのためには生活を犠牲にしてもいい。精神が病んでもいい。いや、傑作を追求した結果 気がついたらそうなっていたのか?とにかく、作品を創るって頭のネジが外れてないとダメなのでしょうか。
奇妙で不幸なお話も面白いけど、幸せな結末のお話もこれまた面白い!
【精神感応小説家】
貧しい村で生まれ育ったベトナム人の青年N。
Nは触れた人の心が読める。技能実習生として日本にきたNが出会ったのは、事故で閉じ込め症候群となった作家J。 Jの書きかけの小説を N青年の力を使い完成させようとするお話。
わたしが1番 好きなのは
【小説家、逃げた】
あぁ、これはなんか上手く説明できないなぁ。
でも終わり方がすごくすき!!!この「すき」を伝えようとしたら全部言っちゃいそうだから、なんも書けません笑
ところで、
作家さんに変わった人が多いのはこの小説でわかりましたが(?)、読む側のブクログレビュアーさんたちはどうなんでしょ?もしかして 7人集めて ひとつの小説ができたりして、、、、
(‘v’*)ナンテネ-
うん。
突然人がぷっつりと来なくなることはたまにあって。
でもできることなんか心配するくらいしかなくて。
だから真っ当に心配しておきましょう...うん。
突然人がぷっつりと来なくなることはたまにあって。
でもできることなんか心配するくらいしかなくて。
だから真っ当に心配しておきましょう!
あ、もし俺が来なくなったら心配いらんよ。忘れてね。
(/・ω・(-ω-)
2023/08/13 -
2023/08/13
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2023/08/13
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〈小説家には変人が多い。〉
刺激的な一文から始まる、小説家たちのもとで起こった7つの不思議な短編。
小説家のはしくれと名乗る語り手(山白朝子?)が取材するかたちで、ぽつぽつと綴られていくそれらの物語には、なぜだかフィクションとも言い切れないような奇妙なリアリティを覚える。
やはり小説好きとしては「こんなことがもしも実際にあったら!」という空想が否応なしに膨らんでしまって、ストーリーはもちろん、その作用もとても面白かった。
ちなみに私がいちばん好きなのは『ある編集者の偏執的な恋』。熱意と狂気のあんばいが、とってもキュートに感じられた。(現実にあったら怖すぎるけど……) -
小説家が語る、奇妙で不思議な小説家たちのエピソードがつづられた短編集。
どちらかというと作者名義らしくホラー味の強い作品群が多いのですが、後味の悪さはそれほどでもありません。没入型作家の「あるある」を極端にデフォルメしたような、面白おかしさが強い感覚でした。冒頭の一文からして「小説家には変人が多い」。そういう前提のお話なので、極端な設定から意外性あるオチをさっくりと楽しめます。
独特の余韻を感じたのは「精神感応小説家」でした。ベトナム人労働者と事故に遭った小説家の大家の不可思議な交流と事件の展開が小気味よく、温かみのあるお話でとても好きな一作です。
ちょっと切ないですよね〜
土瓶さん「キ」は気持ち悪かったです(TдT)
ちょっと切ないですよね〜
土瓶さん「キ」は気持ち悪かったです(TдT)
人気ありますね〜^_^
パーティ、やっぱり気になるでしょ?
そこに出席する山白朝子さんは、どの...
人気ありますね〜^_^
パーティ、やっぱり気になるでしょ?
そこに出席する山白朝子さんは、どの人格で振る舞うのかなぁ…
もちろん、山白さんか(笑)