偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1079
感想 : 82
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041118764

作品紹介・あらすじ

老老詐欺グループを仕切っていた光代は、メンバーに金を持ち逃げされたうえ、『黙っていてほしければ、一千万円を用意しろ』と書かれた脅迫状を受け取る。要求額を用立てるために危険な橋を渡った帰り道、へらへらした警察官に声をかけられ――。第71回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作「偽りの春」をはじめ、“落としの狩野”と呼ばれた元刑事の狩野雷太が5人の容疑者と対峙する、心を揺さぶるミステリ短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 街のお巡りさんが大活躍! 緊張感のある中で繰り広げられる犯人とお巡りさんの対決がスゴイ #偽りの春

    交番のおまわりさんが、ほんの少し糸口から犯人の犯罪を暴いていく倒叙ミステリー、全五編からなる短編集。何気ないどうしたんですか?という問いかけから、みるみる犯人を追い詰めていく様は超怖いっ

    コロンボ、古畑任三郎シリーズの倒叙モノのミステリーです。
    これまでの倒叙モノよりも、かなり人情派の話ばかりで、犯人側の描写がとてもよく描かれています。犯人の性格に戦慄したり、思わずほろりときたり、また共感できたりするので、ミステリーでなくとも読み物としても良作だと思いました。

    また文章も丁寧で上手で、短編ながら読みごたえがある内容。ストーリーも工夫をされていて、一癖二癖ある設定や展開になっていますね。

    本作のメインどころは、やはりお巡りさんの鋭い推理でしょう。犯罪者が狡猾にひた隠しにしたい悪行を、するすると見事に解き明かしていきます。犯人もこんな優秀な警察官に出会ってしまって運がなかったですね…

    本作の少し残念な点としては、できればもっとお巡りさんの出番や描写があっても良かったかなと思いました。性格や過去の背景、好きなものや趣味などの情報、犯人を追い込むシーンなど、もうちょっとボリュームがあってもよかったかな。

    今後もシリーズ化できる作品だと思うので、ぜひ期待したいです!

  • 評判を聞いて読んでみた。
    五つの連作短編集で、全てが犯人視点で進んでいく。
    へらへらしてるのに洞察力が半端ではない狩野が魅力的過ぎた
    会話しているだけで、常に首元にナイフを突きつけられているかのような感覚(作中にも出てきた表現)が、下手なこと言ったら全て暴かれてしまいそうな感じが痺れた。
    そのような評判は聞いていたので、まさにその通りだなと思いました。
    それでいてどんでん返しが一話一話の中にあったり、進んでいく中で狩野の過去について少しずつ明らかになったりと、とにかく読んでいて面白い要素が多かったです。
    次作と早く読みたい!

    • まいしさん
      ちゅびさんおすすめとのことで私も読んでみました!
      ちゅびさんおすすめとのことで私も読んでみました!
      2024/03/20
  • 面白かった!決してサイコパスではなく、普通に常識ある一般人寄りの犯人視点で進んでいくので、狩野雷太に追い詰められる時のハラハラ感がすごい。全話卒なく面白いけど、私は「偽りの春」と「見知らぬ親友」の2つが好きだったな。

    • ちゅびさん
      あなたの正欲は私を狂わせる。
      あなたの正欲は私を狂わせる。
      2024/03/20
  • チャラチャラして軽いような交番勤務の人は注意が必要だ!
    犯罪者になったら、こんな状態になるんだろうか?というハラハラした心境も味わえます。

  • YouTube「ほんタメ」で紹介されていた一冊です。

    表紙のデザインが秀逸というか、
    不穏な気持ちにさせられます。
    その印象通り、
    本書は犯罪を犯した犯人目線で物語は展開し、
    突然、町のお巡りさんである狩野に出会います。

    読者としては犯罪を知っているだけに、
    ひょうひょうと現れる狩野さんに緊張するし、
    退路や逃げ道をふさがれていくような息苦しさに
    どきどきしました。苦笑
    読んでて古畑任三郎を思い出しました。苦笑

    登場する犯人も、
    決して完璧なサイコパスというわけでなく、
    焦ったり平静を装ったり、
    読んでるこっちまで不安になりました。苦笑

    通勤で読みましたが、一気読みでした。
    個人的には「見知らぬ親友」が好きです。

    シリーズ続編が出てるんですよね。
    読みたい…
    けどハードカバーサイズは持ち運びもお値段も辛い…
    文庫になるのを待ちたいです。

  • 短編集。
    犯人主体で物語が進み、突然無関係に現れたかのように見える交番の警察官・狩野が鮮やかに真相を暴く。
    そんな馬鹿なっていう感じもするが、妙な説得力はある。
    終盤、狩野の過去にかかわる事件が出てくるが、正直、「犯人」の気持ちがあまり理解できなかったことが残念。
    いくら芸術家といえど、そりゃあないんじゃない?としか凡人には思えず。
    もうちょっと白黒はっきりさせやすい終わり方にして欲しかった。
    続編もいつでも書けそうなので期待したい。

  • 犯人目線で進む古畑任三郎スタイルです。捜査一課とか刑事ではなく、おまわりさんが事件解決って珍しいパターンだなと思いました。

    ヘラヘラした軽い感じのおまわりさんがかなりキレ者でネチネチ問い詰めてくるのが癖になります!ドキドキしました。

    このシリーズは長編もあるようなので、そちらも読んでみたいです。

  • ちょっとした仕草から犯人を追い詰めていく倒叙ミステリ。
    狩野さんの観察力と推理力に脱帽。追い詰めてられていく犯人たちが可哀想になってきます。
    短編で読みやすく、特に最後にの二作品が良かったです。
    ちょっとした日常が、ゾクゾクする物語に変わっていく様が読み応えばっちりです。

    • マメムさん
      初コメです。
      『追い詰められていく犯人たちが可哀想』の感想に興味が湧きました。狩野さんの『圧』を感じてみたいです^_^
      初コメです。
      『追い詰められていく犯人たちが可哀想』の感想に興味が湧きました。狩野さんの『圧』を感じてみたいです^_^
      2023/06/11
  • 表紙のお巡りさん なんだか悪人に見えて、帯の「このお巡りさんから 逃げられない」って書いてるのがまた……

    っと 悪いお巡りさんの話と思いきや!ちゃらんぽらんな(感じ)の狩野が 犯人を追い詰めて行く5話の連作集。

    「鎖された赤」監禁モノでちょっと…な部分があったけど 見事過ぎるどんでん返し♪ 犯人との心理戦 も見事。

    「偽りの春」老々 詐欺! 詐欺で生活を支えてきた女が 最後に 手する事が出来なかった幸せに執着した結果……

    そして 、刑事に戻れ。っと言われる程 優秀な狩野が犯した過去の罪とは? 連作集の中にも 今後の展開が期待出来る内容でした♪

    • なおなおさん
      ごりさん、はじめまして。
      表紙のお巡りさんが悪人に見える、というのがウケました。にやっと笑う人相悪い人に見えます^^;
      ちゃんとしたお巡りさ...
      ごりさん、はじめまして。
      表紙のお巡りさんが悪人に見える、というのがウケました。にやっと笑う人相悪い人に見えます^^;
      ちゃんとしたお巡りさんのようで安心しました^^;
      2024/02/03
    • ごりさん
      なおなおさん
      はじめまして♪

      いつもイイねありがとうございます♪

      なおなおさん の本棚や感想コメントで勝手に 読みたい本 の参考にしたり...
      なおなおさん
      はじめまして♪

      いつもイイねありがとうございます♪

      なおなおさん の本棚や感想コメントで勝手に 読みたい本 の参考にしたり、読書のモチベーションにさせてもらってます
      >^_^<
      2024/02/03
  • 面白かった!『すみれ屋敷の殺人』に続き、読ませる作家さんだなぁと思う。自分の予想とは違う着地に驚きつつも、最後にはなるほどと思わせる説得力がある。

    特に〝鎖された赤〟が強く印象に残った。

    シリーズで長編が出ているようなので、そちらも読みたい。

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著者プロフィール

(ふるた・てん)プロット担当の萩野瑛(はぎの・えい)と執筆担当の鮎川颯(あゆかわ・そう)による作家ユニット。少女小説作家として活躍後、「女王はかえらない」で第13回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、同名義でのデビューを果たす。「小説 野性時代」掲載の「偽りの春」で第71回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。同作を収録した短編集『偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理』を2019年に刊行した。他の著書に『匿名交叉』(文庫化に際して『彼女は戻らない』に改題)『すみれ屋敷の罪人』がある。

「2021年 『朝と夕の犯罪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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