殺人者の白い檻

著者 :
  • KADOKAWA
3.21
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本棚登録 : 405
感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041123591

作品紹介・あらすじ

刑務所のすぐ隣という、特殊な環境に立地する総合病院に勤務する腕の良い脳外科医の尾木敦也。彼は五年前に父母を強盗に殺害されて以来、精神的に不安定になり深刻なスランプに陥っていた。そんなある日、刑務所からクモ膜下出血で搬送されてきた「スペ患」の執刀を、院長命令で担当することになる。緊急開頭手術で命を救うことはできたものの、スペ患の正体が両親の命を奪った死刑囚・定永宗吾だったことを知り、尾木は懊悩と悔恨の迷路に彷徨い込む。そして定永は、逮捕と死刑の判決以降も自身の犯行を一貫して否認していた。術後のリハビリを通して、尾木と妹の看護師・菜々穂は、定永という人間と五年前の事件に、改めて向き合うことになるのだが……。

憎き犯罪者と医師は、どう向き合えば良いのか? 犯罪者の生命は軽いのか、あるいは全ての人間と等しく重いものなのか? 事件の真実と真相はどこにあるのか? 死刑の意義、犯罪更生の理非、医師の倫理、それぞれの命題を通して生命の「軽重」の問いを突きつける、究極の医療ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。。

    長岡さんの作品は初読。
    なんだろう この読後感。
    ミステリー 犯人は中盤ですぐに分った。
    最後 やたら引っ張るなぁ と思っていたら、、、
    最後の一行にやられた。
    こんなに最後の最後にやられたのは、東野圭吾さん以来かも。
    そして読後感がよい。
    読んでよかったです~。

    • aoi-soraさん
      いるかさん、こんばんは♪
      ページを捲る手が止まらなくなるタイプの本よね〜
      ザラザラした気持ちで読み終わるより、ラストが良いのは私も好き^⁠_...
      いるかさん、こんばんは♪
      ページを捲る手が止まらなくなるタイプの本よね〜
      ザラザラした気持ちで読み終わるより、ラストが良いのは私も好き^⁠_⁠^
      「読んでよかった」って嬉しいです♪
      2023/10/16
    • いるかさん
      aoi-soraさん  おはようございます。

      読みやすくって、少しでもあいた時間に読んでしまいました。
      あれっ 犯人が分ったぞってな...
      aoi-soraさん  おはようございます。

      読みやすくって、少しでもあいた時間に読んでしまいました。
      あれっ 犯人が分ったぞってなってから、どうなる??って、ずっと心配しながら読み続け、結局ラストで、、、
      完全にやられたって感じでした。
      とっても面白かったです。
      aoi-soraさんのおかげです。
      ありがとうございました。。
      2023/10/17
  • 尾木敦也45歳は明浄会Y病院に勤める脳外科医です。
    同じ病院で妹の菜々穂も看護師として働いています。
    菜々穂は理学療法士の村主叡輔と交際中です。

    尾木兄妹は六年前に両親を窃盗に家に入った定永宗吾により殺されたとされています。
    その定永が敦也の元にくも膜下出血で隣りの刑務所から運ばれてきます。

    敦也は手術台の前では親を殺された男としてではなく一人の脳外科医としてオペを成功させます。
    しかし定永はリハビリをしなければ右手を動かすことができない状態でした。
    定永はリハビリを拒みます。
    死刑囚は体調が万全でなければ処刑されることはないのです。

    敦也はなんとか、定永にリハビリをさせようとして定永の好きな絵画の道具を買って病室に置きます。
    絵を描くにはリハビリをして右手を動かせるようにしなければならないと考えると思ったのです。

    そんな時、定永の目の明暗の順応力に問題があったことが発覚し殺人はできなかったのではないかという冤罪説が浮上します。

    この作品は、脳外科医の敦也が定永は冤罪かそうでないか、真犯人は果たして誰なのか、真犯人をどうやって見つけるのかという、ヒューマンミステリーだと思います。

    そして、すべてがわかった最後の時、敦也がどういう行動をとるのか…。
    一番最後に、敦也がとった行動は泣かせます。

  • 初読みの作家さんです。
    まことさんのレビューから読みたいと思い、順調待ちしていました。

    読み始めてすぐに引き込まれ、先へ先へと急ぎたくなるストーリー展開。
    脳外科医の尾木敦也と、妹で看護師の菜々穂は、同じ病院に勤務している。
    二人の距離感にちょっと戸惑いを感じたが、6年前に両親を失う事件があったので、同じ悲しみを持つ者同士なのでしょう。

    クモ膜下出血で運び込まれた患者は、冤罪を主張する死刑囚。
    執刀するのは、主人公の尾木敦也。
    手術後のリハビリ担当である理学療法士の村主と共に、無言のまま目をギラギラさせ、リハビリに打ち込む死刑囚。
    この様子はなんとも不気味で恐ろしい。

    読み進めるうちに次々と見えてくる真実。
    そしてラスト!
    様々な問いを投げかけてくる作品でした。

    • aoi-soraさん
      スイスイ読める文章で、読み始めたら止まらないよ^⁠_⁠^
      スイスイ読める文章で、読み始めたら止まらないよ^⁠_⁠^
      2023/02/28
    • まことさん
      aoi-soraさん。こんにちは♪

      順番待ちして、読んでくださり、ありがとうございます!
      だけど、私、自分のレビューも読み直したけど、スト...
      aoi-soraさん。こんにちは♪

      順番待ちして、読んでくださり、ありがとうございます!
      だけど、私、自分のレビューも読み直したけど、ストーリーを曖昧にネタバレしないように、書いたせいか、最初思い出せなかったのです。他の方のレビューを拝見してたら、なんとなく、思い出しました。
      ネタバレなしで、書くのも良し悪しですね。他の方にとっては、ネタバレはない方が絶対いいと思いますが。

      でも、aoi-soraさんが、楽しまれたようで、よかったです。
      2023/02/28
    • aoi-soraさん
      まことさん、コメントありがとうございます♪

      分かります
      自分の感想読み返しても、思い出せないことありますよね(^.^;

      ミステリなだけで...
      まことさん、コメントありがとうございます♪

      分かります
      自分の感想読み返しても、思い出せないことありますよね(^.^;

      ミステリなだけでなく、興味深いテーマでした。
      ありがとうございます❣
      2023/02/28
  • 刑務所から運ばれてきた急患は、両親を殺害した死刑囚。
    手術後もこの喋らない死刑囚とリハビリを通して向き合うことにより、真実が明らかになる。
    再び、メスを握ったとき…。

    久しぶりにページを捲る勢いが止まらなかった。
    医師でなくても決断を迫られることはあるが、命においては、医師ほど課せられるものが多い職業はないのではと思った。

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    ドキドキ
    閉じられない
    しなければならないことあるのに~
    早く寝なくっちゃ~

    死刑囚の命を救う
    複雑だねえ

    脳手術の微細な描写にドキドキ

    そしているかさんのおっしゃるように
    ラストの一行にガツーン!

    読んでよかったです

    ≪ 真実は? 医師の務めを 突き進む ≫ 

  •  いやぁ、これは参った!もし、仮に自分が医者だったとして、両親を殺した人物の治療ができるだろうか?医者としての自分をとるのか、被害者遺族としての自分をとるのか。大いに悩ましいところだ。

     優秀な脳外科医の尾木敦也は、両親を殺され、医者としての可能性を憂い、しばらく休業していた。院長からどうしても手術をして欲しい患者がいると言われオペをすることになったが、途中で両親を殺した死刑囚の定永であることがわかった・・・。

     ブラックに限りなく近いグレーの死刑囚、定永のリハビリを行なっていくうちに、ホワイトに近くなっていくグレー。果たして定永は本当に犯人なのだろうか。

     誰もが疑問に感じ始めた時、新たな犯人像が浮かんできて・・・。

     テーマ良かったわりに、全体的に軽い印象なのが残念。ただラストは良かった。


  • 隣から移送される特別な患者の手術や
    治療にあたる脳外科医の主人公と
    同じ病院で看護師として働く妹。

    ここまででも、既に変わった設定だなと
    思いながら読み出しましたが未だこれでは
    終わらず、隣は刑務所の拘置所で移送されて
    来る患者は服役囚。

    かつ、主人公の両親は殺害されている上に
    手術を担当した患者がその関係者。

    入り組んだ設定ではないけれど、
    こんな偶然があるの?と言いたくなる程
    特殊で濃密な関係性の中で、主人公が
    人としての感情と医師としての倫理観に
    悩み迷い、葛藤しながら命と向き合う物語。

    理性や意思について考えさせられる小説でした。

  • 真犯人は想像つきながらも、最後まで気になって見逃せなかった。

    ミステリー系の推理の工程が苦手に感じてたけど、この作品は最後まで楽しく読めました。

  • 短編の名手長岡弘樹さんによる長編医療ミステリ。

    長岡さんの連作短編の面白さに味をしめている読者にとってこの長編はどこか薄味というか、間伸びした感じがする。
    明暗順応とか手の記憶とか福島弁とか、散りばめられた要素は面白く、連作短編にしたら面白くなるんだろうけど、長編になると途端に平板で盛り上がりに欠け、とっ散らかった印象になる。

    主人公の医師が休職するまでに至った悩みが描き切れていないから、最後に選んだ答えの感動も少なめで残念。
    やっぱり長岡さんはキレのいい連作短編読みたいです。

  • 死刑囚とその命を助けた医者、そしてその因縁、確かに興味深い。

    しかし、読み進めていくうちに、だんだん明らかになる真相と疑問。
    少しご都合主義的なストーリーだったが、それでも一気にやめられすに読む。
    そして、結末は余韻というのだろうか・・・

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著者プロフィール

1969年山形県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒業。2003年「真夏の車」で小説推理新人賞を受賞し、05年『陽だまりの偽り』でデビュー。08年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。13年刊行の『教場』は「週刊文春ミステリーベスト10」の1位、「本屋大賞」6位などベストセラーとなった。他の著書に『線の波紋』『波形の声』『群青のタンデム』がある。

「2022年 『殺人者の白い檻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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