いるいないみらい (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 678
感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041124444

作品紹介・あらすじ

いつかは欲しい、でもいつなのかわからない……夫婦生活に満足していた知佳。しかし妹の出産を機に、夫に変化が――「1DKとメロンパン」。毎日を懸命に生きる全ての人へ、手を差し伸べてくれる5つの物語

感想・レビュー・書評

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  • 子供が欲しい、欲しくない、それによって夫婦の考え方も変わってくる。
    それに正解も無くて、それに夫婦が悩んでいく所がリアルな感じがしました。

    僕もまだ子供がいなくて、夫婦で妊活をしていてこの小説を読んで、それぞれの物語がズシンと来て凄く参考になりました。

  • 2024.4.14
    子どもが欲しい、欲しくない、まだ考えられないと言った内容でぶつかったり悩む夫婦たちの短編集。
    子どもの話はとてもデリケートだし、夫婦だとしても丁寧に話していかないと難しい内容。
    この本に出てくる夫婦がみんな優しく寄り添ってくれる人たちばかりで、こういう話もちゃんと真剣に考えられる人とだったらどんな未来でも安心できるなと思う。
    子どもがいる未来、いない未来、どちらを選んでも幸せであれば良い。

    “欲しいと思ったものが手に入らないこともあるの。手に入らなくても欲しい、欲しい、って手を伸ばすのが人間だもの。だけど、すでに持っているものの幸せに気づかないことも、時にはあるわね。”

  • 自分のこれからの生き方を考え直すいい機会になった。
    大体こんな感じになるんやろうな〜と思っていた人生じゃなくても良くて、選択肢はたくさんあって、その選択肢を一緒に選びたいと思える人と一緒に生きていきたいと思った。
    どうしても人と比べてしまいがちだけど、人生に正解はない。
    人に自分が正解だと思い込んでいることを押し付けるのはお門違い。

  • 読みやすいけど、1つ読み終える毎に余韻に浸ってしまう。家族の在り方、幸せとはなにか、そんなことを思いながら読んだ。

  • 子供がいる未来か、いない未来か。
    手探りで選択しつつある夫婦の形。
    5編の家族。

    解説は渡辺ペコさん。渡辺さんのコミックも「1122」「にこたま」等、いつも夫婦の形を考えさせる素敵な作品が多い。
    窪さんと渡辺さんは、テーマが似ているのかなと思う。
    “子を生す、持つ”
    “家族を作る”
    ご自身も答えを探しながら書いている。
    しかも まだ納得も理解もしていないとのこと。

    短編ですが、5編とも、子供を持つことに対してしっかり考える。子供だけが、人生の糧でないことも考える。すれ違う気持ちも大切にする。
    そして、それぞれの家族のみらいを読者に委ねる。
    ただね、こんなに考えちゃったら、家族を持つ事が不安になってしまいそうではあるねえ。

  • いるいないみらい。それは子どもがいる未来、いない未来で。未曾有の少子高齢化時代とはいえ、なんだか息苦しさがそこにあった。子どもがいるのがえらいのか、子どもがいないことがみじめなのか。検査の技術が向上して、妊娠するための手段が増えて、情報は山ほどてんこ盛りで、焦るのは女性ばかり。結局は夫婦の問題で、ちゃんと話し合え。と、ただただそれにつきるのだが、幸せになるために結婚をしたはずなのに「子ども」が原因でぎくしゃくするのはナンセンスだし、子どもがいれば幸せになれるとも限らないわけで。なんだろうな世知辛いな。と。

  • 結婚するかどうか。子どもをもつかどうか。
    家族のあり方というテーマを扱った短編集。

    私は2人の子を授かったが、1人目のときは治療を受けた上での妊娠だった。
    夫と「子どもは2人がいいね」なんて会話していたから、子どもを授かれないかもしれないと知ったときはとても絶望したし、子どもがほしいという夫の希望を叶えるには離婚すべきか?と悩むこともあった。
    結果として授かることができたのだけれど、仮にそうでなかったとしても、話し合いの末、夫から「そのときには猫でも飼おう」と言ってもらえて嬉しかったことを覚えている。

    "家族のあり方"というのは簡単だけれど、それは答えのない難しい問題だと思う。

  • 子どもがいる未来といない未来、妊活するかしないか、さらには、養子縁組みするかしないか、いろんな家族の形がある中で悩んだり支えあったりする人たちを描く短編集。夫婦のあり方、家族のあり方を考えさせられる。

    妊活がうまくいかないときに、どちらかが傷ついたり夫婦関係がギクシャクしたりすること、子どもが嫌いでも、堂々とそれを言うことは憚られる社会の空気、職場で産休・育休を取る人がいると、その周辺に業務負担がかかりがちだが、それについて不満を言えない会社の雰囲気、
    SNSでやたらと子どもの写真をアップする親も多いが、それにより静かに傷つく人もいることなど、共感することしきり。
    そんな微妙な問題を描きながらも、それを乗り越えるのもまた家族の力だと感じさせてくれる窪美澄さんのストーリーが絶妙。

  • 子を持つ持たないについて考えさせられる。
    意見が合わないときや思うようにいかなかったときに、パートナーと歩み寄ったり話し合ったりできることが何よりも大切ということを改めて思った。

  • 本屋さんで文庫に目が止まり、あらすじを読んで興味を引かれ購入。

    心に残ったのは、私は子どもが大嫌い。嫌いと言いつつ、子どものことが、みくちゃんのことが気になってしまう主人公。
    みくちゃん、どうなっちゃうのかな。先が気になるお話でした。

    読んでて辛い…ってなったのは無花果のレジデンス。もし自分が原因の不妊だとしたら…と考えるとあまりにも辛かった。自分が積極的に子どもを欲しがっていた訳じゃないけれども、落ち込んでしまう主人公の姿に同情した。奥さんの立場からしたら休もうか?ってしか言えないけれども、主人公の立場に立つとその言葉は無くない??気を遣ってるつもり???って腹を立ててしまう不思議。〆で素直になった主人公を見れてよかった。

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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