火狩りの王 〈三〉牙ノ火 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041128909

作品紹介・あらすじ

天然の火を手に、ついに結界を破り首都に侵入した〈蜘蛛〉。彼らの侵攻に人々が恐怖する中、煌四は自がら開発した雷火による武器が〈蜘蛛〉を殺戮する様を目の当たりにする。一方、燠火家の一人娘・綺羅にも、ひそかに神族の魔の手が迫っていた。そしてついに、千年彗星〈揺るる火〉が帰還する。

感想・レビュー・書評

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  • いよいよ後半戦。
    しかし、重い展開が続く、続く。
    超人的なシーンが続きすぎて、もはや、火狩りの特性が見えないんだけど(笑)

    神族と人間の関係性って何なんだろう。
    簡単に人間の中身を作り変えてしまえるくせに、人間がいなければ世界を成り立たせ続けられない、神の氏族たち。

    作り変えられたのは、蜘蛛も木々人も同じ。
    呪われた人たちの怨嗟の声が、終始付きまとう三巻だった。
    そして、そんな地獄を見つめる〈揺るる火〉の選択を待つ。

  • ついに2人の歩みが重なる、第3巻

  • 〈千年彗星〉って本当に存在したのか。
    この物語、妙にSF的な部分もあるので
    なんらかのガジェットの比喩かと思ってたのに
    実体のある存在として登場するとは。

    ちょっと対立の構図が複雑で
    どこに肩入れをしていいか
    わかんなくなってきたわ。
    どの種族も内輪もめまでしてるし。

    明楽も、クンも、綺羅も、灯子も
    みんな争いに巻き込まれて
    満身創痍で自分のできることを探す。
    いったいどうなってしまうのだろう。

  • 挿絵の緋名子ちゃん可愛い、と暢気なことを言っている場合ではない。

    本当に見た目も大ごとに、そして様々な存在の様々な思惑が絡まり合って混沌としている首都。
    それでいて絶対的強者もいないという。
    神族ですら一枚岩ではなく、帰ってきた「揺るる火」すら迷える小さな少女だった。
    この「揺るる火」の姿には本当に驚かされた。
    この「揺るる火」すら絶対的強者になれないこの世界。
    3巻まで読んでもまだ先が想像できない。
    取り敢えず、灯子の目が治ったのは喜ばしいが……他は何も安心できないしなあ。
    そういう意味では非常に苦しい読書だけれど、それでも読み進めちゃうのは、この作品の持つ魅力なのだろう。

  • 星の子、登場
    みんなボロボロだけど、神族とか勝てないでしょ
    世界はどこに向かうの

  • 先が気になるという意味では面白いけど、新発見は特に無かった。なかなか前に進まないというか、人間が争いを繰り返す生き物でその世界を滅ぼすか生かすのかという話だけど、そのテーマがうーんってという感じ。普通というか…イラストが小野不由美さんの十二国記シリーズと一緒だから期待してるけど、どう終わるんだろう…。もっと自分の想像とは違う世界が見たい。

  • 挫折。


    一応記録として登録しておく。

  • 人、神族、蜘蛛による死闘が始まり、目が離せない。それぞれが正義を掲げながら、世界の滅びに向かっている感がある。頭でっかちだけど、自分がしたことの大きさを理解した、煌四の言葉が印象的「この先の世界が、生きるのに値するものか、見てみたい。そんな世界が、もしほんとうにあるなら-ぼくも、見てみたい」。炉六の返答もすてきだ「ならば、生きることだ」

  • 第二巻の勢いそのままに、炎魔との戦いから始まる第三巻。

    ↓ネタバレ↓

    炎魔と戦うために集まってきた首都の火狩りたちが、クンが蜘蛛の子だとわかると途端に矛先をクンに向けて、炎魔をほったらかしにクンへ攻撃する様というのは「人間だなあ」と顔を顰めて思います。

    善と悪・正と偽、状況や背景を考えずにどちらかを区別しようとするのは、火狩りだけじゃなく、すごく人間らしい思考というか、そういう人の多さに最近は疲れ気味でした。


    人というのはどこかの組織に属して、
    身内と外の人を隔たせて考え、
    集団の意向と個人の思考と、何かの“考え”に正しさを見出して、
    その正しさからはみ出さないように生きているものだと思う。
    それをアイデンティティと呼ぶ場合もあるだろう。

    灯子や煌四の、首都を守り、この世界を守り、〈揺るる火〉を狩るために姫神に手紙を届けて、存続させたいという仲間としての組織。
    仲間を守りたいという気持ちからの行動。

    神族、蜘蛛、人間、新人類という、
    同じ枠組みのものとしての組織。
    その組織として定められた正しさを全うするための行動。

    ひばりのように、自分の信じるもの(自分が傷つけられたくないと思うもの)だけを大切にする考えからの行動。

    どこを拠り所にするかで行動は変わるけれど、
    個人個人にとってその行動は全てが正しいものなのだよね。
    全てが何事もなく収まらないだけで。

    自分の信念からの行動を変えることというのは、アイデンティティを揺るがしかねないから、なかなか変更することができない。
    でも、それを変更できる人や、自分の行動が正しいものかどうかを振り返られる人というのは強い。
    そしてそれができているのが灯子や煌四。

    ひばりもまた、神宮へ向かう地下の中、新人類がクンを襲った時、それまでの思考と対峙しながらの行動が取れていたんじゃないかなと思う。

    p.297
    「……なにを選ぶのか〈揺るる火〉は決めることになるが、せめて最後は、これでよしの思える選択肢でなければならない。ぼくは、姉上を大勢のための犠牲にするのは、もういやなんだ」

    やっとひばりの本音を灯子と煌四に漏らしながら、それでも最後の決定は〈揺るる火〉が決めると覚悟している。
    その覚悟の中には、〈揺るる火〉本人が大勢のための犠牲になることを選ぶことも含まれていると、自分でも理解している言葉なのだと胸を打つものがある。

    ビジュアル含めてひばりが好きです。

  • いよいよ都が戦場となり、出てくる人物はみんなボロボロ状態。揺るる火も登場し裏切りなども明らかになる中で、様々な立場のそれぞれの思いが交錯していく。 こういう戦のシーンを読むといつもふと気になる、「自分がこの立場に置かれたらどう動くのだろうか」と。 そして、日頃の運動不足による体力の無さが1番最初に頭に浮かび、すぐ死んでしまうだろうな…と思ったところで速攻妄想が終わってしまう。

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著者プロフィール

1984年、兵庫県生まれ。児童文学作家、日本児童文学者協会員。「雨ふる本屋」シリーズなど児童書のジャンルで活躍する中、2018年に冒険ファンタジー『火狩りの王〈一〉 春ノ火』を刊行、同作は全5作のシリーズとなりのちにアニメ化するなど大きな話題となる。他の著書に「すすめ!図書くらぶ」シリーズ、『魔法の庭へ』『日曜日の王国』など多数。

「2023年 『ネバーブルーの伝説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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