- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041131862
作品紹介・あらすじ
舞台は昭和初頭の神楽坂。影の薄さに悩む大学生・甘木は、行きつけのカフェーで偏屈教授の内田榮造先生と親しくなる。何事にも妙なこだわりを持ち、屁理屈と借金の大名人である先生は、内田百間という作家でもあり、夏目漱石や芥川龍之介とも交流があったらしい。先生と行動をともにするうち、甘木は徐々に常識では説明のつかない怪現象に巻き込まれるようになる。持ち前の観察眼で颯爽と事件を解決していく先生だが、それには何か切実な目的があるようで……。偏屈作家と平凡学生のコンビが、怪異と謎を解き明かす。
感想・レビュー・書評
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大学教授時代の内田百閒と彼の授業をとっている主人公甘木が中心に起こるオカルト的な事件の数々。
当時の文豪のエピソードやそれを基にした事件のあれこれで楽しめましたがドッペルゲンガーの話は怖かったです。 -
目がグルグル…がコワイ。
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市ヶ谷の私立大学生・甘木は、極端に印象が薄く、他人の記憶に残らないのが悩み。
しかし、カフェー〈千鳥〉で出会った、ドイツ語教授・内田先生は、彼の名前を憶えていて……。
昭和初期における教授と学生という、節度ある距離感。
それでいて、相手を思い、きちんと向き合う、独特の関係性がよかった。
ドッペルゲンガーが現れたり、教授の周りには死が多かったり。
ホラーチックなストーリーですが、おどろおどろしくなりすぎない。
教授と甘木の絆が感じられ、バッドエンドにならない、と信じられるからかも。
内田百閒をよく知ってると、よりおもしろかったのかも。 -
なかなか、読み進まなかったのだけど、内容は面白かった。内田百間さんって、こんな感じだったのだろう。
鉄ちゃんだったことに反応 -
面白かった。内田百閒が大学でドイツ語を教えていた時代に、学生と怪奇に巻き込まれるという内容の連作短編で、背筋が少しゾッとするような話たちだけれど、とても面白かった。今よりも建物の内も外も暗く(暗がりの多い)、自然が身近だった時代―昭和初期―の雰囲気も話に非常に合っていて、良かった。
私は内田百閒は随筆しか読んだことがないのだけれど、ゆったりおおらかで愛嬌があって味のある…というイメージそのままの百閒先生で登場するのも、面白かった。
昔、宮部みゆきさんがよく超能力者(異能力者)が登場するお話を書いていた時、あまりに描写がリアルに感じられて、宮部さんの近くに超能力者(異能力者)が実在するのではと思っていた(今も思っている)。なので、百閒先生は霊能力が強くて実際に色々不思議な体験をしたからそれを基に怪奇ものを書いたのでは、という発想からこういう話が生まれたのかなと思うと、すごく納得がいく。
著者の三上さんはビブリア古書堂の著者でもあると読み終わって気付いた。私は当作の方が好きかもしれない。 -
少しホラー、怪奇譚。でも怨念や怨嗟といった類ではない。大正から昭和初期の世俗や街並みも丁寧に記述されてとても楽しく読めた。途中まで読んでやっと内田百閒先生って人実在していたような・・・?ってぐらい何も知らずに読んだけれど内田先生の著書がどういうものなのか興味がわいた。
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誤表記・誤字があった。
校正をしっかりしてほしい。
P. 142 3行目「甘木の言葉」→「青池の言葉」
P. 167 5行目「カンカン棒」→「カンカン帽」