メメンとモリ

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  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041133958

作品紹介・あらすじ

ラテン語の「メメントモリ」(いつか必ず死ぬことを忘れるな)をテーマにした、
大人気絵本作家・ヨシタケシンスケ初の長編絵本。

感想・レビュー・書評

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  • メメンとモリの姉弟を主人公とした三つのお話が載っています。

    メメントモリとは「自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな」という意味を持つラテン語の言葉で現代では主に「死を意識することで今を大切に生きることができる」という解釈で用いられることが多いそうです。


    1話目は最後の一文が響きました。
    2話目は最後のメメンとモリが出てくるサプライズの場面がよかったです。
    3話目はわかりますが、特に自分の人生がつまらない映画だという発想がなかったのであまり響きませんでした。「思っていたのとちがう」と「びっくりするために生きているというのは新しい発見で楽しくなりました。


    以下にストーリーをメモします。


    『メメンとモリとちいさいおさら』
    メメンが作ったおさらをわってしまうモリ。
    モリがあやまると、メメンは「いいのよ!だってどんなものでも、いつかはこわれたりなくなったりするんだから」といいます。

    つまりは、「自分では選べないことと、自分で選べることがある」ってこと。
    それをみわけられるようになりたい、とメメンは言います。


    『メメンとモリときたないゆきだるま』
    きたないゆきだるまはいいます。
    「気がついたら、ボクはすでにきたないゆきだるまだった。こんど、もし、ボクが人間だったら、世界中を旅してきたないゆきだるまの写真を撮ってまわろう。がっかりされたものたちを、探してまわろう。どんなゆきだるまでも、ボクは絶対がっかりしない。
    大よろこびで近づいていったら、みんなきっとびっくりするだろうな。きっとうれしいと思うんだ。ボクがしてほしかったことを、してあげるんだ」

    最後にメメンとモリがきたないゆきだるまの写真をとりにきます。


    『メメンとモリとつまらないえいが』
    つまらない映画をみたメメンとモリ。
    モリはこの先つまんないことばっかりだったらどうしようといいます。

    メメンはモリにいいます。
    じつはたのしいことはなくても大丈夫なのよ。
    人は「思ってたのとちがう!」ってびっくりするために生きてるのよ。
    「なんのために生きているのか」のこたえは、まいにちちがってもいいとメメンはいいます。
    すくなくともわたしたちは、つまんないえいがの登場人物じゃない。そのえいがからそとにでられないわけじゃない。

    なんのために生きているのかわからなくても、わたしたちは、つまんないえいがも、おもしろいえいがもみることができるお客さんなのよ。

  • ヨシタケシンスケはじめての大人の絵本。

    自分で自分を肯定するのってけっこう難しい。
    生まれたことも、生きていることも、いずれ死んじゃうことも。
    どうあったって理不尽だし、気に入らないこともたくさんある。
    だから人は他者からの肯定を必要とするんだね。

    ヨシタケさんの本を読むと、いつのまにか知らず知らずに固くなっていた全身がすうっとほぐれていくようだ。
    素敵なリラクゼーション体験です。

    メメンとモリは姉弟で、多分二人で暮らしている。
    おっちょこちょいで素直なモリを、いつも冷静で優しさもあるメメンが導いてあげてる感じ。
    ふたりの会話は、日常のささいな出来事から、生きること死ぬこと、そんな大きなことまで話は広がる。

    インタビューによると、たしかヨシタケさんは「すごいネガティブ」なのだそう。
    そうか、と、思った。
    「すごいネガティブ」だからこそ、そんな自分がバランスをとるために、発想を飛ばしてとことんまで考えることができるんだと感じた。

    心に羽を生えさせてくれる本です。

    追記
    「すごいネガティブ」じゃなくて「世の中に対する見方にネガティブな部分もある」でした。
    鴻上尚史さんとの対談の中でのヨシタケさんの言葉です。
    だいぶニュアンスが違うので追記しました。

    • 5552さん
      しずくさん

      ですよね~
      未だに信じられません…。

      NHK俳句での夏井いつきさんの回では、なんと一万投句の応募があったそうです。
      短歌はど...
      しずくさん

      ですよね~
      未だに信じられません…。

      NHK俳句での夏井いつきさんの回では、なんと一万投句の応募があったそうです。
      短歌はどのくらいの投稿数なんでしょうね。
      新聞投稿も一度してみましたが、たぶん、落選。
      確かに、全国区のNHKより新聞の地方紙のほうが投稿者の数が少なそうです。
      今は自分の歌の拙さばかり目につくのですが、ここが踏ん張りどころ。
      少しでもいい歌作れるようになりたいです。

      2023/07/26
    • しずくさん
      おはようございます!
      結社によっては、新聞投稿を勧めないところもありますね。
      でも、私は詠み手のスタンスの方が大事だと思っていました。
      ...
      おはようございます!
      結社によっては、新聞投稿を勧めないところもありますね。
      でも、私は詠み手のスタンスの方が大事だと思っていました。

      私が短歌熱に燃えていた10年ぐらい前、講師が所属している結社に入るのが礼儀だった風潮がありました。最初は結社と聞いて、秘密結社を連想してびびっちゃいました(笑)。どこにも所属しなかったのですが、やはり、外側からは講師の結社に所属していると思われていて、結局は入りました・・・。その後、足を怪我して勉強会に行けなくなりひとりで詠んでいたのですが、批評がないとついつい先延ばしになり自然消滅。もっと短い17文字の俳句に目移りしたりですが、自分の才能のなさにも嫌気ががさしまして(深いため息 ハァ~)。今は新聞の俳壇や歌壇、時々短歌本を覗いたりで、人の詠む短歌を読ませてもらっています。

      5552さん、短歌ブーム到来の波をしっかりつかまえて、自分の気持ちを三十一文字に残してください。
      2023/07/27
    • 5552さん
      しずくさん、こんにちは!

      おお、しずくさんは結社に入られてたのですね!
      私も、結社ってはじめて目にしたときは、秘密結社を想像して、な...
      しずくさん、こんにちは!

      おお、しずくさんは結社に入られてたのですね!
      私も、結社ってはじめて目にしたときは、秘密結社を想像して、なんかあやしそう、と、ビビりました。笑
      実態は、サークルみたいなものなんでしょうか。
      人間関係とか難しそうですが…。

      短歌でも俳句でも、センスある人はセンスありますものね。
      有名歌人の名歌や、他の方のセンス・オブ・ワンダーな歌を目にすると、私などが、歌を詠んでいる、なんておこがましいのでは?と、たまに思います。
      でも、拙い歌だからって、詠んではいけないという理由にはならないよな、と、思い直してます。

      短歌って知れば知るほど奥が深いですね。
      2023/07/27
  • すべては考え方次第なんだなぁ。
    こういうこともあるよ…と
    決して否定しているわけじゃなく、押しつけてるわけでもなく、ほどよく納得できる。


    〈メメンとモリとちいさいおさら〉
    割れてしまったおさらに対して、
    「ずっとそこにある」ってことよりも「いっしょに何かをした」ってことのほうが大事。

    〈メメンとモリときたないゆきだるま〉
    今度、もし人間だったら…
    ボクがしてほしかったことをしてあげる。
    さて、それはうれしいことか、楽しいことか、
    誰かのために、ボクのために。

    〈メメンとモリとつまんないえいが〉
    損したと思うより、予想が外れてびっくりしたと思ったほうがいいのかも。
    「思ってたのとちがう!」って、びっくりするために生きてる。
    思ってたのとちがうから、世界はつらいし、きびしいし、たのしいし、うつくしい。



  • 読友さんに人気のヨシタケシンスケ・メメンとモリ。小さい子どもってこんなにも哲学的なことを考えているんだろうか?少なくとも自分は考えていなかったな。本の中で「何のために生きるのか?」大人でも分からないけど、毎日変わって行くんだろうね。自分の答えは「人生を楽しむため」かな。うん、いい答え!本の中で「自分たちはいのちを使ってバランスをとる遊びをしているんだ!」これは奥が深いぞ!確かに人生はバランスを取っている。うまくバランスを保っていると前に進めるんだよね。コツみたいなものを覚えながら、楽しく生きていこう!⑤

  • ずっと読みたかった一冊、ようやく手にしました♪

    3つのストーリーがおさめられていますが、やはり巻頭の「メメンとモリとちいさいおさら」が最高ですね(*´▽`*)

    大人にも響く絵本、素晴らしい♪


    <あらすじ>
    ラテン語の「メメント・モリ」(いつか必ず死ぬことを忘れるな)をテーマにした作品です。この絵本は、生きる意味や目的について考えさせられる、3つの物語を含んでいます。

    『メメンとモリとちいさいおさら』: メメンが作った唯一無二のお皿を割ってしまったモリは、その失敗に落ち込みます。しかし、メメンは「大丈夫よ、また作ればいいんだから」と励まし、前向きな姿勢を示します。

    『メメンとモリときたないゆきだるま』: 新しい雪で雪だるまを作ることになったメメンとモリですが、出来上がった雪だるまは想像していたものとは異なります。それを見た二人は複雑な感情を抱きますが、雪だるまは冷静に二人を見つめていました。

    『メメンとモリとつまんないえいが』: つまらない映画を見た後、時間を無駄にしたと感じるモリに対して、メメンは「いきものは別に楽しむために生きているわけじゃないからね」と述べ、生きる目的についての一般的な考え方に疑問を投げかけます。

    これらの物語は、日常の小さな出来事を通じて、人生の大きなテーマについて考える機会を提供しています。ヨシタケシンスケの独特な視点が光る作品で、読む人によって様々な解釈が可能です。興味深いテーマと心温まる物語で、多くの読者に愛されている絵本です。



    「生きる意味」や「生きる目的」って必要ですか?

    キノベス!キッズ2024 第1位!
    MOE絵本屋さん大賞2023 第2位!
    静岡書店大賞 児童書新作部門 第2位!

    発売たちまち18万部突破

    「王様のブランチ」(TBS)、「新・美の巨人たち」にて紹介、反響続々!!

    身もふたもない言葉の中にだけ、
    希望を見出せるときもある。
    ヨシタケシンスケが描く
    「人は何のために生きてるの?」の3つのお話。

    『メメンとモリとちいさいおさら』
    メメンが作ったお皿を割ってしまったモリ。
    「世界にひとつしかないお皿なのに…」といつまでもクヨクヨしているモリに、
    メメンは「大丈夫よ、また作ればいいんだから」と励まします。

    『メメンとモリときたないゆきだるま』
    夜のうちに降った雪。メメンとモリは次の日の晴れた朝、張り切ってゆきだるまをつくりました。
    でも雪は足りず、晴れて溶けかかり、できあがってゆきだるまは想像していたものと違いました。
    複雑な顔をしてゆきだるまを見つめるメメンとモリ。
    でもゆきだるまは、そんなふたりの顔を冷静に見ていたのです。

    『メメンとモリとつまんないえいが』
    つまらない映画を見てしまったメメンとモリ。「時間を損しちゃったね」と話しているうちに、
    モリは「みんなは楽しいことをしているのに、ぼくだけ損をしているみたい」と思いはじめます。
    そんなモリにメメンは「いきものはべつに楽しむために生きているわけじゃないからね」と言うのですが…。

    著者について

    ●ヨシタケシンスケ:1973年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、イラストエッセイなど、多岐にわたり作品を発表している。『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)、『しかもフタが無い』(PARCO出版)、『結局できずじまい』(以上、講談社)、、『りゆうがあります』(PHP研究所)、『にげてさがして』(赤ちゃんとママ社)『その本は』(ポプラ社)など様々なジャンルで多数の著作がある。

  • ヨシタケシンスケさんの本っていつもストンと心に入ってくる。
    生きる上で忘れちゃいけない大事な事が詰まってる。
    私ヨシタケシンスケさんご本人のお顔も大好きで。
    初めてお顔を拝見した時この人と結婚したかった!って思ったの。
    こんな素敵な本を書く人と暮らしていけたら素敵じゃない?
    …なんか脱線してるな。
    この本の人は自分の良いところと悪いところと全部使って積み木遊びをしてるってところが凄く良いなと思って。
    人生ってそういうことかって。
    私の積み木は今どんな形をしてるんだろう。

  •  「メメンとモリ」のテーマは、いつか死ぬことを忘れるなという重いもの…ですが、でも実際にこの作品を手にしてみると、メメンとモリ、特にモリが可愛いっ!そう思って軽く読むのもよし!でも、とことんテーマをつきつけてゆっくり読むのもいい作品だろうなぁ…とも感じました。

     『メメンとモリと ちいさいおさら』『メメンとモリと きたないゆきだるま』『メメントモリと つまんないえいが』の3話ありますけど、一番よかったのは、『メメンとモリと きたないゆきだるま』です。汚れた雪だるまの思いがせつないけど、それだけで終わらせないのがヨシタケさんなんだなぁ~♪3話通して、かたちあるものは永遠ではないけれど、だからこそ今を大事に、たのしく生きようって、そんな風に感じることができた作品でした(^^)

  • なんだかとっても優しい気持ちになれた〜。

    メメントモリって、最近ゲームだかアニメだかでもよく聞く言葉だけど、意味を調べると、ラテン語で「自分がいつか必ず死ぬ事を忘れるな」というものらしい。
    これは現代風に言うと「死を意識する事で今を大切に生きることができる」という事らしい。

    ヨシタケさんの可愛い絵とゆるっとした優しいお話にほんわかした気分になる。
    だけどゆるっとした中にも、心に響く言葉がたくさんあった。
    生きてると失敗したり、うまくいかなかったりする事だっていっぱいある。
    人生ってそういうもので、それもひっくるめて今を大切に楽しんで生きようって事かな〜と感じた。

    絵本なので子供はもちろん、ちょっとお疲れの大人にも寄り添ってくれそうな作品でした♪

    • mihiroさん
      一休さ〜〜ん\(´O`/)
      ね〜!そういう言葉だったみたいですね〜!
      私も勉強になりました〜٩(ˊᗜˋ*)و♪
      ヨシタケさんはそれを上手く...
      一休さ〜〜ん\(´O`/)
      ね〜!そういう言葉だったみたいですね〜!
      私も勉強になりました〜٩(ˊᗜˋ*)و♪
      ヨシタケさんはそれを上手く、メメンちゃんとモリくんのお話にされてましたが、可愛くて深かった〜♡
      一休さんもヨシタケさんお好きでしたよね〜!
      ヨシタケさんいいですよね〜\♡︎/
      2023/11/03
    • 1Q84O1さん
      んっ!
      んんっ!
      んんんっ!?
      コラ!ヽ(`Д´)ノプンプン
      一休さん違うわーい!w
      んっ!
      んんっ!
      んんんっ!?
      コラ!ヽ(`Д´)ノプンプン
      一休さん違うわーい!w
      2023/11/04
    • mihiroさん
      (ノ*>∀<)ノキャッキャッ♬笑笑
      もう一休さん定着しちゃいました〜(๑´ლ`๑)フフ♡
      (ノ*>∀<)ノキャッキャッ♬笑笑
      もう一休さん定着しちゃいました〜(๑´ლ`๑)フフ♡
      2023/11/04
  • ヨシタケシンスケ、初の長編絵本『メメンとモリ』 5/31刊行決定|株式会社KADOKAWAのプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000012299.000007006.html

    『メメンとモリ』発売記念特設サイト | ヨシタケシンスケ | 特集 | ヨメルバ | KADOKAWA児童書ポータルサイト
    https://yomeruba.com/feature/ehon/yoshitake-shinsuke/mementomori.html

    「メメンとモリ」ヨシタケシンスケ [絵本] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322210000628/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ヨシタケシンスケ「メメンとモリ」×千秋 |バックナンバー|新美の巨人たち:テレビ東京(2023年9月2日)
      https://www.tv-t...
      ヨシタケシンスケ「メメンとモリ」×千秋 |バックナンバー|新美の巨人たち:テレビ東京(2023年9月2日)
      https://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/index.html?trgt=20230902
      2023/09/04
  • ヨシタケさん流のメメントモリ。

    とても難しいテーマですが、わかりやすく可愛らしいヨシタケワールドです。

    刺さる言葉がたくさんあります。

    最後にちょっとオチがあって、ほっこりしました。

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著者プロフィール

1973年神奈川県生まれ。絵本作家。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。スケッチ集や、児童書の挿絵、装画、イラストエッセイなど、多岐にわたる作品を発表。2013年に初の絵本『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)を出版し、第61回産経児童出版文化賞美術賞、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位を獲得。その後、『もう ぬげない』(ブロンズ新社)『りゆうがあります』『なつみはなんにでもなれる』『おしっこちょっぴりもれたろう』(PHP研究所)『あつかったら ぬげばいい』(白泉社)『あんなに あんなに』(ポプラ社)で7度にわたりMOE絵本屋さん大賞第1位に輝く。

「2023年 『しかもフタが無い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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