お嬢さん (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 672
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041212141

作品紹介・あらすじ

大海電気取締役の長女・藤沢かすみは20歳の女子大生、健全で幸福な家庭のお嬢さま。休日になると藤沢家を訪れる父の部下の青年たちは花婿候補だ。かすみはその中の一人、沢井に興味を抱く。が、彼はなかなかのプレイボーイで、そんな裏の顔を知り、ますます沢井を意識する。かすみは「何一つ隠し立てしないこと」を条件に、沢井と結婚するが…。結婚をめぐる騒動を描く、三島由紀夫エンターテインメントの真骨頂、初文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 三島由紀夫の作品の幅の広さに、ただただびっくりした。
    命売りますの様に、エンタメ色が強く、読みやすくて話も面白かった。
    かすみは最初から沢井が好きで、沢井も恐らくかすみのことが好きだったんだろう。
    途中、ある一言がきっかけで、幸せな新婚生活の雲行きが怪しくなるのだけど……でも、ある人物の言葉で、最後は思わぬハッピーエンド。
    本当に、仮面の告白書いた人と同じ人の作品なの?と、良い意味で思った。

    顔中にあなたの写真が貼り付けてあるって言うのは、とても素敵な表現ではないだろうか。
    それ程までに、彼はあなたのことが好きだと、表情で言っているのよ、というね。
    かすみは、本当に"お嬢さん"だな。

  • 大海電気取締役の長女として生まれ、健全で裕福に、そして幸せになるべく育てられたお嬢さまである20歳のかすみ。表向きの好青年さとは裏腹にプレイボーイな面を持つ沢井を意識してから、かすみの中の良くも悪くも“女性”の部分がむくむくと湧き上がっていきます。
    「何一つ隠し立てしないこと」と約束しお互いを想い合って結ばれた夫婦であっても、第三者の何気ない一言で自分の心を疑い、心から愛していたはずの相手が急に敵に思え、かつての愉快な思い出も疑惑の種に見えてしまう。そんな人間の脆さや不安や葛藤は、いつの時代も人を苦しめ普遍的です。

    とはいえ“三島由紀夫エンターテインメント”と謳った本作。“お嬢さん”であるかすみが少女から女性へと変化していく様子は軽やかで、随所に昭和を生きる女性の内に秘めた苦悩と涼やかな強さが描かれ、読後も爽やか。
    これほど魅力的な女性たちと、的を射た女性心理を三島由紀夫が描いたなんて!と楽しい発見でした。

  • 面白かった。三島由紀夫の作風の幅には驚かされる。”お嬢さん”どうなってしまうの、とハラハラしながら読んだが、ラストが思わぬハッピーエンドで素敵だった。

  • まず、作者がこんな作品を残していること、幅広い作風を持った人と驚きます。大筋は、割と他愛なく、驚くほどにひねりもないストーで、前半は自由奔放なお嬢さん、後半は視野の狭い嫉妬に囚われたお嬢さんといったところ。また、全編を通して1960年頃を体験できる楽しさがあり、また作者の凝った文体も楽しいです。
    後半のかすみお嬢さんの妄想がやや退屈ではありましたが。

  • かつて読んだ三島作品とは違い読みやすい。
    お嬢さん。ですね。かすみは。
    でも、かわいらしいかな、妄想。
    浅子、素敵な女性でした。

    • 9nanokaさん
      妄想家の女の子が出てくるお話を結構読まれてますね(^^)
      三島由紀夫に少し抵抗がありますが、読んでみたいです。
      妄想家の女の子が出てくるお話を結構読まれてますね(^^)
      三島由紀夫に少し抵抗がありますが、読んでみたいです。
      2015/04/23
  • 1960年に雑誌で連載されてたという作品。大企業重役の父を持つ20歳の女性かすみの心理が面白い。妄想力というか想像力というかとても豊か。けど自分の精神と周りの人がとても疲弊してしまうような感じだから、自分が沢井の立場だったら辛いかも。

  • 沢井が絶妙なラインのモテる男という感じで普通に感心してしまった。この男がモテるのわかる…!モテる男を書くのがうまい…。
    かすみちゃんの賢く、でも世間知らずで妙なプライドの高さゆえに苦しんでいく心の揺れも、多かれ少なかれ共感できる乙女心という感じでよかった。ラストの「あなたお嬢さんなのよ」というかつての恋敵がばっさりと言うシーンも好きでした。
    そしてとても読みやすくてよかったです。

  • 登場人物に全くの無駄がない
    あと初夜の描き方が美しすぎる…

    拙い日本語で申し訳ないけども
    自分用のメモ

  • とても読みやすかった。三島由紀夫の他の作品を全部読んだわけではないが、今のところはこの作品が一番好みだった。なにより本当に読みやすく、面白い。一気に読み終えてしまった。思いの外、ハッピーエンドなところも良いと思った。
    とくに前半部分の、恋愛描写にもかかわらず気持ち悪さのない感じは、読んでいて心地が良かった。こちらまで楽しくなってしまう。

  • なんかなんとなくの不安があって、それはかすみの不安とは全然種類が違うんだけど、すごく重なって
    最後にすっと消化してくれて、今の自分にカタッとはまるような話だった

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著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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