- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041365731
作品紹介・あらすじ
一九八二年九月、著者は戦後三十七年にして初めて”悪魔の部隊”の痕跡を辿った……第一、二部が加害者の証言の上に成されたのに対し、本書は現地取材に基づく被害者側からの告発の書である。
感想・レビュー・書評
-
(2006.12.06読了)(2006.09.18購入)
「悪魔の飽食」は、日本での731部隊の関係者の取材によって書かれた。「続・悪魔の飽食」は、主にアメリカでの取材によって書かれた。「悪魔の飽食・第三部」は、中国での取材によって書かれた。正と続を読んだら第三部も読まないと落ち着かないので、読むこととしました。
中国の取材は、1982年9月15日―30日で2週間ほどです。
●米国製細菌爆弾(22頁)
北京の、「中国人民革命軍事博物館」に米軍が朝鮮戦争で投下した細菌爆弾が展示されている。日本の731部隊からの情報に基づいて作られたと言われている。
●731部隊(58頁)
「731部隊は平房区に住んでいた人たちを強制的に移転させ、そのあとに細菌製造工場を建設しました。731部隊はそこでいろいろな動物を使って細菌戦の実験を行いました。動物だけでなく、中国人の人体を使って各種の実験を行いました。日本軍は残酷な実験によってたくさんの中国人を殺しました」
「1945年8月15日に日本軍が降伏する直前、彼らは犯罪行為の証拠である工場施設を爆破しました。中心の施設からたくさんの動物が逃げ出しました。細菌に汚染された動物が多数逃げたために、終戦後非常な勢いでペストが流行しました。」
●愛国心(60頁)
どこの国民にも愛国心はある。国の独立と自由がない限り個人の人格や自由も認められない。だが度を越した愛国心は、自国以外の国を、自国を支え富ませる“素材”とみなし、自国さえよければ他国はどうなってもよいという独善に陥らせる。
●反戦的日本人(127頁)
731部隊の中にも中国人に親切だった日本人もいたのではないかと言う質問に対する答え。
「そのような人たちもいましたが、階級章を剥がされ、手錠をかけられた上に、マントを着せられ、車に載せられてどこかへ連れて行かれました。」
●「続・悪魔の飽食」写真誤用問題(265頁)
旧版「続・悪魔の飽食」に使用されたグラビア写真35枚中20枚が731部隊と全く無関係の写真であった。
光文社から出した「悪魔の飽食」を読んだ竹内と言う人からA氏を紹介され、A氏と会ったら、石井四郎の直筆の手紙、日記、家族との写真と同時に、問題になった写真も示された。
石井四郎関係の資料と一緒に示されたので、真実性が強いものと判断し提供をお願いした。
●戦争犯罪(279頁)
日本だけが犯したことではない、戦争になれば世界のどの国でも犯すことだと言う言い抜けは許されない。そのような言い逃れは犯罪の正当化によく使われる手である。加害者(侵略者)に反省がない限り戦争の悲劇は繰り返される。自分の国と国民が世界の中で最も優れていると言う独善的かつ時代錯誤的な愛国主義は、結局世界からその国を孤立させ、その国を滅亡に導く。
作家 森村 誠一
1933年 熊谷市生まれ
青山学院大学卒業
ホテルマン生活10年
1969年『高層の死角』で第15回江戸川乱歩賞受賞
☆関連図書(既読)
「新版 悪魔の飽食」森村誠一著、角川文庫、1983.06.10
「新版 続・悪魔の飽食」森村誠一著、角川文庫、1983.08.10
「731部隊」常石敬一著、講談社現代新書、1995.07.20
「南京への道」本多勝一著、朝日新聞社、1987.01.20
「南京の真実」ジョン・ラーベ著・平野卿子訳、講談社、1997.10.09
「南京事件」笠原十九司著、岩波新書、1997.11.20
内容紹介(amazon)
一九八二年九月、著者は戦後三十七年にして初めて“悪魔の部隊”の痕跡を辿った…。第一・二部が加害者の証言の上に成されたのに対し、本書は現地取材に基づく被害者側からの告発の書である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦争という狂気が生んだもの、それは悪魔。
日本人の真実。