王将たちの謝肉祭 (角川文庫 う 1-18)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041607183

作品紹介・あらすじ

美少女棋士今井香子は新幹線の中で、見知らぬ男から一通の封書を預かった。6日後、男は死体となって発見されたことがニュースで報じられ、数日後、香子もまた何者かに襲われた。彼女の危機を救ったのは、兵庫の山奥から行方知れずの父を探して上京していた江崎秀夫。天才棋士といわれた父の血を引いて、将棋の腕前は、素人とは思えないほど冴えていた。封書の中身は「九段の件-」と書かれ、将棋連盟理事長、北村のサインのある念書だったのだ。そして、将棋界の大物、柾田圭三九段の家で起きた第二の殺人!謎の念書に秘められた驚くべき事実。本格派の偉才が贈る感動の異色サスペンス。

感想・レビュー・書評

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  • 【内田康夫全作品中、私達が絶賛する人情味あふれる最高傑作】

    皆さん、週末に突然、大切な方に用事ができて一緒に過ごせない
    なんて経験がお有りだと思います。

    そんな時は一人寂しくクーラーが効いた部屋でまったりとするの
    だけど、一人で過ごす時間って結構、持て余してしまいますよね?

    そんなぽっかりと空いた一日は読書でもして有意義な時間を過ごし
    てみませんか??

    そんな皆さんに今回は推理作家として有名な内田康夫さんの人情味
    溢れる最高傑作『王将たちの謝肉祭』をお薦めしますっ!!

    皆さんは題名から、おどろおどろしい怪奇小説のように感じると
    思いますが・・・

    実は推理小説が得意な内田さんの小説では異端の、ある一人のプロ
    の将棋士に人生の末期に焦点を当て、歪んだ人生を歩んできた彼が
    人生の最後に何を思うのか、内田さんらしい分かりやすい言葉と
    緻密な描写のお蔭で一気に読み進める作品となっているのです。


    内容として・・・

    ある青年が行方不明の実父を探すストーリーなのですが・・・

    魅力溢れる脇役たちが一致協力し、実父が子を捨ててまで成し
    遂げたかった夢の欠片を与えつつ、実父の夢を受け継ぐ青年の
    後押しをそっと行っていく・・・
    そんな見ごたえのあるサクセスストーリーとなっているのです!!

    この本を読むと現在では失われつつある、下町の人々の人間味
    溢れる情景が浮かび、貧しいながらも人を思いやり助け合う、
    そんな素晴らしい風習が失われている事が大変悲しく悔やま
    れてなりません。

    そんな本作品には主人公ですら霞んでしまうほどの脇役達の潔さや
    粋が文面から溢れだしており、中でも枡田九段の潔すぎる結末には
    どんな方でも感動の涙を流してしまうと思います!!

    しかしそれゆえに内田さんが”謝肉祭”という作風に合わない
    タイトルを付けられたのが残念でなりません。

    私達は購入して何年も経ちますが、今でも何度も読み返して
    いるほどの一冊になっています。

    残念な事にそんな傑作であっても女性には題名の恐ろしさから
    敬遠されがちで・・・
    是非、偏見を排して読んで欲しいと思いますよ!!

    本作を開くと、登場人物の凄烈な生き様に感動し、涙してしまう
    のでティッシュはたくさん用意してくださいね!!

    また、こうした下町情緒を知らないも必見だと思います。

    内田さんは”浅見光彦”シリーズで大変有名ですが、本作品
    には浅見さんは出てきませんのでご注意を!!

    因みに浅見光彦シリーズで良く出てくる団子屋は実在して
    いますので時間があれば散歩にでも出かけてみたら如何で
    しょうか??

    【食べログ ”平塚亭つるおか”】
    http://tabelog.com/tokyo/A1323/A132303/13107748/

    場所は平塚神社の横にあり、最寄り駅は京浜東北線上中里駅
    徒歩五分、地下鉄南北線西ヶ原駅徒歩五分程の場所にあります。

    お薦めは浅見さんのご母堂の好物である焼き団子ですが・・・
    いつも混んでいるので少し待つ事になるかもしれません!!

    お店の傍には八幡太郎源義家の甲冑が埋められているとされて
    いる平塚神社の他に、皇室も来られた事がある桜が有名な
    飛鳥山公園(王子駅横)や陸奥宗光の別邸で名勝指定されて
    いる旧古河庭園(ふるかわ)などがあり、下町風情を楽しみ
    ながら散歩すると大変面白いですよ!!

    その後、王子駅から路面電車に乗って早稲田や三輪方面に行って
    も良いですしね!!

    何度読んでも涙、涙で大泣きしてしまう・・・むう達でした!!

  • 将棋ファンと将棋を知らない人では評価が真っ二つに分かれる作品。

    しかし、これだけあからさまな登場人物名に関わらず、吉永八段があっさり退場するにはびっくり。この世界線では、「お、おー、やった!」とか「ここに成銀打ったらどうするんだろう」といった名言は生まれないことになる。

    ミステリーというにはただ無理があるように感じる内容で、正直土地や政治家うんうんというくだりはいらなかった気がします。

    ただ、著者が当時(30年前)の将棋界に警鐘を鳴らしたいという気持ちは非常に伝わってきました。

  • 将棋ファンなら作中のモデルがよく分かってより楽しめる内容でした。著者はプロ棋士と交流があるんのかと思っていたら全くないとのことで、逆にだからこそファンにイメージしやすい人物がかけたのかも知らな来なと思った。
    ミステリと聞いて読んだのですがそういう観点では…

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著者プロフィール

1934年東京都北区生まれ。1980年に自費出版した『死者の木霊』で衝撃的デビュー。主人公の信濃のコロンボこと竹村警部が活躍する作品に加え、1982年に刊行された『後鳥羽伝説殺人事件』で初登場した浅見光彦を主人公にしたミステリー作品は大ベストセラーに。映像化作品も多数。2018年逝去。

「2022年 『箸墓幻想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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