蜜柑と月 (角川文庫 た 29-3)

著者 :
  • KADOKAWA
3.41
  • (2)
  • (6)
  • (13)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 51
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041832035

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 短編全5話

    現実のような、非現実のような 微妙な世界観。
    タイトルの「蜜柑と月」より「ベランダの隣人」の方が面白かった。

    この作者の他の本も読んでもいいかなと思う。

  • 何とも言えず不思議な感触の物語がつまった短編集。
    濃密な「夜」の雰囲気が全話通して漂っていて、少し風変わりな設定の物語の世界にふわふわと誘われるような。

    表題作も良かったけれど私は「もっと近くに」というお話が好きでした。
    どこにでもいる地味で話すことが苦手な大人しい女子高生が、ひょんなことからダイヤルQ2で見知らぬ男の人たちと電話で会話するアルバイトを始めるお話。
    「夜」なんだけど、そこはかとない透明感が漂っていて…よしもとばななさん辺りが好きな人はきっと好むと思います。

  • 最後の恋を読んで、谷村志穂に興味を持った。この人の文はとてもエロい。興奮する。短編集の蜜柑と月を読んでみることにした。

    やっぱりエロかった。なんだろう。男性がエロい。すごい色気。
    「もっと近くに」が好き。ダイヤルQ2でアルバイトする皐、電話をかけてくる篠塚。皐は聖母になりたがったけれど、篠塚は応えてくれなくて、だから意気地なしなのだ。
    「夏の夜に彼女と」もよかった。世間知らずのお嬢様(でも自分じゃお嬢様とは思ってない)茅子に呼び出される、売れないコールガールともみ。大人を見せてくれたともみに茅子は惹かれてしまう。姉妹のような、傷の舐め合いのような、恋のような感覚がたまらない。
    暗さを持った話が上手い。好き。

  • 短編集

    金髪のウィッグの泥棒が出てくる話と、娼婦を呼んじゃう女の子の話がよかったな。

    割りと好きな作家さんに入るかも。

    苦手な文体の作家さんが多いからなぁ。。。

  • あたりまえの生活で、ふと冒険したくなる気持ち、とってもわかる。ささやかに、とりかえしのつく冒険。淡くもドラマチックに頭に映像化された素敵な小説だった。

  • 「夜」に関する短編集。

    それぞれの物語に登場する人物は、皆どこか不器用で大人になりきれない面を持つ大人達。
    けれどその不器用さが、読んでいて心地良い。

    特に「ベランダの隣人」「夏の夜に彼女と」が読み終えた後、あたたかい気持ちになる。
    淡い恋心と自分の中に渦巻く感情を描いた「もっと近くに」がこの短編の中で、私は一番好きかもしれない。

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

1962年北海道生まれ。北海道大学農学部卒。’90年『結婚しないかもしれない症候群』で鮮烈なデビュー後、’91年に処女小説『アクアリウムの鯨』を刊行する。自然、旅、性などの題材をモチーフに数々の長編・短編小説を執筆。紀行、エッセイ、訳書なども手掛ける。2003年『海猫』で第十回島清恋愛文学賞を受賞。

「2021年 『半逆光』 で使われていた紹介文から引用しています。」

谷村志穂の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×