- Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041832035
感想・レビュー・書評
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何とも言えず不思議な感触の物語がつまった短編集。
濃密な「夜」の雰囲気が全話通して漂っていて、少し風変わりな設定の物語の世界にふわふわと誘われるような。
表題作も良かったけれど私は「もっと近くに」というお話が好きでした。
どこにでもいる地味で話すことが苦手な大人しい女子高生が、ひょんなことからダイヤルQ2で見知らぬ男の人たちと電話で会話するアルバイトを始めるお話。
「夜」なんだけど、そこはかとない透明感が漂っていて…よしもとばななさん辺りが好きな人はきっと好むと思います。 -
最後の恋を読んで、谷村志穂に興味を持った。この人の文はとてもエロい。興奮する。短編集の蜜柑と月を読んでみることにした。
やっぱりエロかった。なんだろう。男性がエロい。すごい色気。
「もっと近くに」が好き。ダイヤルQ2でアルバイトする皐、電話をかけてくる篠塚。皐は聖母になりたがったけれど、篠塚は応えてくれなくて、だから意気地なしなのだ。
「夏の夜に彼女と」もよかった。世間知らずのお嬢様(でも自分じゃお嬢様とは思ってない)茅子に呼び出される、売れないコールガールともみ。大人を見せてくれたともみに茅子は惹かれてしまう。姉妹のような、傷の舐め合いのような、恋のような感覚がたまらない。
暗さを持った話が上手い。好き。 -
短編集
金髪のウィッグの泥棒が出てくる話と、娼婦を呼んじゃう女の子の話がよかったな。
割りと好きな作家さんに入るかも。
苦手な文体の作家さんが多いからなぁ。。。 -
あたりまえの生活で、ふと冒険したくなる気持ち、とってもわかる。ささやかに、とりかえしのつく冒険。淡くもドラマチックに頭に映像化された素敵な小説だった。
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「夜」に関する短編集。
それぞれの物語に登場する人物は、皆どこか不器用で大人になりきれない面を持つ大人達。
けれどその不器用さが、読んでいて心地良い。
特に「ベランダの隣人」「夏の夜に彼女と」が読み終えた後、あたたかい気持ちになる。
淡い恋心と自分の中に渦巻く感情を描いた「もっと近くに」がこの短編の中で、私は一番好きかもしれない。