妖櫻忌 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 85
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041959039

感想・レビュー・書評

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  • 女性作家大原が自室の茶室で焼死した。

    生前、作品の原稿の清書などをする秘書役の女性若桑が自分の作品といって、取引の有った出版社に原稿を持ち込む。

    担当の編集者堀口はその原稿は使えないが、これを基に若桑からみた大原の手記として書き換えるなら、公にする事を提案、若桑は了解する。

    が、筆が進むにつれ、生前大原が書き残したものを若桑が自分の作品として書いているのではないかと、堀口は疑い始める。

    そして、実は大原の焼死は自己ではなく、誰かに仕掛けられたことが判明。

    「聖域」も出版社と作家との関係が主たる内容だったが、こういう舞台設定だといわゆる「よい文章」で書かれた小説の抜書き部分が多く読みづらかった。

  • 2015 4/23

  • 怖い。恐い。こわい。
    作家が弟子に乗り移り、作品を書かせているのではないかという妄想。

    文学の世界の弟子というものが、本当に存在するかどうかを知らない。師匠亡き後、弟子の力の示し具合が勝負なのだろう。

    恐い話を読みたい人にお勧め。
    著者も作家なので、出版の裏事情には詳しいはず。

  • 小説家 というものの 執念。
    死してなお 自分の想いを遂げようとする。

    大原鳳月 の つむぐ文体が
    たおやかで 表現力が なんともいえない
    セクシャルな 言葉。

    歴史の人物を題材にする。
    源氏物語を現代に 再構成しなおす。
    それを支える 若桑律子。

    古典的な文学作品に対して
    造詣が深く 暗誦すらする。
    古典文学の語り部・・・
    律子が 若さを失いながらも 代償にしたものは。

    現実と架空の世界の中で さまよう律子に
    大原鳳月の 影が 見え隠れする。 

  • 2012/5/6(日)怖いよう

  • 著名な女流作家・大原鳳月が若手演出家とともに、自宅の茶室で焼死した。
    鳳月の秘書の若桑律子は、書いた原稿を持って編集者の堀口の元に置いてきた。
    小説の主人公は、嵯峨野淑子と書かれていたがその設定から大原鳳月の事が書かれていた。
    その原稿を見て上司は、ノンフィクションの手記にして出版しようと言だす。
    若桑は、それを承諾してノンフィクションに書き直した。
    堀口は、この続きの原稿を貰いそして続きを読むと、死んだはずの鳳月の流麗さを帯びた文体に変った事を感じる。
    若桑は鳳月の遺作を隠し、自分の名前で出そうとしているのか?
    疑いを持った堀口は、若桑の書いてる所を見ようと彼女の家に行く。
    そこで見たものは、時を忘れるくらい集中して書き続ける彼女の姿だった。
    しかしそこには・・・。
    死してもなお、消えない愛執の念を書いたホラーです。

    と、言う事で久々に篠田節子を読みました。
    今回は、ぼちぼちです。

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著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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