絶対泣かない (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 2972
レビュー : 323
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041970058

作品紹介・あらすじ

あなたの夢はなんですか。仕事に満足してますか、誇りを持っていますか? 専業主婦から看護婦、秘書、エステティシャン。自立と夢を追い求める15の職業の女たちの心の闘いを描いた、元気の出る小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 短篇集というよりは、ショートショート集。
    幸不幸はあるけれど、なぜか読み終えたときには「よし、また少しずつ歩こう」と思える、女性にオススメの1冊。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    15の職業の中で生きる女性たちの断片を、時には本人の視点から、時には第三者の視点から書いたショートショート集です。
    どのお話もすごく読みやすく、隙間時間に読み進められます。

    登場する女性たちは、職業も、置かれた境遇も何もかもが違います。
    1話1話、こんなに少ないページ数にも関わらず、どの女性たちの姿も、あざやかにイメージできるので、驚きました。

    本タイトルは「絶対泣かない」となっていて、同タイトルのお話も収録されています。
    とても見事だったのは、その本タイトルとラストのエッセイの呼応性です。

    文庫あとがきの後には、「涙の力」というエッセイが収録されています。
    このエッセイは著者が書いたものではなく、手相観(てそうみ)の日笠雅水さんによって書かれたものです。
    なぜこのエッセイがこの位置にあるのか、なぜ著者ではなく日笠さんが書かれているのか、その理由は文庫あとがきにて書かれています。
    「涙の力」には、「いろんな人が泣いた状況」、もっと端的に言うと「涙の流し方」が書かれています。
    本タイトルが「絶対泣かない」なのに、その本のラストを飾るのが「涙の流し方」だなんて、すごく素敵だなと思いませんか。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    女性、というだけで理不尽な目に合うことも、たくさんあります(もちろん、男性というだけでひどい目にあうこともありますけれども…)
    そんなとき、このお話の多くの女性は、涙をこらえ、その先の人生になんとか進もうとしています。

    でもやっぱり、「絶対泣かない」で生きるって、しんどいです。
    つらいとき、悲しいときに涙をこらえて進むって、本当にしんどい。
    だからこそ、この本のラストには「涙の力」というエッセイが、そっと置かれているのだと思います。

    さまざまな境遇で生きる女性の姿を通して、泣くこと、泣かないこと、どちらの世界ものぞいてみませんか。

  • 仕事に就いている女性それぞれの悩みを描いた短編集。
    短いので、一つ一つはすぐに読めます。
    誰にでもある迷いや落ち込み、人生の転機…
    もがいているうちに、ふっと何かが変わったり、見てくれている人がいたり。

    「花のような人」フラワーデザイナー
    損害保険会社に入社した同期の女性6人のうち…
    それぞれの理由でだんだん辞めていった。最後の一人は、フラワーデザイナーに。再会したときには?

    「ものすごく見栄っぱり」体育教師
    長身でがっちりした体育教師の女性。あだ名はアケボノ。
    華奢で弱々しい女の子にイライラして、ずばっと叱ってしまうが…

    「今年はじめての半袖」デパート店員
    失恋して会社を辞め、デパートに再就職。
    独りで日曜や祝日を過ごす羽目にならないのが救いだった。夢中で2年が過ぎ…

    「愛でしょ、愛」漫画家
    東京に出た娘が漫画家になっていたことを突然知った母親。しかも、大胆な作風のよう。訪ねていくと、部屋には彼氏もいて…?

    「話を聞かせて」営業部員
    営業に変わって、熱心に通う。どう頑張っても毎回冷たくされる店があり、彼氏に愚痴をこぼしていると、時間が良くないのではとアドヴァイスされる。
    別な時間に行ってみて、初めて知ったことは…?

    「アフターファイブ」派遣・ファイリング
    時間内は一生懸命仕事をしているのに、かえって働き過ぎだという苦情が出る。
    その理由は…

    「天使をなめるな」看護婦
    「女神の職業」女優
    「気持ちを計る」タイムキーパー
    「真面目であればあるほど」銀行員
    「もういちど夢を見よう」水泳インストラクター
    「絶対、泣かない」秘書
    「卒業式まで」養護教諭
    「女に生まれてきたからには」エステティシャン
    後書きに、依頼されて占い師の人が登場しているのも異色ですね。

    なんとなく元気が出ます。
    一つが短いので、すべて問題が解決するというような展開ではないんだけど。
    ちょっと何かが見える。
    みんな、いろいろあるけど、仕方ないんだよ、頑張ってるよねー!時にはいいこともあるよねって♪

  • 日常に起きていそうな小さな事件や出来事を、異なる職業ごとに体感することができました。
    仕事が嫌になってしまうことがあるけれども、そんな時に少し勇気を分けてくれそうな作品かなと思いました。


    個人的に、「話を聞かせて」という作品が一番ほっこりしました。
    いい彼氏を持っていますね。この子は。笑

  • 15のお話からなる短編集。
    絶対泣かない がんばるぞという話から 何してるんだろう自分は・・・と考えている話などいろいろないなお話がある。
    わかるわかると思いながら読んだ話 ちょっと意味が分からないかなと首をかしげたお話 この人の今後を見てみたいと思う話。自分の好きな話を探すのも面白いかも。
    わたしがすきな話は 愛の軌跡 天使をなめるな 絶対泣かないの3個かな。

  • 短編よりも短いサラッと読めるお仕事小説。内容的には短い分物足りない気もするけどいろんな職業のいろんな人達の泣きたい場面が見ることが出来て得した気分になった。一生のうち自分が体験できる仕事は多くない。自分にあった仕事が出来て職場環境もいいというのは滅多にないのだろう。それでも自分の選択で生きていかなくてはならない。

  • あぁ、もう、頑張るしかないな。

    と思わされてしまう、様々な職業の働く女性を描いた短編集。みんな頑張ってるんだなぁ。だから私も、頑張るしかないんだよなぁ。

    決してエールを送ってくれるという感じじゃないんだけれども、働く女性が読むと、きっと、ちょっとだけ前向きになれるんじゃないかな。そんな気がする。

  • 読み終えて改めて数えてみると15のお話が収録されていました。
    どれも働く女性が主人公のお話です。
    文庫版で結構薄い本なので1話、1話はとても短い話となっています。

    保険会社の総務に配属された女性と受付に配属された女性。
    総務に配属された主人公は一生働くつもりで色んな資格を取っている。
    それを隣で見て不思議がっていた美しい受付嬢だったが、先に自分のやりたい事を見つけて会社を飛び出したのは受付嬢の方。
    その後偶然会った彼女は受付をしていた時のように輝いておらず、疲れて見えた。
    最初はそれほどの覚悟も考えもなくフラワーデザイナーという仕事を選んだ彼女に痛々しい思いを抱いていた主人公だったが-。(花のような人)

    まずこんな話から始まり、
    曙に似ている体育教師、失恋をきっかけに事務職からデパート店員に転職した女性、娘がレディコミの漫画家だと知った女性の話・・・と15人の働く女性たちが登場します。
    どれもこれもどこにでもいそうな人々が主人公で、ドラマチックな展開がある訳でなく、日常の一コマを切り取ったさり気ない話ばかりですが、それが共感できる話ばかりで良かった。
    短い話ばかりなだけに、すぐに話に入れないとキツいけど、スッと入れてラストも爽やかで何となくしみじみくる話ばかり。
    読んでいて、そんなさりげない場面を切り取る、作者の感性の鋭さを感じました。

    好きな話ばかりですが、中でも私が好きだと思ったのは、ファイリングの仕事をする派遣社員の話とノルマを達成するために友人たちに定期を頼み、その替わりとして色んなものを買わされる真面目な銀行員の女性の話、そしてタイトルの「絶対泣かない」という話です。
    「絶対泣かない」は、秘書として雇われた会社の女社長が実は小学生の頃の同級生で、その頃、主人公は人生ピークで、おどおどした女社長のことを虐めていた、そして大人になって立場が逆転して-という話でした。

    どれも読んでいて、「嫌な事があっても頑張って働いてるのは私だけじゃないんだな~」「明日も働こうか」と静かに勇気づけられるお話ばかりです。

  • 色んな女性の色んな仕事を見れて本当に楽しい小説だった。
    色んな世界をそっと覗かせてもらってる感じ。
    そして、どの女性も素敵だった。
    あとがきにあったように、自分の仕事を好きになったり、実は自由でいれることを思い出そうと思った。
    読みやすかったー。

  • これが20年以上も昔に書かれているということが驚き。改版の特別カバーがかわいい。
    日々奮闘するさまざまな職業の女性たちの、ショートショート。
    今の仕事に不満ばかりで転職を目論んでいる私にはぴったりだったかもしれない。
    働き安さ、待遇、安定、やりがい、夢、給料、地位名声、そのどれも手にすることは難しい。どれを優先してどの仕事をするかは自分次第なのだ。
    実のところ私は「子持ちだから」ということを免罪符にしたり、残業もできないし、資格もないし、学歴もないし、取り柄もないし……とただ言い訳ばかり並べで逃げ道をつくりだしているだけだって分かってる。それで不満タラタラで今の仕事に甘んじている。
    この小説を読んでいて、そんな自分が恥ずかしくてしょうがなかった。みんな頑張ってる。私は、仕事が生きがいと言い切れるような仕事がしたい。

  • 題名からして重たい話かと思っていたがさらさらとした本。
    女性が読むともう少し違う感じを受けるのかな。

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著者プロフィール

1962年神奈川県生れ。OL生活を経て作家デビュー。99年『恋愛中毒』で吉川英治文学新人賞、2001年『プラナリア』で直木賞を受賞。著書に『ブルーもしくはブルー』『あなたには帰る家がある』『眠れるラプンツェル』『絶対泣かない』『群青の夜の羽毛布』『落花流水』『そして私は一人になった』『ファースト・プライオリティー』『再婚生活』『アカペラ』『なぎさ』『自転しながら公転する』など多数。

「2021年 『ブルーもしくはブルー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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