- Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041970096
作品紹介・あらすじ
一緒に暮らして十年、こぎれいなマンションに住み、互いの生活に干渉せず、家計も別々。傍目には羨ましがられる夫婦関係は、夫の何気ない一言で砕けた。結婚のなかで手探りしあう男女の機微を描いた短篇集。
感想・レビュー・書評
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紙婚式 山本文緒 著
山本さんの購読は初めまして。
寄贈してくださった方の本の一冊です。
描かれているのは、複数組の夫婦の姿です。
いずれも、決して良好な関係ではなく、すれ違いの姿です。
初版は1989年。
そう、バブルが終わる時期です。
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さて、厚生労働者の人口動態統計/平成27年の離婚率は、
1975年 12.7%
1990年 21.8%
2015年 35.6%
です。
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2015年の方が、小説執筆時期よりも、遙かに高い割合です。
紙婚式の小説で描かれている夫婦像は、現代の令和の時代にこそ共通事項が多いのかも、、、と考える機会となりました。
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色んな道筋で深まる夫婦の溝の、その複雑で不可逆なもつれと、その発端の幼稚さが描かれている。
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一見うまくいっているように見える夫婦たちの問題点。
どの夫婦も共通して、関係や生活に違和感を持ち始めても、正面からぶつかろうとしない。
そして後戻りできないところまできてやっと気付く。それが日本の夫婦の形なのか?と思ってしまうくらい。
その点、唯一正面からぶつかった「秋茄子」の話が一番好きだった。
これから一生一緒に過ごしていくと決めた結婚だから、何でも思ったことをお互い口にできる仲でいたい。 -
ハマっている山本文緒繋がりで読みました。
相変わらずちょっと暗い、閉塞感を感じる作品の数々。今回は結婚後の夫婦について
自分が上手くやれてる方なのかなと思うくらい上手くやれてない人達が多数出てきます。これはそういう作品なので仕方ないですが、誰かと一緒に暮らすというのはどこか我慢したり諦めたり、そして何よりそれがずっと続くという閉塞感。変化がないことに対する退屈。手放すのは簡単だが繋ぎ続けることは難しい。このような言葉が沁みました。
最初は終わりに向かっていく作品がおおいですが、最後の方は希望もあったり
おすすめは秋茄子 なんとか家族になっていきたいという気持ちが見えて安心 表題作の紙婚式もそもそもが破綻している夫婦関係から修復?とも見えるラスト。夫婦の在り方も自由になった今だからこそ、皆悩み、どうにかして生き続けるしかないのですね。 -
前に読んだのは20代の前半。
この本に出てくる男女はめちゃくちゃ格好良いと思っていた。今読むと「考え方甘いなぁ」という印象のお話しばかり。
今の生活が現実的すぎてこの90年ころの本を読み進めのは難しかった。
でも「自転しながら公転する」を読むのが楽しみである。残念ながら山本さんは亡くなってしまったが、この本は今がやはり旬なのかなと思う。 -
生々しい結婚と男・女の色々。端から見るのと実情はいつだって違う。一緒に暮らす、ということも、籍を共にする、ということも。
8作の短編集だったけど、それぞれの続きが気になる…。それでも続けるなんて、私には出来ない。私は、ね。 -
大恋愛の末結婚したわけでもなく、激しく憎しみあって別れたわけでもない。そんな夫婦像がリアルに感じる。
ただ結婚したら専業主婦になって家を守るという概念が今や古く感じる。 -
答えの出ない人生の色々
作者から投げかけられ
考える自分がいること
それが心地よく読み進めることが出来る -
屈折した夫婦だらけ。なんだかなあと思うけど、よくあることことかも、自分にも似たようなことがあるようなと思うと引きずられるように読んでしまう。
もっと、カラッと明るくいきたいもんだけどなあ。