ハックルベリ・フィンの冒険 トウェイン完訳コレクション (角川文庫)
- KADOKAWA (2004年8月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (656ページ)
- / ISBN・EAN: 9784042142065
作品紹介・あらすじ
自由と開放の地を求め、相棒の黒人ジムとミシシッピ川を下る筏の旅に出るハックルベリ。様々な人種や身分の人々との触れ合いを通して、人間として本当に大切なもの、かけがえのない真実を見出してゆく。
感想・レビュー・書評
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社会、宗教、慣習といった強い(強く見える)ものに追従、盲信する人の愚かさを容赦なく描いているので、ハックがそれらに背を向ける決意をする場面がより心を揺さぶり、思わず涙した。
個人的にショックだったのは、私刑を受ける詐欺師達に対して自らも被害者でもあるハックが憐れみを覚えるところ。
私は当事者どころか同じ世界の住人ですらないのに、彼らが悪人だということを言い訳にして、とっちめられる姿を無意識に楽しみにしていたことに気づかされた…。
スカッとなんちゃらを喜んで見たりしないと日頃思っているだけにショック。
でもこれは消し去れる欲望ではないのだろうから、こうしてせめて自覚させてくれて良かった。
ところで、最後にこれ全部ハックが書いたという設定になっていたことに驚いた。
いや無理でしょ!ハック、幾つになってもこんな文章書けないでしょ!
その他にも、ハックの間違いに作者の風刺の意図があまりに透けて見えて、本の外に引き戻されるところがしばしば。
訳も時折、ちょっとやり過ぎでは…というところあり。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
マーク・トウェイン「ハックルベリー・フィンの冒険」
児童小説の体裁をとった大傑作。
良心の呵責、神の認識、恐怖、謝罪、祈り、葛藤。
そしてこの一文に震えなかったものを私は信用しない
「All right, then, I'll go to hell
よし、それなら、俺は地獄に行こう」 -
アメリカで奴隷制度があったこと、今でも黒人の差別で何かとニュースになることは何となく聞いたことがある。しかし、「奴隷」の黒人がいた時代のアメリカでどのように扱われていたか、白人黒人がお互いどのように日々を過ごしていたかを多少なりとも理解を深めさせてくれる話だった。それとアメリカにおけるキリスト教徒としての在り方とか。
さて本書はハックの冒険日記みたいなものである。トムソーヤーとは異なるハックならではの苦しみを背負いつつ、巧み過ぎる世渡りでなんとか生きていくサバイバル。冒険というよりもっとふさわしい表現がある気がするが思い浮かばない。ゆく手に現れる、ギリギリ普通そうでかねり危険な大人たちがその都度怖い。渡る世間は鬼ばかり、ってのが頭に浮かんだ。
冒頭の黒人の話題に戻るが、ハックとジム、さらにその他の黒人とのやりとりが一番印象に残った。ハックはジムはお互いを大事な理解者とはしているが、親友とか相棒、というのとは違い現代から見たら差別的なものでもある。しかしそこに悪気とか見下すとかではない自然な意識に見えた。例えるなら農家が家畜を大事にするようなものだろうか。勿論、黒人をひどく扱う白人もたくさん出てくる。また、黒人の側もそれを差別とは意識せず白人との違い自然なものとして生きているように見えた。それが自然だったのだろう。キリスト教の話もよく出るが、教えの中でも白人と黒人の差別は不自然ではないのかな?事情に詳しく無い人間の感想だが、、、
最後に、なんで終盤にあの人が急に出てきたんだろうか。そこはもやもやするし、あとかなり長い話なのも気になるが読んで良かった話でした。 -
高校生のときにブルーハーツの1000のバイオリンを聴いてから気になってた作品。15年以上経ってからやっと読んだ。トウェインが描くアメリカの自由の精神とはどういうものか、改めて感じられた、かな。ハックの前向きさと勢いと成長が眩しい。あと表紙がカワイイ。
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3.76/308
内容(「BOOK」データベースより)
『ハック・フィンにとって大切なもの―勇気、冒険、そして、自由。窮屈な生活から抜け出すために、ハックは黒人ジムを相棒に、ミシシッピ川を下る逃亡計画をはかる。途中で出会う人人は、人種も生活も考えもバラバラ。何度も危険にさらされながら、他人の親切に助けられて…ふたりが手にした、本当の自由と幸せとは?アメリカの精神を生き生きと描いたトウェインの最高傑作を、最新の翻訳で贈る決定版。』
原書名:『The Adventures of Huckleberry Finn』
著者:マーク・トウェイン (Mark Twain)
訳者:大久保 博
出版社 : KADOKAWA
文庫 : 652ページ
メモ:
・松岡正剛の千夜千冊 611夜
・英語で書かれた小説ベスト100(The Guardian)「the 100 best novels written in english」
・世界文学ベスト100冊(Norwegian Book Clubs)
・死ぬまでに読むべき小説1000冊(The Guardian)「Guardian's 1000 novels everyone must read」
・西洋文学この百冊 -
黒人差別というものは実際見たわけでもなく、全くわからないものだったが、当時の南部の雰囲気と共にその扱いがわかる。いかにハックが必死であるかも…
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ハックルベリ・フィンは口がうまい。生き抜く力はトム・ソーヤにも勝るほどピカイチだと思った。
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ディズニーランドへ行って、「トムソーヤーの冒険を読みたくなって読んだ。次に「ハックルベリーフィンの冒険」を読みたくなったので購入。
トムソーヤーの冒険は単なる児童書だが、こっちの方は文学的に優れ、研究されているらしい。
とにかく分厚い。こんなに文字が詰まってて600ページって相当だよ。
当たり前のように黒人奴隷売買とか集団リンチとかの話が出てきて時代を感じる。禁書にした図書館もあるらしい。 -
さらっと読んだだけでもとっても面白いけど、じっくり読み直すともっと面白いんだろうな。個人的には第31章、ハックが自分の中の「道徳」心と闘いながら、売り払われたジムを助け出そうと決意するくだり、「よし、それなら、オレは地獄に行こう。」… 震えた。本当に読むべき小説。
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ハックが筏に乗って黒人奴隷と旅する物語。