- Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
- / ISBN・EAN: 9784042536031
感想・レビュー・書評
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ここんとこ探し出しては読んでいる最後の一撃もののひとつ。ん~、これはなんなんだ。心理ミステリというより心理小説かな。連続レイプ事件が起こるのだけどそれはまあサイドストーリーであって、主題は主人公ハリーの2人の女性への揺れ動く恋愛心理がぐだぐだと綴られる。なことどうでもいいよ、いいかげんにしろよと言いたくなる。最後の一撃はまあ意外ではあるけど、本筋とあまりかかわってない気がする。して肝心の事件の真相に関しては反則っぽいし。読み終えて全然感情移入できない主人公に振り回されただけのあほらしさしか残らない。
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サイコ・スリラーと言っても、猟奇的な事件が起こるわけでもないし、レクター博士みたいな犯人が出てくるわけでもない。ストーリーの巧みさと、深層心理のえぐり方で読ませる作品なのだ。
小説家志望の主人公、情緒不安定な妻、かつての恋人との再会、とまあ、よくある三角関係の構図ではあるが、ストーリーが膨らめば膨らむほど、彼らは精神的に追い詰められていく。だんだん霧が深くなるような、そんな、見えない狂気と悪意に逃げ場を塞がれる不気味な空気感が、ある意味心地よかった。
ラストの展開は読み応え抜群。徐々にページ数がなくなる中でどうやって終結させるのかと思っていたら、ラスト二行で、全くの死角から予期せぬ一撃に見舞われた。インパクト大のフィニッシング・ストローク。このラストのために逆算して緻密なストーリーを構築していたことには素直に脱帽。
でも、時間が経つにつれて何故かモヤモヤ感が大きくなる。一撃の陰に隠れてしまったが、全部スッキリ解決というわけではない。サイコ・スリラーであって、本格ではないってことか。