スコッチに涙を託して (角川文庫)

制作 : Dennis Lehane  鎌田 三平 
  • 角川書店
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レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042791010

感想・レビュー・書評

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  • 何度目か分からない再読。作者の意気込みがすごく伝わってくる作品。パトリックとアンジーが生まれ育ち、今尚暮らすボストンという街が抱える様々な光と陰を丁寧に描いている。パトリックの一人称だが、彼は人種や政治、夫婦間や親子間の虐待問題等、どんなことも自分の問題として考える誠実さがある。決して大上段に構えず、解決できない問題でも、自分に出来ることを自分らしくやるのだ。もちろん、プロットも上手くて彼らが依頼された事件が様相を変えていく過程はドキドキする。でもこのシリーズが成功したのは、パトリックとアンジーがいつでも遭遇する事件や問題の痛みを自分自身が感じて苦悩する誠実さにあると思う。読者はそこに一番共感するのだと思う。

  • 読むのに時間がかかったが面白かった。パトリック&アンジーシリーズ。とりあえず、くそったれな亭主とどうなるのかが気になって読み進めるところもあった。

  • ちょうどバーで読む本がなかったため、購入した作品。スコッチって書いてあった、っていうただそれだけで選んだのだが、これがまた面白かった。

    ボストンで探偵事務所を営む、パトリックとアンジーは幼馴染。アンジーは同じく幼馴染のフィルと結婚している。
    ふたりのプラトニックな関係と、パトリックからアンジーに向ける好意、「昔はいいやつだったのに」の典型のフィルに対するパトリックの憎悪、殺人マシンで街中の裏稼業の連中から恐れられているブッバ、など、主人公と彼らをとりまくメインメンバーのそれぞれへの気持ちが、事件と絡み合って展開していく。

    依頼は、ある重要な書類を持って行方をくらました掃除婦を探してほしいという、上院議員からの依頼だった。それが、裏の世界の勢力争いに巻き込まれていくきっかけとなる。

    掃除婦が持ち出した書類とは何か、その書類の真実は何か、というのが、この事件のポイント。
    そこから、黒人差別、性的虐待、親子の断絶といった現代を象徴する問題が浮かび上がってくる。

    チャンドラーの正当な後継者と呼ばれている(らしい)作者。
    フィリップ・マーロウに比べるとパトリックとアンジーはやや暴力的ではあるが、世間に対する確固たる信念を持っているところや、いわゆる「世間の目」にとらわれない自由な意見を持ち、そのせいでアウトサイダーであることを余儀なくされているところ、そして皮肉屋なところは、まさしく。

    また、現代の闇を描き続けているせいなのか、このシリーズ、やたら人が死んでいく。
    暗く、重い物語やテーマを、軽快な行動力で引っ張って行ってくれるパトリックとアンジーが、魅力的だ。

  • 面白い探偵小説の条件その1、どこか情けないがやる時はやる探偵と、相棒は美貌とユーモアの持ち主♀、という組合せ。

  • 先に映画の『ゴーン・ベイビー・ゴーン』を観て、このパトリック&アンジーシリーズを知りました。
    作家デニス・ルヘインと監督ベン・アフレックのせいで、私のボストンのイメージはギャングの抗争と強盗が多発する超犯罪都市となっている。けれど彼らの作品に触れると無性にボストンを訪れたくなるのは、彼らのボストン愛が作品から伝わってくるからだと思う。

    探偵のパトリックより、彼を助ける最強の友人知人たちの能力に頼るところが多すぎる気がする。それでも彼らの軽快で小気味よい会話は読んでて思わず笑ってしまうほど面白いです。
    一人称で語られるんですが、パトリックの例えがいちいち変。そしてシニカル。

  • ★粗筋★
    私立探偵パトリックのもとに、ある大物議員から依頼が舞い込んできた。「掃除婦が盗んだ法案に関する書類を取り返してほしい」
    パトリックと相棒アンジーが見せる名コンビで、幾多の危機を乗り越えられるか?


    探偵ハードボイルドもののなかでは、割としっかりストーリーを作ってます。軽妙でウィットに富んだ会話は少なめ。プロットのたて方は上手いとは言えんけど、暇潰しにはいいんじゃないでしょうか?

  • 2011年12月6日読了。

  • 探偵パトリックに上院議員からもたらされた仕事は重要書類を盗んで失踪した掃除婦を探すこと。しかし見つかった掃除婦はパトリックの眼前で殺されてしまい…。

    「穢れしものに祝福を」をより楽しむために、シリーズの最初から読んでみた。
    キャラクター、話しともによく出来ていて、これがデビュー作だとは思えないほど。
    ハードボイルドも洒落た文体も苦手なんだけど、これはまったく気にならなかった。過剰な描写がないからなのかな?
    ギャングの抗争にも、パトリックたちの受難にもあまり不快感を感じず、さらりと読めた。いや、本当はそれじゃダメなんだろうけど。
    強いて言えば、パトリックがワイルドカードを持ちすぎてるようなする。歩く破壊兵器ブッパだけで十分じゃないのかなー。

  • 「運命の日」がすごかったので読んでみる。作者の初探偵小説にしてデビュー作!舞台は93年前後のまだインターネットも携帯電話も普及前のボストン。色男パトリックと家庭内暴力に悩む美貌のわけあり人妻アンジーがコンビを組む探偵シリーズ第1作。90年代のボストンってこんなに荒れ果てているんだっけ?ギャングは撃ちまくる、車は横転する、屍累々のハリウッド映画のような展開だが、テーマは幼児虐待と人種差別が根底に流れており、重い。なんでこの二人が最初からイチャイチャしているのか?なんでアンジーのジョークが鼻につくのか?最初はなかなか乗れなかった・・・波に乗れれば大丈夫。しかし、こんな色っぽい美人の相棒にいちいち絡まれて仕事になるのか???うらやましいけど私はダメです・・・

  • アンジー&パトリックシリーズの1作目。私はこの本で本好きになったといってもいいかも。

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