今日という日は贈りもの (角川文庫 ウ 21-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042967019

作品紹介・あらすじ

「後悔によっては何一つ変えることはできない、自分が擦り減ってしまうだけ。必要なだけの勇気は、自分自身の中にある」――ロングセラー『今日は死ぬのにもってこいの日』の著者が贈る、愛と感動の言葉集。

感想・レビュー・書評

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  • ウンチクの深い本であるという大前提に立っている、と批評すると、自らの未熟さを顕しているという批判を浴びかねないが、敢えていうなら「まあまあ」という内容だ。詩の形式をとっているというのは散文詩のことで、言葉に二重の意味を持たせて文明批評を行ない哲学を示しながら、アニミズム的な信仰を文明の根幹として伝えようとしている。それらをどのように理解するかは、追体験のない読者は知りようがない。しかしこのように言い切ってしまうと身も蓋もないので、自分の境遇に引き寄せて翻訳するなら、先住民に与えられた土地において引き継がれてきたあれこれのうち、ポジティブなものを咀嚼したイデアリズムというところかもしれない。もちろん、負の側面を覆い隠したからと言って正の側面が否定されることはなく、「12月の月」の章で言及されている「今日という日は贈りもの」という一節には深い洞察があると素直に思えた。それ以外にも納得できる箇所は少なくないが、前述したように、体験を前提とした啓蒙には自ずと限界があると思う。

  • ラブレターです

  • 「今日は死ぬのにもってこいの日」で知られるナンシー・ウッドが、12ヶ月のひと月ひと月を題材に、ネイティヴ・アメリカン(いわゆるインディアン)の知恵と詩とを組み合わせて表現した小品集。
    「今日は...」と同じく、その自然に基づく英知は広く、深く、そして染み入る。
    また、掲載されている詩が、素晴らしい小品揃い。
    中でもいくつかの詩は、強く心に突き刺さりました。
    手元に置いて読み返したい本でした。

  • ゆっくりよむ。再読する。そういう態度が推奨される、懐の大きな詩集。

    ”This day is a gift. Do not waste a single moment.
    Hold snow in your hand until it melts.
    Notice the color of the sky.
    Listen to the wind.
    Wach a bird flying south.
    Smell winter on the wind.
    Suffering is the transformation of the self into a shaper, clearer world. There, loving kindness begins.”

    贈られたものを観取するために、一瞬も無駄にしてはならない。

  • 「今日という日は贈りもの」そう思えるように日々過ごせたらどんなにステキかと思うが、中々どうしてそうはいかない現実。

    結論として「ラピュタ」のシータの名せりふによっちゃうとは思うのだが、便利さと豊かさとどっちをとろうかねぇ。と。

  • 武力や経済優先にまわる地球は、破滅へ向かっていると思う。
    各地の先住民や、(明治維新前までの)日本人は、パソコンやロケットなどは発明できなかったかもしれないけど、原発や地球を汚す化学物質を生み出すことは、なかったと思う。

    全ての植物、生き物に霊が宿ると信じる生き方を守り続ければ、死をむかえたときには、大地にかえっていくことができるはず。
    この詩集は、そのことを深く思い起こさせてくれる。

    子どものころから私の心の中にある「女尊男卑」。
    父親をふくめ、常に(?)男性関係が良好であるにもかかわらず、私はどうして「女尊男卑」なのか、常々、自分自身、不思議に思っていたけれど、それは、「女尊男卑」ではなく、武力や経済優先の生き方のようなものに対する反発だったのだと、下記の詩を読んで、すっきりしました。

            〈P22~23から引用〉
        女心の精

    女心の精ははるか昔
    創造主によって遣わされた
    子どもたち、動物と植物、木と岩、そしてまた男たちを育てるために
    男たちはその荒々しい性をやわらげまいと抗った。

    女心の精は砂漠と山々をめぐった
    意識を創造する方法を求めて。
    意識、それは地球の生存に必要な食物
    大地に美を認識するもの。

    女心の精は野性で飼い慣らされていなかった
    川や風に似て
    川や風は彼女に教えた
    男たちや子どもたちのこととは違ったある種の知識を。

    女心の精は守護者となった
    言語と音楽と物語との。
    それは世界が変わり想像力が枯渇するとき
    鳥や動物や人々が必要とするもの。

    女心の精は思いやりの番人となった
    それは強くしかし目には見えずに、すべての生き物を結ぶもの
    そう、女心の精は世界の始まりに見落とされた
    愛に他ならない。

  • 住みにくい現代社会にあって、生きかたを考えさせられます。ポジティブな考え方です。

  • 言葉が美。

    自然のありがたさを感じれる。

    きれいな詩

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著者プロフィール

1936年生まれ。ニューメキシコ州のタオス・プエブロ・インディアンと30年以上の交流を持つ。詩・小説・ノンフィクション・写真など幅広い分野で活躍し、国営芸術基金からの文学奨励金のほか、多数の賞を授与されている。1977年には、彼女の詩集のひとつがピュリッツアー賞音楽部門にノミネートされた。代表作に『今日という日は贈りもの』(講談社)、『コヨーテを愛した少女』(パロル舎)など。

「1995年 『今日は死ぬのにもってこいの日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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