- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043572236
作品紹介・あらすじ
柏木はハンサムな若き調香師。彼の調合する香水を求め、店には多くの婦人たちが訪れる。だが柏木には大きな秘密があった。彼は調香師にして-連続殺人鬼。命を失ってから数時間にわたって皮膚から立ちのぼる『その薫り』に包まれながら、殺した女を犯すことが、彼の至上の喜びなのだ-。だが今までで最高に惹かれる『その薫り』の美少女・レイナと出会った時、禁断の悲劇が幕を開けた…!倒錯的エロティック・ホラー。
感想・レビュー・書評
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特定の女性の<香り>に魅せられた青年の犯罪。
「殺人鬼を飼う女」ではワインでしたが、今回は香水。
実にエロい。
やはり、大石圭はエロの本質、人間の器官のなかで脳が一番Hだという、そのことがわかってらっしゃる。
本という媒体で、決して匂いはわからないのに、ページをくるごとに沸き立ってくるような香り。わからないはずなのに、その匂いを感じさせる表現力。
しかも、それを官能につなげるという筋道が、まさに職人技。
まぁ、青年の生い立ちが物語の背景にあって、それが始まりであり終わりでもあるというのは、ちょっと予定地調和すぎるんじゃないかと思わないでもないんだけどね。
つか、青年が、殺人を犯す以外の部分では、すごくまっとうなむしろ好青年であるのがむしろ怖い。
そんな風に、一部だけが狂ってるって、救いも癒しもないように思うよ。
うむ。
へんにストーリーを奇抜にしなかったのは、むしろどうしようもなく狂っている男の悲劇を浮き彫りにするためだったのかもしれないなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とある「薫り」に魅せられた、フェティシズム殺人鬼の物語。官能的、ではあるけれどどぎつい描写はそれほどなく、殺す部分についてもやっぱり淡々と。退廃的で、どこかしら美しくて。理解は出来ないけれど、それほどえぐいという気はしないなあ。
香水の調合に関する部分は魅力的。こんな店、あったら行っちゃうかも。そして彼がたどりつく物語の結末は……ああ、やっぱりそういうことだったのか~。あまりに皮肉で、数奇。でもこうなる気はしていました。 -
大石圭氏の、シリアルキラーをテーマにした作品の一つ。2011年刊行。
殺人鬼が美青年という設定は以前に『殺人勤務医』で読んだ設定、屍姦という設定も以前『死人を恋う』で読んだ設定。かといって、既視感だらけのつまらない物語ということはなく、主人公の殺人鬼が『香り』を求めて女性を殺すという設定が加わると、耽美的かつ猟奇的な雰囲気になり、どこか、昭和初期の変格派探偵小説を読むのと似た味わいさえありました。個人的な好みで言えば、大石圭作品の中でも上位の作品でした。 -
エロチックホラー。途中でオチが読めたものの、最後までしっかり読ませる魅力があった。
出てくる香水のひとつひとつを嗅いでみたくなった。 -
エロチックホラー。展開やオチは想像できつつ、電車で読んだから、ちょっと周りを気にしながら読んだ(笑)
香水欲しくなりました。 -
予想を裏切る展開は一切なく、淡々と物語が進行して終わった感じでした。
主人公がなまじ優しい面を持っているため、悪い人に見えなくなってきて本当に困りました。
「その薫り」を追い求めて罪を重ねる姿が、なんだかとてつもなく切なかったです………。 -
またまたお母さんとか、近親的…。でも、香りの描写とかよかった。この人の作品は細かいところより、文章好きだから読む。
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『薫り』がテーマの官能ミステリー。その『薫り』を嗅ぐと欲情し殺したくなるなんて。大石さん描く殺人鬼は大抵が虫も殺せぬような優男で、被害者の特徴もいつも似かよった感じ。最後の展開も『やっぱりそうだったか』と思いつつ、最後までテンポよく読み進められた。
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大体の話の落ちはわかりつつ、最後まで読了しました。
長く、同じパターンの描写が続くのに飽きずに読ませるのはすごいかな。
でも「その薫り」を持っている女性たちの共通点は結局何だったのかが謎ですた。。
たまたまってことでおけ?