非在 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043731039

作品紹介・あらすじ

写真家の猫田は奄美大島で不審なフロッピーを拾う。その内容は、大学生数名が人魚の存在を求めて幻の島へ渡り、殺人事件に巻き込まれるというもの。すぐさま捜査が行われたが、それらしい島さえ存在しないという……

感想・レビュー・書評

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  • 嵐による遭難、たどり着いた目的の地、そして帰るべき手段も食料も失ったサークル一行。
    極限状態の中で、思いもかけない心理状態に陥っていく人間の弱さが露呈していく。
    閉ざされた孤島での連続殺人を描いているクローズド・サークルものである。
    海岸に流れ着いた1枚のフロッピーの中に綴られていたのは、驚くべき内容だった。
    いたずらかもしれない…拾った猫田は該当する大学のサークルに確認をとる。
    すると行方が知れないメンバーがいるという。
    これは本当に助けを求める知らせかも。
    そう思った猫田は警察に連絡を取り捜索が始まる。
    だが、捜索に向かった島には彼らの痕跡はなかった。
    歴史、民族学、そして自然科学。
    さまざまな分野の薀蓄が詰まっていて、それを読むだけでも楽しかった。
    後々になって「あれはそうだったのか」と思う場面も数多くあり、先の展開が読みにくいところも気にいった。
    学術的な説明部分は苦手な人もいるかもしれないが、興味はあるけれど詳しくはないという人は興味深く読むことができると思う。
    ただ、鳶さんこと鳶山久志が登場するまでは話が進まないため引きが弱いように感じた。
    鳶さんが登場してから物語はグッと加速し、それ以降は謎解きへ一直線へと進んでいく。
    ミステリーが好きな人にとっては、中盤から後半にかけて事件の大筋が見えてくるかもしれない。
    何よりも、猫田たちのすぐ近くで遺体となっていた男の死因が、あらたな可能性として提示され驚いた。
    「なるほど」と。
    あまり本筋とは関係のないようにみえる描写も、気がつけば重要な意味を持っている。
    さらっと読み過ごしていたため、結局戻ってその場面を確認したりしたことが、ミステリー好きとしてはちょっと悔しい。

  • つまらなくて途中で読むのやめて積んでる。

  • けっこう好き。孤島に人魚探しにきて行方不明になった大学生らの手記を入手し、島に調査に赴く主人公ら。人魚、蓬莱、徐福伝説といった幻想的な題材に加え非在というキーワードも興味深い。島で何が起こり学生らはどこに消えたのか、多くの謎が提示された状態から、ポイントとなる謎解きを通して全体の絵が見えてくるところは、細かな謎や伏線に一本の筋が通り衝撃的な真実も明かされなかなかに圧巻。ラストが蛇足かどうか微妙なところですが、自分はあってよかったと思う。
    多少不自然というか大学生らの行動が納得できるかという問題はあるのですが、ほんとのところ島の中で何があったか何が真実なのかは、本人たちの中にしかないのですよね。

  • タイトルからして間違いなくうまいんだけど、技巧に流れすぎという気も多少。つかみは抜群(なんせ「瓶に入った手紙」!)なだけに、最後まで正攻法で押し切らないのは惜しかった。探偵役(たち)の魅力がいまいち薄いのと、彼らと事件との関係もまた稀薄なのが敗因か。スリルとサスペンスというよりは、野次馬根性で首突っ込んだ感じ。
    メインのネタはわからなかったけど、「仙人」の秘密は途中で気づくことができた。だから言うわけではないが、ネタは総じて小粒。くり返すが——「孤島もの」「瓶に入った手紙」といったキャッチーな道具立てとはうらはらに——ゴリゴリのロジックでシリアスに攻めるタイプの作品ではないのである。個人的にはそこが惜しいが、これはもう好みの問題だろう。

    2016/7/4〜7/5読了

  • 観察者シリーズ二作目。
    人魚伝説。

  • ラストで混乱したのですが、この船って……。内容的には結構好きです。ただ、ちょっと練り込みが足りないような気はしました。一人称が「わし」だからって手記にまで「わし」って書くのかな?なんかそこだけ不自然だったし。それにしてもシリーズ物だったんですね。他も探して読んでみよう。

  • 思わせぶりなタイトルとは裏腹に、この小説のモデルとなった島は実在する。

  • 手記部分の読みづらさで前半がつらめですけど、中盤以降の展開は面白かったです。
    ちょっと、ネタが読みやすい気もしますが、孤島ものは久しぶりでしたので、充分楽しめました。
    というか、厳密には孤島ものでもないのかな?事件発生と、捜査のタイミングがずれていますしね。

  • 最初は引きこまれたが、途中からトーンダウン。

    投げかけが良いだけに残念だった。

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著者プロフィール

1960年福岡県生まれ。九州大学理学部卒業。2001年『中空』で第21回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞しデビュー。主な著作に「観察者」シリーズ、「綾鹿市」シリーズなど。碇卯人名義でテレビドラマ「相棒」シリーズのノベライズも執筆。2016年『死と砂時計』で第16回本格ミステリ大賞【小説部門】を受賞。

「2021年 『指切りパズル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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