きみが見つける物語 十代のための新名作 スクール編 (角川文庫 あ 100-101)
- 角川グループパブリッシング (2008年6月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043894017
感想・レビュー・書評
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「僕がボクシングを気に入った理由のひとつは、そこに深みがあるからなんです。人は勝つこともあるし、負けることもあります。でもその深みを理解できていれば傷つきはしません。試合をしていると、ときどき自分が深い穴の中にいるみたいな気がします。その中で僕は暗闇を相手に戦っているんです。孤独です。でも悲しくないんです」
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村上春樹の「沈黙」と恩田陸の「大きな引き出し」が私がいちばん惹き付けられた。
アンソロジーだから色んな作者の物語に出会えて良かった。(語彙力皆無ですが、本当に良かったです) -
村上春樹の「沈黙」が抜群に良かったが、小学生だと、はやみねかおる「心霊写真」だろうか。
豊島ミホ「タンポポのわたげみたいだね」恩田陸「大きな引き出し」(常野物語より)も個人的には好み。加納朋子「三月の兎」も及第点。あさのあつこ「このグラウンドで」と北村薫「空飛ぶ馬」は抜き出し失敗というイメージを受けた。 -
いろいろな作品が読めますが、10代向けということで、軽い作品、淡々とした作品、深みのある小説と様々でした。
普段は何が言いたいんだ、と思う村上春樹作品ですが、ノーベル賞候補に上がるだけあって、やはりこの中では別格だと思いました。
文のリズム、人間心理の的確な言語化、間の取り方…。つかみ所のない雰囲気の作り方も段違い。淡々と話しているだけなのに、言葉の使い方が巧みで、題名の沈黙の意味に圧倒されました。
この歳になったからわかるようになったのかというものと、もうこのノリは飽きたなぁといものと、子供目線より出てくる大人目線になってしまっているので、感性の変化に気づけて面白かったです。
他の小説は、10代のころに読んでみたかった、というレベルでした。もちろん選ばれた作品ですから面白いのですが、ある程度小説慣れしていると先が読める話が多いです。 -
(内容)
いまどきのフレッシュな名作だけを厳選した超豪華ラインアップ。あさのあつこ、恩田陸、加納朋子、北村薫、豊島ミホ、はやみねかおる、村上春樹の傑作短編を収録。 -
実家に帰って本棚を漁ってたら見つけた。というか昔自分で買ったくせに読んでないやつ。
個人的にサクッと読める短編集が好きで、これ以外にも何冊か読んだことがあるけれど、当然というかなんというか、作家ごとに文章の癖とか個性とか出るなーってことを強く感じたのはこれが最初だった気がする。
正確には、これまでの短編集はそんなこと考えもせずただ文字を追うだけで読んだ気になってたってことなんだろうな。もっと本を読もう -
昼休みとか、ちょっとした時間に読める小説を。と書店を探していた時に見つけました。はやみねかおる先生、懐かしいですね。掲載作品も、私が小学生くらいの頃に読んでいた物語だったりするので、『こんな話あったな〜』なんて思いながら読んでました。作家さんに関しては偏食なわたしでも、好きな作家さんの開拓に一役買ってくれたので、とても実りのある読書体験が出来ました。
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たんぽぽ~は、周りから見て可愛い自分とそうでない友達との付き合い方。最後は友情が戻り、お話はいい話なのですが、途中の子が学生のときにこういう下卑た笑い方しながら人より下と見えればとことん馬鹿にする人っていたなぁと、読みながら思い出して気分が悪くなってしまいました。
引き出しの話は読んだことがありましたが、やっぱり何でもしまえる力って素晴らしいですね。いろいろ不都合はあるけれど、なりたいものに基本なれそうですし。
心霊写真と空飛ぶ馬はどちらも飛びぬけた推理力をもったひとがでてきて疑問を解決し、いい話だったんですが、インパクトに少しかけるように感じました。
三月の兎は話より最後の花束に惹かれました。今度そういう花束を誰かにあげたい。
このグラウンドではこの3人が人数が揃っている野球部に行ったらと考えずにはいられないお話。
沈黙がこの中では一番短いけれどしっかりしたお話に感じました。確かにこういう簡単にいうと世渡り上手ってがっこうだけではなく大人になってもいますね。最後は犯人が出てきたらよかったのにと思いつつでも出ないからこその現実感があります。現実はそんな都合がいい事にはならないですね。 -
こういう短編集は好きだ。物語は日々のなにげない日常の中にある、そして新鮮な発見はいくつになっても感じ取れるものなんだと思う。「スクール編」でしかも「十代のための」とあるが、大人の自分でも充分楽しめた。
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今回収録されている短編は、全て角川以外から出ている本に収録されていたもので、角川さんの男気を感じます。
どの短編も楽しく読みましたが、人が作る社会の中で生きるには、色々な事に覚悟していないといけない。理不尽な事は、急に訪れるものだといことに、気づかせてくれた村上春樹さんの「沈黙」が、一番印象に残っています。