- Amazon.co.jp ・本 (656ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044003418
作品紹介・あらすじ
ニューオリンズで産声をあげたジャズは、めまぐるしくスタイルを変え、幾度もの黄金時代を経て、いかなる歴史を歩んだのか。そして、ルイ・アームストロング、チャーリー・パーカー、マイルス・デヴィスといった巨人たちの、挫折と栄光に彩られた人生の物語とは――。ジャズ評論に生涯をささげ、その草分けとして時代の熱情を見つめてきた第一人者が、数多のエピソードとともに描き出す古典的通史。巻末にディスコグラフィー収録。
感想・レビュー・書評
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日本を代表するジャズ評論家・油井正一がスイングジャーナルで連載していた記事を書籍化したものです。
本作は、油井正一の代表作で、ジャズ史の名著でもあります。
ニューオリンズでジャズが生まれた頃からモダンジャズが終わる頃までのシーンの遷移、各時代の代表的なアーティストの紹介、またジャズシーンの周辺について触れています。
これまでジャズに関する書籍を読み漁りましたが、この書籍が一番上手くジャズ史を纏めていると思います。
こちらの本はご存じの通り絶版になって、なかなか入手できなかったものの、再販されて嬉しい限り。ジャズに興味があるけどなかなか手を出せないという方に是非読んで頂きたい本です。
モダンジャズが終わってから現在までのシーンの遷移を、同じレベルでまとめた書籍があったら良いなと思っています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アメリカが生んだジャズ、その世界の歩みは決して希望に満ち溢れていた道とは言えなかったことだ。
いっときの白人主体の白人ビッグバンドのスウィング時代を経て、サッチモことルイアームストロング、デュークエリントンやカウントベーシーの登場を経て、音楽に大きな改革を引き起こしたセロニアスモンクやオーネットコールマンの登場によって、進歩的ジャズ・ファンは黒人が創り出すジャズを認めざるを得なくなる。
その傾向に抵抗する白人達は、冷酷にも黒人ジャズメン達に理由なきリンチを繰り返した。
私が愛するピアニストのセロニアスモンクは、白人の暴漢に襲われ右腕を二度も骨折し、演奏活動不能の状態を繰り返した。
だが、このような出来事に当の被害者は勿論、メディアなども口を固く閉ざし、表立った問題にもならなかったようだ。
このような非情とも言える社会は、ついこの前の60年代まで容赦なく続いていたのだ。
この他にも人間の残酷なまでのエピソードを、ジャズシーンを通してこの一冊が教えてくれる。