サンスクリット版縮訳 法華経 現代語訳 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044004095

作品紹介・あらすじ

経典独特の重複や繰り返しを大胆に割愛し、全27章のストーリー展開をスムーズに現代語訳で縮訳。時代背景も考慮しながら、経典の意味を改めて掘り起こし、詳細な解説と注を章ごとに収録した。
法華経研究の第一人者によるサンスクリット原典からの精緻な訳、最新研究をふまえた徹底解説により、法華経の「本当のすがた」を浮き彫りにする。

感想・レビュー・書評

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  • 師匠と弟子のやりとりで比喩に対して比喩で確認するみたいなことがあったりで、謎が深まるミステリー要素もある。シャカの死後に起こった出来事も踏まえてシャカに集約し、数百年かけて成立していった経典が、後世の私たちに伝えたかったシャカの真意とは?

  • 解説が秀逸。過去に「中身がない」と指摘されたこともなるほどと思う部分があり、納得。歴史的に付け加わった部分が本来の趣旨と違うこともあり、だから評価が混乱しているというのも納得。日本の文化に影響が大きいお経なので、こうして読めてよかった。

  •  著者はサンスクリッド語などを勉強して仏典を正確に訳すことでより正確な内容を把握しようと熱心に研究されている。仏典と真摯に向き合う姿勢に感心する。
     なかでも、文中に「法華経」とすればいいのに、「白蓮のように最も優れた正しい教え」と自身の訳を繰り返し使っていて大変気に入っていることがうかがえる。
     法華経の成り立ちから経典の内容まで、丁寧に解説してくれている。著者が法華経を敬う姿勢の顕れだ。
     「思想としての法華経」「ほんとうの法華経」も合わせて読むといいだろう。

  • ◯訳のおかげで、読みやすくなっているとはいえ、解説が無いと理解が難しい内容。しかし、お経について知る機会はあまりないため、大変興味深かった。
    ◯維摩経は物語としての展開がある分、頭に残りやすいが、法華経は難解な思想書の様相であり、お経特有の繰り返しや、過剰な賞賛によって本質も取りにくい。

    ◯法華経自体に後年付け足しが行われた形跡があるという点については、自らの信仰を正当化する意図なのか、不純な印象を受ける。
    ◯しかし、それら全てを包含し、あまねく法華経を授持する全てのものが救われるとする思想こそは、まさに仏教における宗教改革であり、実に興味深い。

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著者プロフィール

植木 雅俊(うえき・まさとし):1951年、長崎県島原市生まれ。仏教思想研究家。九州大学卒。理学修士(九州大学)、文学修士(東洋大学)、人文科学博士(お茶の水女子大学)。東方学院で中村元氏からインド思想・仏教思想論、水野善文氏からサンスクリット語を学ぶ。著書『仏教、本当の教え』『法華経とは何か』(以上、中公新書)、『ほんとうの法華経』(橋爪大三郎氏との共著、ちくま新書)ほか。訳書『梵漢和対照・現代語訳 法華経』上・下巻(岩波書店、2008年、毎日出版文化賞受賞)、『梵漢和対照・現代語訳 維摩経』(岩波書店、2011年、パピルス賞受賞)ほか。

「2024年 『日蓮の思想 『御義口伝』を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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