春画 SHUNGA ジャパノロジー・コレクション (角川ソフィア文庫)

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  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044004323

作品紹介・あらすじ

秘して見るのではなく笑って愉しむ。「春画」は一流の浮世絵師と刷師によるユーモアと技術の結晶だった。初期作品から江戸時代の傑作まで、「浮世絵春画」「肉筆春画」を多彩なテーマで紹介する春画入門!

感想・レビュー・書評

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  • 立ち読み。
    最近春画が流行ってるんだろうか。よく見かける気がする。
    北斎の「喜能会之故真通」が見たくて最初同じシリーズの『北斎』を探したんだけど載っていなくて、試しに見てみたらこっちに載っていた。

    所構わず行為に及んでいて、ううむと思ってしまった。
    時代が違えば常識も異なる。

  • 春画が江戸時代、秘めた物でなく、大っぴらに見られていた。江戸時代と明治以降では性の意識が違う。興味深い。

  • ・最近は春画を目にすることが多い。以前はかうではなかつた。いつからかうなつたのであらうか。早川門多「ジャパノロジーコレクション 春画」(角川文庫)を見るとかうある。「春画といえば、人間の性交を大胆露骨に描いた日本の絵画であるが、今では広く世界的に知られている。ただ日本で春画が公開の展覧会で鑑賞できるようになったのは、たかだか二、三年前のことである。」(「はじめに」18頁)私は観てゐないが、確かに数年前に春画の展覧会が話題になつたのを覚えてゐる。あれが日本での春画の公開開始であつたらしい。それ以前は雑誌や単行本に出てゐた程度なのであらう。それが現在、例へばヤフオクでは、春画の出品が実に多くある。私にはその良し悪しを判断する鑑識眼はないが、中には保存良で摺りも良く、絵も実にきれいなものがあつたりする。これだけあのやうなものが現在出てくるのは、それほど広く人びとに見られてゐたといふことであらう。本書第二章の最後に「春画の中の春画」といふ節があり、そこに「現代の感覚でいえば、ポルノ風なものは男が独りでこっそり見ているイメージを抱く人が多いのではないかと思われるが(中略)女が一人で春画を見ている図もある。そ して意外に多いのは女同士で見ている図である。」(126頁)つまり、男性だけでなく女性もまたあれらの絵を見たのである。いや、女性も夫や恋人とともに見ることも多かつたらしい(127頁)。当時の大人は好んで春画を見たのである。米国美術商フランシス・ホールは「春画が日本の家庭の中で、女性も抵抗な く見ており、見知らぬ外国人の男の前でも何ら恥ずかしがることなく、また家の宝物と認めてゐることに深い印象を受けた」(130~131頁)といふ。これには老若貴賎は関係なかつたらしい。江戸時代は貸本屋が回つて来た。「その際対応するのは多くはその家の女性たちであった。現今のポルノグラフィーと違って、当時の春画本の多くはまず女性の『検閲』を経て家庭に入っていたといえよう。」(134頁)これを女性上位であつたと言つて良いのかどうか。とまれ、 この女性も男性もともに見る春画といふのは私が知りたかつたことである。だからこそ春画には多くの<ファン>がいたのである。それが現代になり、オークションに春画が数多く出されることになつたのであらう。著者は言ふ、「当時の春画に対する見方が現代の日本人のそれと何と違うことか。人間の性への対し方としてどちらが幸せなのだらうか。」(131頁)
    ・本書で最もおもしろかつたのは数多くの浮世絵の類ではなく、その浮世絵の摺りの問題であつた。第五章は「木版画技術の粋」と題されてゐる。歌川国貞の 「花鳥余情 吾妻源氏」を対象にしてゐる。ここにかうある、「この毛彫を見ていると、彫師は春画の毛彫ができて初めて一人前だという当時の職人の言葉が頷ける。」(227頁)毛彫といふのは髪の毛も含めてであらうが、陰毛彫りを言ふのである。私は実際の春画を見ることはない。そこらの雑誌類の写真を見るだ けである。それだと気づかない。この毛彫の細かさは写真だとつぶれてしまふ。よほど拡大してくれないと分からない。本書にはその拡大図が載る。解説もある。だから分かる。さうでなければ気づかない。かういふのを見ると、「浮世絵版画があくまでも絵師と彫師と摺師の合作であることが」(215頁)実感として分かる。さういふことは知つてゐるつもりでも、かくも見事に三者の合作がなつてゐたのを見せられるとこれはもう驚くしかない。「本書は木版史上最高の技術の結集であろう。」(238頁)といふのにただうなづくばかりであつた。

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著者プロフィール

国際日本文化研究所センター名誉教授

「2019年 『北斎の春画』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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