- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044004873
作品紹介・あらすじ
法華経と並ぶ初期大乗仏典で、聖徳太子のころから戯曲的展開の面白さで親しまれてきた維摩経。そのサンスクリット原典の写本が、二十世紀末に発見された。その写本に依拠した精緻な訳をさらに洗練し、初めて読む人にもわかりやすい詳細な解説と注を各章ごとに付した入門書。在家の菩薩ヴィマラキールティが出家の十大弟子を論破し、マンジュシリー菩薩との軽妙な対話を通して「空」の思想や、在家仏教の真価を明らかにする。
感想・レビュー・書評
-
1999年に発見されたサンスクリット原典の翻訳。
他の維摩経と合わせて読みました。
他訳との比較もところどころ書かれています、
おそらく忠実に丁寧に訳されているせいだと思いますが、少々クドイ文章のところもあります。
辞書的に保存版として置いておきたい本です。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
◯初期大乗仏教の経典とされているが、既に原始仏教の経典(スッタニパータ)よりも、はるかに思想的には練られている印象。
◯空の思想などは、まさに原始仏教の考え方(執着を捨てる的な)を発展しているように感じたが、ただ、スッタニパータを読んだ時ほど、自己の生き方について得るものがあるというか、衝撃を受けるとか、そういったことはなかった。
◯それというのも、内容の主たる部分としては、当時の仏教世界における菩薩のあり方が問われていた。小乗仏教的なものへの批判書である。
◯しかし、紀元前の時代にして、既に宗教改革が行われているといったところに面白さも感じた。
◯ついでに俗っぽい感想を記すところでは、智慧第一の舎利弗が所々間の抜けた質問や考えをしてしまうところがなんとも愛くるしい。小乗仏教への批判としての役回りだったからということだが、そのあたりも維摩経の戯曲的な印象に深く関わっているような気がした。