フェルメールとそのライバルたち 絵画市場と画家の戦略

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044006785

作品紹介・あらすじ

ライバル画家2000人、流通した絵画500万点。
繁栄と恐慌、戦争、感染症──。

不朽の名画を生んだ絵画の黄金時代は、
空前の競争市場〈レッドオーシャン〉だった!

17世紀オランダの絵画市場と
画家の生き残り戦略に迫る、美術史研究の最前線。

山口周氏 推薦 ──冷え込むマーケットと格闘した画家たちの「生き残り戦略」は、知恵と勇気を与えてくれる。

感想・レビュー・書評

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  • 『フェルメールとそのライバルたち 絵画市場と画家の戦略』小林賴子著 | レビュー | Book Bang -ブックバン-
    https://www.bookbang.jp/review/article/726339

    「フェルメールとそのライバルたち 絵画市場と画家の戦略」 小林 頼子[ノンフィクション] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322107000025/

  • 17世紀オランダの黄金時代、画家たちは豊かな市民への
    絵の供給で、どのように行動して、しのぎを削っていたのか。
    序章 静謐と喧騒
    第一章 浮かぶか、沈むか―一七世紀オランダの絵画市場
    第二章 マーケットと対峙する画家たち
    第三章 絵画流通の五つのルート
    第四章 風俗画の成立とアート・マーケット
    第五章 最盛期のオランダ風俗画家たち
    第六章 アート・マーケットのなかのフェルメール
    第七章 似ていないが似ている―画家たちの生き残り戦略
    終章 未完のフェルメール
    17世紀オランダ年表、注釈、主要参考文献、索引有り。
    カラー口絵8ページ。文中にモノクロ画像。
    オランダ共和国の実質的な独立と海外貿易により、
    もたらされた豊かさ・・・オランダの黄金時代。
    一般市民も家に絵を飾る余裕があった時代。
    それは画家たちの繁栄と競争の時代でもあった。
    そしてイギリスとの戦争やフランスの侵略での
    災厄の年を経て凋落してゆく。それは画家たちも同様に。
    本文だけで400ページ超えの大作です。
    様々な資料や文献を綿密に解き明かし、考察、解題してゆく。
    フランドルからの影響、豊かさによる室内装飾法の変化、
    絵画愛好家の増加は、画家たちをビジネスの海に放り込んだ。
    推定の、画家数2000人前後、新規の絵画点数約500万点。
    アート・マーケットは、絵画の常設展示・販売の場。
    アトリエ訪問からの作品購入、画家が画商を兼業・・・等々、
    絵画を品定めして買える場が様々あったのは、需要のため。
    求められる風俗画、風景画、静物画を供給する画家は、
    修業と人脈、評価に恵まれ、時勢の波に乗った者たちがいれば、
    画商の注文の数をこなす、多数の場末の者たちまで、様々。
    生き残る戦略は、似ているが似ていないテーマ。
    他の画家の作品からインスピレーションを得て、
    同じようでも個性と技術を注ぎ込み、似てない絵を描く。
    そして、模倣、類似、贋作の問題。美術愛好家の意向。
    しかし、戦争でも経済でも凋落してゆく中で、
    芸術に古典主義が強い影響力を奮い始めてゆく。
    オランダの画家たちが大活躍した、ほんの20年間の熱気の、
    凄まじいこと。ハイエンドな画家としての地位を築くための、
    努力が絵に込められているかのようです。
    如何に時勢を読み、人脈を作るか・・・まるで現代の企業の如し。
    また、フェルメール以外の画家、テル・ボルフやダウ、ミーリス、
    メッツー、デ・ホーホ、ネッチェルについての紹介もあり、
    当時の流行画家である彼らの作品にも興味が持てました。

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著者プロフィール

1948年生まれ。目白大学社会学部教授を経て、現在、同大学名誉教授。専門は17世紀オランダ美術史、日蘭美術交流史。82~85年、ユトレヒト大学美術史研究所留学。87年、慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。『フェルメール論』(八坂書房)および『フェルメールの世界』(NHKブックス)の2著で第10回吉田秀和賞を受賞。『庭園のコスモロジー』(青土社)、『フェルメール全作品集』(小学館)、『グローバル時代の夜明け』(晃洋書房、共著)、『フェルメール 作品と生涯』(角川ソフィア文庫)などの著作がある。

「2021年 『フェルメールとそのライバルたち 絵画市場と画家の戦略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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