読み終わらない本

著者 :
  • KADOKAWA
3.61
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本棚登録 : 730
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044006853

作品紹介・あらすじ

「これからぼくは君に、少し長い手紙を書こうと思う。そして何人かのぼくの人生を変えてくれた人物と言葉を、君に伝えることができたらと願っている。
 もちろんぼくにとって重要だった人が、君にもそうなるとは限らない。でも、ぼくがその人というよりも人間そのものを信頼したように、君にとっても信頼できる人間が、今日までの長い歴史のなかには必ずいることを伝えられればと思う」(本文より)
サン=テグジュペリ、石牟礼道子、岡倉天心、神谷美恵子、吉野源三郎、リルケ、ミル、小林秀雄、河合速雄、フランクル、そして「コトバ」を紡ぐ詩人たち――。自らの人生を変えた本、言葉、そして人間について、未来の読者に向けて綴る、全12篇の手紙。

【目次】
小さなひと
春の使者 
言葉の花束
悲しみの弦
コペル君と網目の法則
愛と「生きがい」
コトバのちから
自由の危機
いつくしみの手仕事
「空」の世界と「いのち」のちから
読書の扉
愛しいひと
おわりに
参考文献/ブックガイド

感想・レビュー・書評

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  • 自由とは、自らに由る。
    この本の言うところによる、読み終わらない本とは、この本の事でもあるかも。

  • 2024.3.16

  • というわけで「ブクログ Best User Award 2023」においてBronzeを受賞されたまことさんのおすすめ本『読み終わらない本』を読んでみました

    ちなみに、ほんとちなみになんですがひまわりめろんさんはSilverでしたちなみに

    で本の内容等々についてはそれこそまこっさんのレビューを読んで頂きたい

    で、ワタクシがこの本を読んで思ったことはまことさん「らしい」本だなってことでした

    もちろんこの「らしい」というのはひまわりめろんが勝手に思うイメージに過ぎません
    しかしながら決して短くない期間フォローしフォローされる関係として多くのレビューを読み、どんな本を読んでいるか知り、どんな本に高評価を与えるかを知っている関係性であるなかで思う「らしい」ですのでそれなりの説得力があるのではないかと思います

    別にぜんぜん違ってもいいのです別に
    またまことさんが選んだ本て知ってるからそう思ったんじゃねでもいいのです
    答え合わせはいらんのです

    2023年の一冊をを選ぶということをブクログさんがどう捉えているのかわかりませんが、これって真摯に向き合えば向き合うほど相当な苦行です(一冊だけ選べてあーた)
    そしてこの苦行はひたすらに自分自身と向き合う作業です
    つまりこの一冊はどうしたって自己を投影したものにならざるを得ないのです
    そしてなんかちょっといいこと言っていますがほぼほぼkuma0504さんの受け売りです

    要するにこの『読み終わらない本』とはまことさん自身であり、まことさんの運命の一冊候補であり
    まことさんを知る手がかりとなる一冊なのですよ
    で、この一冊を読んでみてまことさんがどんな人だと思ったのか?ってことになるわけですが…うんそれはまぁいいじゃない(そこまで考えてなかったらしい)

    ちなみに、ほんとちなみになんですがおびのりさんが自己を投影して選んだおすすめ本は木原音瀬さんの『箱の中』ですちなみに

    • おびのりさん
      イロモノ扱いでどうぞ
      イロモノ扱いでどうぞ
      2024/03/04
    • kuma0504さん
      めろんさん、関係ないことから書きますが、今やレビューを読むのが苦行でしかない。一気に遠視になった。一時的かどうか、しばらく様子見ですが、この...
      めろんさん、関係ないことから書きますが、今やレビューを読むのが苦行でしかない。一気に遠視になった。一時的かどうか、しばらく様子見ですが、この後楊令伝にコメントした後は、他の方のいいね返しはやめます(←ここで言っても仕方ない)。

      で、呼ばれたようなので少しコメントすると、去年受賞者コメント送る際にスタッフに向けて(のつもりで)「選びたくないと言っているわけじゃなくて、我々読書家にとって、一冊選ぶのはかなりの苦行です。受賞者の多くは、年末にBest3をマイリストで発表しているわけだから、せめてBest3にして、そこに200字ではなく、思いっきり書かせてくれたら嬉しい。それが今は無理というのならば、無理矢理選ぶ準備はします」と返事をしたら、一切返事は返ってこなくて、私も、無理矢理選ぶことはなく終わったわけです。

      今年のコメントフォームには、「無理矢理選びたくない人は、その旨書いてください」という意味の但し書きがついていましたね。私の言いたかったのは、そんなことじゃなかったのですが、ブクログスタッフもお忙しいので、丁寧に対応するお時間がないと判断して、私は今年は無理矢理選んだというわけです。

      ブクログスタッフに幾つか質問しても、提案しても、丁寧に応える余裕はないと思われますから、これからもしない方が賢明かと老婆心ながら思います。
      2024/03/04
    • ひまわりめろんさん
      クマさん

      もう!命削ってまでコメントしなくて大丈夫ですよ!(そこまでじゃないか)

      わいはねブクログスタッフさんに関してはね読書のプロの人...
      クマさん

      もう!命削ってまでコメントしなくて大丈夫ですよ!(そこまでじゃないか)

      わいはねブクログスタッフさんに関してはね読書のプロの人たちだと信じたいところがあってね
      きっとこの苦行を強いてる裏側にちゃんと意味を見出してると信じたいんですよね
      そんなにきちんと相手してくれなくてもいいんです
      だって無料でシステム使わせてもらってるんだもん

      ただな〜、なんていうか一生懸命悩んだ結果がただの一票として集計されて終わり、そのまま載せられて終わりってのは少し悲しいかな〜なんて思ったり
      わがままだなw
      2024/03/04
  • 良くも悪くも詩に近い。
    「人は心からも血を流す」という言葉に感動できる読者と困惑する読者とで評価が二分するだろうが、自分は後者。このフレーズがある意味この本の論の典型で、論拠の提示も敷衍もなく、要するに「自分はそんな気がした」という事実の披露に過ぎないので、このフレーズ自体をありがたがれる人には刺さるが、そうでないと「あなたにとってはそうなんですね」の一言で終わってしまう。
    さらに言えば、作者の「そんな気がした」は尊重されるべきだが、それが人生経験から得られた「事実」として語られる瞬間があり、危うい。そして、自分の発想に我田引水する際は他人の著作をアッサリと切り取ってしまう二面性が怖い。
    自分のバックグラウンドが法律なのもあると思うが、言語に限界があるのはわざわざ指摘するまでもなく、だからこそ我々は一語一語の定義を積み重ねながらその機能性を高めてきたわけで、たとえば「私にとっていつくしみとはこういう意味です」と宣言するのは構わないが、そう理解されるべきだと言われると突っ込まざるを得ない。
    (「いつくしみ」の例を深堀りすると、作者は導入にローマ法王をひいているが、法王がItsukushimiなんて言葉を使うわけがない。調べると"MISERICORDIA"というPityとCompassionのニュアンスを併せ持つ単語のようで、そのうちCompassionのニュアンスを持ち帰って日本語の「いつくしみ」の定義を拡大しているようだが、こちらのニュアンスは日本語でいう「同情」あたりに棲み分けされるのが相当だろう。神谷美恵子や石牟礼道子のくだりは、無理やり拡張した「いつくしみ」の例として読むより、MISERICORDIA≒Compassion≒同情の例として読んだほうがスッと落ちませんか)
    青少年に語る体をとっているが、その実態は反論を避けながら上から一方的に教える立場でありたいというエゴイズムだろう、というのは穿ち過ぎか。

  • 2023年初版。著者が青少年に向けて、本を読むということを手紙の形で伝えようとする本です。文章には優しさや愛が溢れています。著者よりも長く生きている私は、読み終わらない読み返したい本と出会うより一冊でも多くの本を読むことに注力しています。心も血を流すと言うのは、そうだなあと思えました。詩を書くということに興味を持ちました。青少年が読むと大きな影響を受けるでしょう。でも、もっと高齢の人にとっても読書に対する認識を変えることに意味のある本だと思います。

  • 若松英輔さんの言葉は、温かく優しく繊細で誠実。その想いが、じんわり心にしみこんできます。ゆっくり少しずつ丁寧に読みたい素敵な一冊です。

  • 自分にとって大切な「ことば」。
    それを読書していくうえで、感じ取っていければと思った。そしてもし、そんなかけがえのない言葉に出会えたら、書き出していこう。
    「読み終わらない本」。そんな本に出会えると思うし、もう出会っているかもしれない。

  • 孤立と孤独はちがう。孤立は、社会から追放されることで、これはあってはならない。でも、孤独はなくてはならない。それは、自分と向き合うことであり、今の自分にほんとうに必要なものを見極めるときでもある。

    本はいかに多くを読むかが問題ではない。むしろ、どうやって「読み終わらない本」に出会うかが問題だ。

    言葉という器には収まらないものはたくさんある。だから、絵画があって、音楽がある。彫刻があって舞踊がある。無数の芸術が、言葉からこぼれおちるものをすくいあげている。
    文学は言葉によって言葉にならないものを表現しようとする芸術だ。

    書くという行為は、料理に似ている。言葉という食物を書くことで「料理」にし、それを食べる。ほかの人のために作ることもできるが、ぼくたちは、まず自分のために作らなくてはならない。

    あるときから人は、本を「あたま」で考えながら、読むようになる。知識を得るために読むようになる。だが、童話は「あたま」で読むことはできない。それは別なところで味わうことを求めてくる。

    子どもにはむずかしいことは分からない、とよく言われる。でもほんとうだろうか。大人たちが世界を複雑にしているだけで、子どもはむしろ、世界の本質をしっかりとらえているのかもしれない。子どもの方が「孤独」の意味を深く感じているのかもしれない。

    日本語の「自由」は“freedom”と“liberty”のどちらかではなく、この二つが折り重なったものなのかもしれない。それは「自らに由る」という語感だ。人は誰も、真の自己に忠実であるとき、ほんとうの意味で「自由」だといえる。

    どう生きたらよいか迷っているとき、ぼくたちが探さなくてはならないのは、何が自分にとって得で、何が損かという判断基準ではなくて、たった一つの言葉なのかもしれない。

    言葉の種子をはっきりと感じ取る方法、それは書くことだ。思ったことをどんどん書くのではなく、書きながら自分が何を思っているのかを確かめるように書くんだ。考えたことをそのまま文字にするんじゃなくて、むしろ、書くことで自分の心の中にあるものを知るように書くんだ。

    人は何かを「作る」力をもっている。しかし、「生む」ちからもわが身に宿している。(中略)人生の困難にあるとき、ぼくたちを救うのは「作る」力だけではなく、さらにいえば「作る」力よりも「生む」ちからなんだ。

    ぼくたちは、そのとき必要な本に自分で出会うことがなければ、いつも誰かに薦められた本を読んでいなくてはいけない。書店や図書館に行って、本を探す。「探す」というよりも本に「呼ばれる」ような経験をする。それが最初の、そして最重要の課題なんだ。

    心の深みにある何かを言葉にすることで、君を、絶望の底から救い出すことができる。なぜなら人は、自分を救い出す言葉を自分のなかに宿して生まれてきているからだ。

  • ある想定したひとりの若い人への長い長い手紙。
    生きるということ、自立と孤独、詩の力、人生が問いかけてくるもの、著者がひとりの若い人を通して私たちに伝えたいこと、知っておいてほしいことが丁寧に心を込めて愛情深く、時には厳しく綴られています。今生きていることの重みを感じる本でした。
    著者の言う読み終わらない本を持てるように、いつも自分を助け、成長の糧となるような本を見つけたいです。

  • 4.2

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著者プロフィール

1968年新潟県生まれ。批評家、随筆家。 慶應義塾大学文学部仏文科卒業。2007年「越知保夫とその時代 求道の文学」にて第14回三田文学新人賞評論部門当選、2016年『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』(慶應義塾大学出版会)にて第2回西脇順三郎学術賞受賞、2018年『詩集 見えない涙』(亜紀書房)にて第33回詩歌文学館賞詩部門受賞、『小林秀雄 美しい花』(文藝春秋)にて第16回角川財団学芸賞、2019年に第16回蓮如賞受賞。
近著に、『ひとりだと感じたときあなたは探していた言葉に出会う』(亜紀書房)、『霧の彼方 須賀敦子』(集英社)、『光であることば』(小学館)、『藍色の福音』(講談社)、『読み終わらない本』(KADOKAWA)など。

「2023年 『詩集 ことばのきせき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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