- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044007782
作品紹介・あらすじ
学者で漫才師(米粒写経)のサンキュータツオによる、初めての随筆集。著者本人の人生をたどり、幼少時から今までの「別れ」をテーマに綴った傑作選。キュレーションを務める「渋谷らくご」でお世話になった喜多八、左談次の闘病と最期、小学生の頃に亡くなった父との思い出、そして京都アニメーションの事件で生きる気力を失ったサンキュータツオ自身の絶望と再生……。自分の心の奥に深く踏み込み、向き合い、そのときどう感じたのか、今何を思うのかを率直に描き出す。これまで「学問×エンタメ」を書いてきた著者の新境地!【内容例】「これやこの」…渋谷らくごを引っ張ってくれた喜多八、左談次二人の師匠「幕を上げる背中」…米粒写経として駆け出しの頃を支えたライブスタッフ「黒い店」…上野御徒町の古本屋「上野文庫」の店主と大学生だった自分「バラバラ」…「早稲田文学」で出会った作家・向井豊昭さん「時計の針」…大人になった今思い出す、中学校教師の話「明治の男と大正の女」…祖父母にしかわからない二人の話「空を見ていた」…仲良しだったいとこが残した一枚の写真「鈍色の夏」…2019年夏、生きる気力を失った自分を助けてくれたもの ほか
感想・レビュー・書評
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東京ポッド許可局の「忘れえぬ人々」コーナーを自分でやっている。
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自分の中で消化できていないままのだれかの「死」を、そっと取り出して触れてみて、またしまっておく。そんな感覚をおぼえました。
自分自身かなり似た経験があった「鶴とオルガン」。年代は違えど著者と同じキャンパスに通っていたというのもあり、ふと知らされた時の気持ちの置き所のなさや、かつてのキャンパスライフなど、久しぶりに過去をありありと思い出し、懐かしみました。これは涼しくなった秋の文キャン、スロープ脇の喫煙所でまた読みたい。喫煙所もうないけど。
表題作の「これやこの」。近づく死に向き合う落語家達の凄みがありました。それとは別に、この話の中で、落語の語り口を描写している訳ではないのに、なんだか面白そう、落語聞いてみようかなと思わせるのは、著者の落語愛あってこそなんだろうなと思いました。