平清盛の闘い 幻の中世国家 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044092023

作品紹介・あらすじ

巨大な権勢をもって驕り、「仏敵」「悪逆非道」の汚名を着せられた平清盛。彼が真に追いもとめたものとは、何だったのか?後白河院政の否定、政敵たちへの仮借なき攻撃と断罪、強引な福原遷都計画、そして南都焼き討ち…。貴族と武士が一体化した中世国家という、新たな政治秩序の確立に邁進した足跡をつぶさに検証。波瀾に富んだ生涯と、先進的政治家としての鮮烈な実像を描きだす。従来の悪人像を覆した画期的な清盛論。

感想・レビュー・書評

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  • 2012年5月7日読み始め 2012年5月17日読了
    大河ドラマで平清盛が主役になったこともあり文庫化されたそうです。著者は芸能もお好きなようで「新・平家物語」など過去の映像作品も引用していたり、親しみやすいところもありますが、文中で使っている単語が聞きなれないものもあり、少し難しく感じるところもあります。
    しかし、平清盛の生涯がコンパクトにまとめられているし、平家物語でのフィクション部分も検討して、真実の清盛像を描き出そうとしています。清盛の「闘い」は淡々とした文章ながらもドキドキするぐらい激しくて読んでておもしろいです。
    大河で平清盛に興味を持った方で史実に近い姿を手っ取り早く知りたいならこの一冊を選んでもいいのではないでしょうか。


  • 角川ソフィア文庫 元木泰雄 「 平清盛 の闘い 」

    清盛が目指した幻の国家像〜貴族政権を解体し、王権に従属させる公武一体国家〜の試みを論じた本


    清盛の人生は、スピード出世して王権の中枢に位置し、クーデターを起こして 王権を掌握するも、すぐに病死して 平家もろとも滅亡。盛者必衰そのもの


    平治の乱(1159)から治承三年の政変(1179)までの清盛の盛者ぶりは、圧巻

    *平治の乱で 一人勝ちした清盛が、競合する軍事貴族や摂関政治を消滅させ、後白河院主導の政権を樹立

    *後白河院との協調により、王権と政情を安定させ、清盛に外戚の座、日宋貿易の成果をもたらす

    *建門寺院の僧侶を自在に動員して最大限の法会を行い、軍事政治に続いて仏教界の支配した

    *治承三年の政変(1179)によって、後白河院幽閉と安徳天皇擁立により新王権を樹立しつつ、国家の軍事・警察権を掌握


    源氏や後白河院との闘い、院政の否定、天皇擁立、遷都など貴族政権や古代天皇制といった王権の権力構造を変えている



































  • 保元/平治の乱や治承三年政変はある程度知ってたがそれ以後のあまり知らなかった清盛の動きが丁寧に描かれていて興味深い。
    著者が言う貴族と武士の一体化した国家が成立していたらどうなってたのかな。

  • 元木先生、清盛好きなんだろうな~と個人的に思いました。

  • もっと早くに読んでおけばよかった…!清盛の一生は、ずっと自分の理想のために闘い続けていたものなのだなぁと実感…そしてこの時代の環境、均衡の危うさ、複雑さ、人間関係、価値観…色々なものが諸刃の剣でありとても脆く、ちょっとしたことで壊れ崩れてしまうものばかり。その中で清盛が目指していたものはずっとブレていなかった、物語や小説では福原の遷都などは「乱心」とバッサリ切り捨てられてしまうけれど、そうではなかった、と納得できてよかった。歴史を勉強していると、戦国時代は大きく動きがあるのでとても面白く感じていたけれど、清盛のこの時代も、それと同様かそれ以上の大きなうねりがあったと思った。兼実の日記では「ありえない!信じられない!」と言っておきながらリアルでは祝意を伝えている姿などはクスリとしてしまった…

  • 清盛をただの悪人と決めつけない本を読みたかった。解説書だからちょっと読みにくいけど、面白かった。

  • 後白河院が中継ぎの立場ゆえに、直系天皇をかつぐ
    ことにより正統をもちたい=清盛の外戚戦略との
    一致が重なり、一時的な協業だった。

    院は皇族の家長としての立場は上だが、天皇が
    やはり正統性をもつ唯一の存在である

    晩年の清盛の権門への強引な戦略、在庁官人
    への平氏登用による地場の武士の権益に
    触れたことによる反乱の飛び火

    など大変おもしろかった。。

  • 本書では、平成24年の大河ドラマの主人公である平清盛について、様々な史料を引用しながら考察を行っている。
    個人的には平清盛をあまりよく知らない。そのせいか、本書に登場する人間関係があまりにも複雑に感じ、著者が言わんとするところを十分に理解できていない点もある。しかし、平清盛の人物像の輪郭を知ることはできるし、いかに血統を重んじていた時代であったかを理解するのも難しくない。また、貴族と武家の分立化が進んだ背景や、福原遷都や興福寺焼き討ちを強行した清盛の意図、清盛の死後に平家が源氏に敗れる理由についても、著者は根拠に基づき説明している。
    一般向けの書物にしては難易度が高いが、諸説を列挙したり不明点をそのまま明記したりと、一つのストーリーを作り上げなければならない伝記や歴史小説とはまた違った味わいを持つ一冊でとなっている。もう少し清盛を知っていれば、驚きも多かったことだろう。

  • 対人関係のややこしい事
    やっぱり大黒柱が無くなったら
    その一族も潰れるのね

  • 平清盛の武家と公家をひとつにした新しい国家建設の可能性。改めて歴史の流れは必然ではなく、偶然の積み重ねで必然性が生まれて流れになるのだと思った。

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著者プロフィール

1954年、兵庫県に生まれる。1978年、京都大学文学部史学科国史学専攻卒業。1983年、京都大学大学院文学研究科博士課程指導認定退学。現在、京都大学名誉教授、京都大学博士 ※2022年1月現在
【主要編著書】『平清盛と後白河院』(角川書店、2012年)。『治承・寿永の内乱と平氏』(吉川弘文館、2013年)。『源頼義』(吉川弘文館、2017年)。『源頼朝』(中央公論新社、2019年)

「2022年 『平氏政権と源平争乱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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