科学するブッダ 犀の角たち (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • 角川学芸出版
4.24
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本棚登録 : 194
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044094478

作品紹介・あらすじ

科学と仏教、このまったく無関係に見える二つの人間活動には驚くべき共通性があった。徹底した論理で両者の知られざる関係性を明らかにし、さらに向かう未来をも見とおす。驚きと発見に満ちた知的冒険の書。

感想・レビュー・書評

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  • 科学の発展と仏教の発展を重ね合わせて書かれている。
    物理学、生物学、数学の説明でほとんど終わり、肝心の仏教はオマケのように後半に登場する。
    だが、その構成のためより仏教が科学的に分析出来るものであり、現代のコンテンツにおいても仏教の思想は取り入れるべき要素が多いことが感じられた。
    多くの宗教は「救われること」を求められて広がっていった。
    現代でも仕事や何らかの活動を通して「救われること」を求めている人は少なくないのではないだろうか。
    その仕事を通して、誰を助けるかという文脈だけでなく、やる側はどう救われるのかという精神性にも注目していきたい。

  • とりあえず、本書の目次を書き出してみる。
     第一章 物理学
     第二章 進化論
     第三章 数学
     第四章 釈尊、仏教
     第五章 そして大乗
    目次だけだと、何の本だかさっぱり分からない。1章から3章までは、科学と数学の歴史を紐解きつつ、著者独自の史観を提示している。具体的には、科学や数学の発展の歴史は、「神の視点を護持する勢力」と「神の視点からの脱却を目指す勢力」との闘争の歴史でもあり、「神の視点からの脱却」が1つ成功するたびに、「人類は発展した」とみなされてきた、と述べている。(ここでの「神の視点」とは、「人間の認知的直感」と置き換えて差し支えない)
    4章では、仏教が興った歴史的・文化的・地政学的な背景を解説し、原始仏教とは本質的に「神の視点からの脱却」を目指した思想であったことを指摘している。ここで、科学・数学と仏教の親和性として話がつながり、さらに将来、脳科学が発展すれば、仏教を科学的・数学的に説明できるようになるハズ、という壮大な仮説で締めくくっている。5章はおまけ程度の内容。
    …この説明だとトンデモ本のように思われてしまうかもしれないけれど(これは私の説明力の問題)、内容はしっかりしており、説得性も高い。著者は仏教学者でありながら、科学史や数学史に対する造詣も深く、その部分を読むだけでもいろいろ勉強になる本。

  • 科学と仏教という全く無関係に見える二つの活動には、驚くべき共通性があるといいます。
    科学は神が創りたもうた世界の解明を目指していましたが、科学の進歩は逆に、神なる視点との決別の歴史でした。
    一方、仏教は神秘的な絶対者の存在を否定し、人間の存在だけを拠り所に世界観を組み上げてきた宗教です。
    仏教と科学の、知られざる関係性を明らかにしていきます。
    とにかく面白く、知的好奇心が刺激されます。

    そういうわけで、私は脳科学がいつか仏教を、その体系の中に組み込んでくれるよう願っている。私自身の希望的観測で幾分大風呂敷を広げたが、敬愛するブッダ釈尊が、あこがれの科学者たちと並び称される日、「ブッダ釈尊は史上最も合理的な宗教家であり、そして最も慈愛に満ちた科学者であった」と称えられる日がくることを夢見ている。 ー 263ページ

  • 宗教はいまや文明を考える鍵の1つとなっている。それを理解したうえで読むといいと思う。

  • セカイを物質世界と精神世界に2分した場合の
    物質世界の法則の解明を使命とするのが科学
    精神世界の法則の解明を使命とするのが仏教
    2つは、「神なる視点の放棄(人間化)の方向性」という点で共通する。

    平易な言葉で書かれているので、理系の知識がさっぱりな私でも読めました。

  • パラダイムシフトが化学の人間化(神の視点→人間の視点)と共に発生するって考えはなるほど、と思った。そのことと仏教の関係は理解できてないからもう一度読み直さないといけない。あと量子論ってやっぱり不思議だ。観測することで結果が変化ってなんか変だよね。これを覆す理論がいつか出そうに思えるんだけど、これも最終的に神の視点ってことになるのかな(^^;) 本筋とは違うけど日本に伝わる仏教は原始のものと全然異なってるってのは勉強になった。

  • HUMICでの請求記号「角川ソフィア文庫/G-110-1」

  • 富田卓朗先生(理工学部電気電子システムコース)ご推薦

     学ぶということはどういうことだろうか。教養を身につけるため、あるいは就職に役立てるため。この問いには実に様々な答えがあるだろうし、どれが正解かというものでもないだろう。ここで紹介する『犀の角たち』は、この問いへの新たなる答えを与え、学ぶことに対する視野を拡げてくれるものである。
     本書は、仏教書であるが、実際には3分の2以上を費やして最新の基礎科学に関する説明が述べられている。その内容は物理学、生物学、数学と多岐に渡るが、いずれも最先端の内容を極めてわかりやすく説明してある。そのため、科学の入門書として読むこともできる。また、これら科学の歴史的変遷を『人間化の視点』という観点から捉えており、これを原始仏教の考え方(思想)と関連付けて議論している。
     詳細は本書に譲るが、学問も原始仏教も『超越者の存在を認めず、現象世界を法則性によって説明する』という点で見事なまでに一致している。このような思考方法の普遍的な有効性に触れて頂ければ幸いである。

  • 現代科学と原初仏教は似ているという本。
    似ているといっても仏教のほにゃららと実際のほにゃららはそっくりだよ、というようなありがちな話とは全然違う。

    前半2/3は「物理学」「進化論」「数学」の進歩を概観し、科学の進歩は超越者(神様)の視点から人間の視点に変わっていき、あるべき綺麗な姿と現実の姿は違っていることを明らかにしてきたというようなことを説明。
    最後の1/3になってやっと仏教の話になって、お釈迦様の頃の原初仏教は超越者の存在を必要とせず、人間が苦なく生きるにはどうすればよいかというこれまた人間の視点が基となっている。
    現代科学が世の中の物質面での真理を明らかにしようというのに対して、原初仏教は人間の精神面での真理を明らかにしようとするという違いはあるものの、基本的な考え方は似てるんだよ、というような話。
    (原初仏教の話であって、日本の仏教を含めいわゆる大乗仏教とは全然違う)

    そうねえ、似てるところはあるかもしれない。
    でもやっぱり別物のような気もする。

    「物理学」の章はおかしなところがいくつか。
    例えば電子を古典的な粒子と考えた場合の二重スリットの実験結果予測がおかしい。
    また、特殊相対性理論は人間は目で(光で)得る情報が多いので光で観察した場合に現れる世界像を記述した、というような理論ではない。

    副題が「犀の角たち」となっているが、犀の角についての説明は巻末に「スッタニパータ」68の引用があるだけで、全く何の説明もない。
    「犀の角の如くただ独り歩め」というのは小乗仏教の経典の「スッタニパータ」にある有名な言葉のようだが、恥ずかしながら全く知らなかった。
    解脱を目指して修行している僧のあるべき姿を表しているものらしい。
    「犀の角たち」はそういうあるべき姿の科学者と修行者を意味しているのだろう。
    なんかかっこいいねえ~

    いろいろ考えさせられた1冊。★4つ。

    ===

    そういえばインドにサイっていたっけ? あれ? サイってアフリカだよね?
    と思って調べてみたらインドにいるサイだからたぶんインドサイだと思われる。
    写真でみると立派な角。

  • 面白かった。科学において、<神の視点>をいかに克服し<人間化>していったのか、この軌跡はかつて仏教が誕生した際の経緯と似ている。いずれも人間自身による人間を中心とした<神>という超越者の存在しない解釈を目指している。科学と仏教にはその共通点がある、そう理解した。科学史や科学哲学に関心がある人には入りやすい内容だと思う。

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著者プロフィール

仏教学者、花園大学教授。1956年福井県生まれ。京都大学工学部工業化学科および文学部哲学科仏教学専攻卒業。同大学大学院文学研究科博士課程満期退学。『NHK「100分de名著」ブックス ブッダ 真理のことば』『(同)般若心経』『(同)ブッダ 最期のことば』『日々是修行』『科学するブッダ――犀の角たち』など著書多数。

「2021年 『宗教の本性 誰が「私」を救うのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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