科学するブッダ 犀の角たち (角川ソフィア文庫)

著者 : 佐々木閑
  • 角川学芸出版 (2013年10月25日発売)
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  • レビュー :11
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044094478

作品紹介

科学と仏教、このまったく無関係に見える二つの人間活動には驚くべき共通性があった。徹底した論理で両者の知られざる関係性を明らかにし、さらに向かう未来をも見とおす。驚きと発見に満ちた知的冒険の書。

科学するブッダ 犀の角たち (角川ソフィア文庫)の感想・レビュー・書評

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  • とりあえず、本書の目次を書き出してみる。
     第一章 物理学
     第二章 進化論
     第三章 数学
     第四章 釈尊、仏教
     第五章 そして大乗
    目次だけだと、何の本だかさっぱり分からない。1章から3章までは、科学と数学の歴史を紐解きつつ、著者独自の史観を提示している。具体的には、科学や数学の発展の歴史は、「神の視点を護持する勢力」と「神の視点からの脱却を目指す勢力」との闘争の歴史でもあり、「神の視点からの脱却」が1つ成功するたびに、「人類は発展した」とみなされてきた、と述べている。(ここでの「神の視点」とは、「人間の認知的直感」と置き換えて差し支えない)
    4章では、仏教が興った歴史的・文化的・地政学的な背景を解説し、原始仏教とは本質的に「神の視点からの脱却」を目指した思想であったことを指摘している。ここで、科学・数学と仏教の親和性として話がつながり、さらに将来、脳科学が発展すれば、仏教を科学的・数学的に説明できるようになるハズ、という壮大な仮説で締めくくっている。5章はおまけ程度の内容。
    …この説明だとトンデモ本のように思われてしまうかもしれないけれど(これは私の説明力の問題)、内容はしっかりしており、説得性も高い。著者は仏教学者でありながら、科学史や数学史に対する造詣も深く、その部分を読むだけでもいろいろ勉強になる本。

  • パラダイムシフトが化学の人間化(神の視点→人間の視点)と共に発生するって考えはなるほど、と思った。そのことと仏教の関係は理解できてないからもう一度読み直さないといけない。あと量子論ってやっぱり不思議だ。観測することで結果が変化ってなんか変だよね。これを覆す理論がいつか出そうに思えるんだけど、これも最終的に神の視点ってことになるのかな(^^;) 本筋とは違うけど日本に伝わる仏教は原始のものと全然異なってるってのは勉強になった。

  • HUMICでの請求記号「角川ソフィア文庫/G-110-1」

  • 富田卓朗先生(理工学部電気電子システムコース)ご推薦

     学ぶということはどういうことだろうか。教養を身につけるため、あるいは就職に役立てるため。この問いには実に様々な答えがあるだろうし、どれが正解かというものでもないだろう。ここで紹介する『犀の角たち』は、この問いへの新たなる答えを与え、学ぶことに対する視野を拡げてくれるものである。
     本書は、仏教書であるが、実際には3分の2以上を費やして最新の基礎科学に関する説明が述べられている。その内容は物理学、生物学、数学と多岐に渡るが、いずれも最先端の内容を極めてわかりやすく説明してある。そのため、科学の入門書として読むこともできる。また、これら科学の歴史的変遷を『人間化の視点』という観点から捉えており、これを原始仏教の考え方(思想)と関連付けて議論している。
     詳細は本書に譲るが、学問も原始仏教も『超越者の存在を認めず、現象世界を法則性によって説明する』という点で見事なまでに一致している。このような思考方法の普遍的な有効性に触れて頂ければ幸いである。

  • 現代科学と原初仏教は似ているという本。
    似ているといっても仏教のほにゃららと実際のほにゃららはそっくりだよ、というようなありがちな話とは全然違う。

    前半2/3は「物理学」「進化論」「数学」の進歩を概観し、科学の進歩は超越者(神様)の視点から人間の視点に変わっていき、あるべき綺麗な姿と現実の姿は違っていることを明らかにしてきたというようなことを説明。
    最後の1/3になってやっと仏教の話になって、お釈迦様の頃の原初仏教は超越者の存在を必要とせず、人間が苦なく生きるにはどうすればよいかというこれまた人間の視点が基となっている。
    現代科学が世の中の物質面での真理を明らかにしようというのに対して、原初仏教は人間の精神面での真理を明らかにしようとするという違いはあるものの、基本的な考え方は似てるんだよ、というような話。
    (原初仏教の話であって、日本の仏教を含めいわゆる大乗仏教とは全然違う)

    そうねえ、似てるところはあるかもしれない。
    でもやっぱり別物のような気もする。

    「物理学」の章はおかしなところがいくつか。
    例えば電子を古典的な粒子と考えた場合の二重スリットの実験結果予測がおかしい。
    また、特殊相対性理論は人間は目で(光で)得る情報が多いので光で観察した場合に現れる世界像を記述した、というような理論ではない。

    副題が「犀の角たち」となっているが、犀の角についての説明は巻末に「スッタニパータ」68の引用があるだけで、全く何の説明もない。
    「犀の角の如くただ独り歩め」というのは小乗仏教の経典の「スッタニパータ」にある有名な言葉のようだが、恥ずかしながら全く知らなかった。
    解脱を目指して修行している僧のあるべき姿を表しているものらしい。
    「犀の角たち」はそういうあるべき姿の科学者と修行者を意味しているのだろう。
    なんかかっこいいねえ~

    いろいろ考えさせられた1冊。★4つ。

    ===

    そういえばインドにサイっていたっけ? あれ? サイってアフリカだよね?
    と思って調べてみたらインドにいるサイだからたぶんインドサイだと思われる。
    写真でみると立派な角。

  • 面白かった。科学において、<神の視点>をいかに克服し<人間化>していったのか、この軌跡はかつて仏教が誕生した際の経緯と似ている。いずれも人間自身による人間を中心とした<神>という超越者の存在しない解釈を目指している。科学と仏教にはその共通点がある、そう理解した。科学史や科学哲学に関心がある人には入りやすい内容だと思う。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784044094478

  • 読み終えると、タイトルのとおり「なるほど、科学と仏教は共通点があるんだな」と膝を叩くこと請け合いです。

    内容の大半は科学の説明に割かれていますが、面白いのは仏教の説明に入ってから。
    ブッダは、悟りを啓いたけどあくまで普通の人だという説明は、フラットに宗教と向き合う距離感を保ってくれるし、仏教は、何故こんなに多種多様な宗派に枝分かれしているのか? という発端の考えも、とても合理的で親近感が持てます。

    褐色の恋人で有名なスジャータさんが、実は、ブッダの命の恩人だったり、大乗仏教の経典はブッダの言葉ではないと結論が出ていたり、トーマス・ヤングは言語学にも顔を突っ込んでいたり、面白いエピソードも満載。
    唯一残念なことといえば、神仏習合の話も織り交ぜたら、日本人の国民性という面も見えてきそうなのに、そこに言及がないことかな。

  • 科学のアプローチとブッダの取り組みとの共通性を示している。
    著者によれば、科学の方向を「人間化・人間中心化」ととらえたとき、
    仏教も同じ方向性をもっているという。

    脇道だが、アーリア人の歴史も面白かった。
    科学のパイオニアとしてのブッダ

    サイの角とは、そのように(硬く)なり、歩き続けよという古いことばから

  • 花園大学の教養科学講座のまとめです。量子力学・進化論・数学史の章が大半でした。無理にこじつける意図がないだけに、これらもおもしろく読めました。例えば量子論はスリットの話。だからヤングが出てきます。そこで、アーリア人の話。雰囲気としては、理系向けの仏教入門書だと思います。
    こうした概念で仏教を説明すると、非常に整然としてわかりやすいです。仏教は本来は理詰めで考えた方がわかりやすいのですが、教義が漢訳仏典から来ているので、つい難解と思ってしまいがちです。
    理屈で攻めているので、かなりラディカル、細部には異論が多いと思います。

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