- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784046015792
作品紹介・あらすじ
獺祭 旭酒造代表取締役社長 桜井博志氏 推薦!
「部下のことが大好きで、社員としての成長を願い、その部下の幸せを祈る」――この渡邉美樹氏の言葉のどこが間違いだったのだろう。真面目で一生懸命な経営者とその部下たちがそれゆえにこそ落ち込んでしまう陥穽と危機。本書はその原因と過程を厳しく追及しています。自分はまっすぐで善意を信じて一生懸命生きていると思う企業人こそ読んでほしい謦咳の書です。
カリスマ経営者・渡邉美樹のもと、やる気に満ちた幹部や社員たちの「善意の会社」がなぜブラック企業となったのか?ブラック企業問題の専門コンサルタントがワタミの現場を詳細に調査、分析しブラック企業にならないための方策を解説
近年「ブラック企業」という言葉が、広く使われるようになりました。その代表格してあげられるのが、渡邉美樹氏創業のワタミグループ。
ブラック企業問題の筆頭に挙げられ、世間にネガティブイメージを持たれた結果、ワタミグループの店舗からは客が離れ、求人募集では定員割れを起こす事態に。こうした影響から2014年3月期には、上場後初の赤字に転落し現在も厳しい経営状況が続いています。
本企画の著者となる新田龍氏は、日本でも珍しい「ブラック企業アナリスト」。現在はワタミグループからの要請を受けて、グループの「新卒採用プロジェクトアドバイザー」を努めています。
著者が実際にワタミのブラック企業への転落の内幕、経営者、幹部をはじめとする会社の対応、社員への直接インタビューなど詳細を調査してわかったのは、ワタミが決して経営陣、会社の違法な「ブラックな」姿勢、経営によりブラック企業化したわけではない、ということ。
むしろ、社会へのな貢献、顧客満足、あくなき企業努力、社員の成長を求める、という、いわば「善意の会社」でした。これは創業者渡邉美樹氏をテーマとした高杉良著『青年社長』などからもわかることです。しかし現実として、ワタミはブラック企業となってしまった。
なぜなのか?--そこには成長企業だからこそ起き得る「落とし穴」の存在があった。
本書は、ワタミグループに起きた事実を調査し、ワタミに限らずブラック企業に至るプロセスと脱却方法を解説。ワタミグループ以外の事例も多数紹介。
中小企業、ベンチャー、成長企業の経営者はもちろん、働くあなたが「自らを守るために」押さえておきたい1冊。
感想・レビュー・書評
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ブラック企業と呼ばれたワタミを追った作品。状況は昔のブックオフによく似ており紙一重だったが、創業者の人間力の差なのだと感じた。
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2022年夏の読書感想。最近、日経ビジネスにも「ワタミ」の特集が組まれるなど、ワタミの挑戦が耳目を集めている。相変わらずの渡邊商店だが、ワタミは良くも悪くもこの道しかないということだろう。この本を読み、最近のワタミの状況をみると、いろいろと考えさせられる。
この本で得られたことは、正しいことと信じてることでも「世間」はそう受け止めない!ことを前提に組み立てないといけないという教訓である。 -
ワタミをブラック企業呼ばわりしていた著者が、ワタミから請われて第3者委員会に参加するとは。。。うがった見方もあり得ると思う。一つの事件をきっかけに、倒産寸前まで追い込まれるという事は他人ごとでは無く、怖い。
本の内容は、ネガテイブでは無く、これから立ち直っていく姿を描こうとしているので一安心。
吉野屋元社長の小川氏がすき屋を立ち上げたとは知らなかった。 -
もともと高杉良「青年社長」を読んで渡邉美樹氏に興味を持っていた。それだけに、その後のワタミ炎上にはどことなく違和感を覚えていたので、ブラック騒ぎに言及した本を読んでみようと購入。
ワタミ側に寄りすぎることもなく、世論側に寄りすぎることもなく、務めて客観的に分析しようとアプローチされていると感じた。著者も本文中で言っているフレーズだが、「人ひとり死んでいるのに」という声をあげられると、日本の社会ではもう一方的に責められていなければならない。本書は読み方によってはワタミ擁護とも捉えられかねない内容であり、これを上梓することは著者にとっても勇気が必要だっただろうと思う。
気になる「ブラック企業」ワタミの背景にあったものは、なんとなく自分が思っていたものとおおよそ合致していた。強烈な個性を持った創業者と従業員の温度感の差、
世間と企業内との温度感の差、成功者に対する妬みと僻み、スキャンダルを求める風潮等々が複雑に絡み合ったものであり、必ずしもワタミが「従業員をちぎっては投げする」ような悪徳企業とも言えない、というものだ。
しかしまさに「perception is reality」。事実がどうであろうと、どんな正当性があろうと、より重要なのはそれが相手(この場合不特定多数になるが)にどう捉えられるか、ということなのだろう。それで自身の信念を否定されなければならない渡邉氏の胸中は察するに余りあるが、それが今という時代の真実なのだと思う。
ともかく、我々は「ワタミはブラック企業」という字面に引っ張られ、短絡的な判断を下してしまう。しかしそれは、「PDCA」やら「断捨離」やら「コーチング」あたりの単語を見ただけで、それがどのようなものか分かったつもりになって失敗する、生兵法を連想させる。
この本はそのような姿勢を反省させ、自身のメディアリテラシーを見つめ直す機会も与えてくれると思う。 -
そのまま、タイトルに関心を持ち図書館で借りた。ワタミの実態と、風評との乖離については想定通りであったが、結局のところ風評に対応するには理屈ではなく感情への対処が必要なだということには、絶望にも似た感覚を覚えた。
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企業イメージが大事だということが分かった。
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本書によるとそもそも日本の労働慣行にブラック化する要素が含まれているとのこと。「日本企業の場合、全員が幹部候補になり得るが、欧米の場合、幹部候補となる一部のエリートと、それ以外の大多数のノンエリートに厳然と区別された構造になっている」
この日本企業にある建前上全員に社長になれるという平等性が従業員全員に頑張りを強要させ長時間労働にいそしむ形を作り上げた。今年になって毎日新聞の記事で働き方改革が声高に言われていますが、日本の労働慣行の闇の深さを感じた一冊でした。ワタミについてはブラック企業と呼ばれることが一企業のブランド価値を壊滅的に毀損させることがよくわかりました。 -
上司に借りて初めて読んだ。前半は面白かった。UNIQLOとの比較はもっと読みたかったなあ。
2016.12.08 -
2016/10/19