“歪んだ法”に壊される日本 事件・事故の裏側にある「闇」

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046061539

作品紹介・あらすじ

壊れたルールのまま選挙をし増税し原発を動かしてもこの国は良くならない。

コンプライアンスの第一人者の弁護士が、最新事例を深くわかり易く解説!

第一章 刑事司法が普通の市民に牙をむくとき~日本の刑事司法制度で被告の訴えは法廷に届くか  
第二章 「公正な選挙」は実現できるか~「公選法」「政治資金規正法」の限界と選挙買収の実態
第三章 東電幹部への巨額賠償請求はなぜ認められたか~「原子力損害賠償請求法」とガバナンスなき電力会社
第四章 「消費税は預り金」という誤解が日本経済を停滞させた~「消費税法」と中小企業が置かれた厳しい環境か
第五章 交通事故の加害者が“つくり出される”日~「自動車運転過失致死罪」による事故原因究明は正しいか

感想・レビュー・書評

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  • 人質司法などの問題を論じる。発生型事件と立件型事件の二種類が存在する。どちらも冤罪が起こる。立件型事件は贈収賄事件、経済事犯など捜査機関の判断で立件するタイプである。事件そのものがでっち上げということもある。不当逮捕や冤罪は市民の生活を木端微塵にする。冤罪への怒りの声は大きくなる。

  • 検察の人質司法、公選法、政治資金規正法、原子力損害賠償請求法、消費税は預かり税の嘘、自動車運転過失致死罪による事故究明の疑問。以上の件を今回は書いてあった。

    続きはHPにて、https://www.kashiwa1969.online/nonfiction-japan-broken-by-crooked-laws-review/

  • ・問題としているのは、日本の刑事司法制度、日本の政治(公選法、政治資金規正法)、原子力損害賠償法、消費税は預り金という虚構、自動車事故における車側の検証、の5点。
    ・基本的な法教育の必要性。

  • ブログやYouTubeで精力的に発言を続けている郷原信郎氏による著書。日本における法の内容や実際の運用のでたらめさ加減によって、いかに国民に被害が及んでいるか、悲劇が襲っているかを如実に語ってくれている。

    巻頭で、日本人には法教育がなされていない、それが今の日本社会に蔓延する法内容、法運用に対するでたらめさを許容させている元凶だと指摘してる。全くその通りだと思う。私自身、大学の学部は人文学系だったし、法律とは全く無縁だったから、社会人となってから独学で行政書士の資格の勉強をしたのが法律に触れた最初であった。その後、司法試験にチャレンジした経緯もあり、法の仕組み、体系やその運用、法の精神の基本を自分の常識として取り込むことには至った。が、このように、自分から積極的に興味をもって取りに行かない限り、法治国家、法の精神、民事と刑事の違い等の基本をつかむなど、到底おぼつかない。
    思うに、日本政府は国民にそうした法の精神を習得してもらいたくないのだろう。なぜなら、それは自分たちの権力基盤が法、その根本は憲法にあり、それは同時に国民の人権擁護を至上命題とするという理念を無視し得なくなるからだ。国民には永遠にバカのままでいてもらいたい。お上が至上命題であり、絶対正義であり、決して逆らえないものなのだ、と信じて永遠におとなしく這いつくばったままでいてもらいたい。それが、日本の政治家たち、とりわけ保守系の世襲議員と呼ばれた政治屋たちの偽らざる願いである。だとすれば、日本人に法教育を施すなんて、そんな馬鹿な真似をするはずがない。常識ある社会人は、永久に「自分は法律の素人ですから」と敬遠して、自分の頭で考えないようにしていてもらいたい。為政者の願いはそこに尽きる。それゆえに、郷原氏の願いとは裏腹に、日本の小中学校、高校で法教育が施されるなんてことは永久にないだろう。せいぜい、投資セミナーもどきが開催されて、未来の投資家=顧客獲得を狙う大企業の思惑が教育現場に持ち込まれるのが関の山だ。

    あとがきで、郷原氏は、本書の内容にかんがみ「法の茶番」という言葉がよぎったと述べている。まさしく言いえて妙だ。
    刑事司法の現場でまかり通っている「人質司法」は、「罪証隠滅のおそれ」ではなく「自白撤回のおそれ」を体現しているだけではないか、という茶番(第1章 刑事司法が「普通の市民」に牙をむくとき)。県連を通せば合法的マネーロンダリングになっても、現職の国会議員がじかに現ナマを手渡せば「選挙運動買収」で取っ捕まるという茶番(第2章 「日本の政治」がダメな本当の理由)。福島原発事故の被災者が訴えても無罪しか判断されないくせに、これが株主の訴えになればたちまち地球史上最高額の賠償命令が東電元経営陣個人に下るという茶番(第3章 東電旧経営陣への13兆賠償命令という「異常な判決」)。「消費税は預かり税」というでっちあげを消費税法導入時に旧大蔵省と国税庁が一大キャンペーンでもって浸透させ、それにマスコミも徹底的に加担した経緯もあって、今更ながらに「あれは嘘でした」と訂正できないまま、ずるずる今の日本社会の疲弊を生み出した元凶を野放しにし続けているという茶番(第4章 「消費税は預かり税」という虚構が日本経済を蝕んでいる)。そして、重大バス事故惨事の引き金となった事故車両の検証を、当の車両メーカーの子会社に持ち込み、事故車両に問題なかったとの報告をもとに、では犯人は運転手だ、との結論ありきで審理を進める警察、検察そして裁判所の茶番(第5章 交通事故の加害者がつくり出されるとき)。
    いずれも茶番に違いないが、しかしその影響は深刻だ。間違いなく国民を不幸にし、社会を疲弊させていくばかりの構造になっている。この構造から抜け出すには、おそらく、一人一人の意識の向上、ありていに言えば目覚めが必要だと思われる。その意味で、小さい頃からの法教育は絶対的に必要だと思われるのだが、まあ、今の為政者は絶対にやらないだろうなあ、何しろ自分たちの首を絞めるしかないもの。そもそも彼ら自身が自分の頭で考えることをしない人種であるから、自分の頭で思考できる人間の出現など、絶対に許容できるはずもないだろうし。
    そうだとすれば、一人一人の自覚、それを他者と共有することの大切さが問われてくることになるのかと思われる。これからの時代、ますますSNSなどを通じて、時間、場所問わず意識の共有、意識の進化発展を図れるし、そうしていくべきだろう。でなければ、早晩、この国は、この社会は斜陽の一途をたどり、行きつくところまで行きつかねば永久に目覚めるなぞ土台無理なこと、となるのがオチだろう。

  • よくテレビ等にも出演している元検察官で弁護士の郷原信郎氏の新著。東大理系卒で脱サラして法曹界へ仲間入りした異端の経歴だからこそ、素人にも分かりやすく日本の法律が問題であるか解説できていたと思う。人質司法や政治資金法、インボイスなどのトピックは興味がもてたから楽しく読めたが、原発の賠償請求などについては事件自体の関心が薄かったためいまいち頭に入らなかった。
    ただ、この本を読めば、ニュースとなった事件の何が問題なのかを深堀できるのは間違いない。

  • 郷原信郎弁護士がその活動のテーマを一冊の本に仕立てたもの。
    彼の主張はYouTubeで聴いているので、違和感なく読むことができた。
    そのテーマとは

    第一章 刑事司法が「普通の市民」に牙をむくとき~日本の刑事司法制度で被告の訴えは届くか
    第二章 「日本の政治」がダメな本当の理由~「公選法」「政治資金規正法」の限界と選挙買収の実態
    第三章 東電旧経営陣への一三兆円賠償命令という「異常な判決」~「原子力損害賠償請求法」とガバナンスなき電力会社
    第四章 「消費税は預り金」という“虚構”が日本経済を蝕んでいる~転嫁困難な中小企業が置かれた厳しい環境
    第五章 交通事故の加害者が“つくり出される”とき~「自動車運転過失致死傷罪」による事故原因究明は正しいか
    終章 ”歪んだ法”をなくしていくために~急がれる法教育の導入


    検察の人質手法であり、
    公職選挙法のいい加減さであり、
    電力会社の在り方であり、
    消費税の立ち位置を胡麻化したまま突き進もうとしている政府財務省であり、
    事故原因を事故車のメーカー(三菱ふそう)に依頼している甘さだ。

    その例として取り上げられたのが
    ・美濃加茂市長、コンサル  ない事件をでっちあげる検察  
    ・広島の河井案里代議士   選挙応援か否か、曖昧な中一方的に悪者にされた
    ・東電の経営者への賠償責任 滅茶苦茶、、、
    ・消費税          預か金ではなく、ただの原価なのに、売上税での失敗から胡麻化し、そのまま
                  そのせいで、来年のインボイスで零細企業、個人事業主が追い込まれる。
                  益税ではないのに
    ・交通事故         プリウスの件、バスの件、、、つい先日軽井沢バス事故の判決が出たが、
                  旅行会社と運転手だけのせいにしていいのか。バス自身に問題はなかったのか。
                  検証するのが当事者である三菱ふそうでよいのか

    弱いものをたたき、政府・大企業、結託して強い立場に立ったものが生き残る。
    沈みゆく日本丸の中で、犠牲者を出しながら、最後の座席を奪い合う。
    終わっている。
    古き悪習を質し、つまり壊れた船底を直し、もう一度浮かび上がればいいのだが、
    そうすると既得権益がなくなる連中はそれはしない。
    今の仕組みで沈むまま、最後まで生き延びようとする。
    生物の本能を失っている。

    大前さんも経営者引退記者会見で嘆いていた。
    起業家だけが日本を救う。が、それを邪魔するものが多すぎる。
    地方は中央の顔色を窺わなければ何でもできる。しかし今の憲法8章は地方自治を認めていない。
    道州制しかないのに。大選挙区制しかないのに。
    今の連中がそれをやれるはずがない。

    ということは沈むしかないのか。。。

    うーん

  • 日産CEO事件はどうだったんだろう

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著者プロフィール

桐蔭横浜大学法科大学院教授。弁護士。1955年生まれ。1977年東京大学理学部卒業。1983年検事任官。東京地検検事、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2005年桐蔭横浜大学コンプライアンス研究センター長に就任。2006年検事退官、弁護士登録。警察大学校専門講師、防衛省や国土交通省の公正入札調査会議委員なども務める。不二家信頼回復対策会議議長などとして多数の企業の危機管理対応に関与。(株)IHI社外監査役も務める。著書に『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書、2007年)、『入札関連犯罪の理論と実務』(東京法令出版、2006年)などがある。

「2009年 『証券市場の未来を考える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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