小公女セーラ (角川つばさ文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046313263

作品紹介・あらすじ

大金持ちの娘で、ミンチン女子学院の特別寄宿生の少女セーラ。ところが父が破産・急死したことで、突然学院の使用人として働かされることに…。元級友たちから嫌がらせされても、ほこりをわすれないセーラだが!?

感想・レビュー・書評

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  • どんなに意地悪なことをされても、怒りや悔しさといった感情に身を任せず、行動を自身でコントロールできるセーラの強さは、大人でもなかなか持っていないもの。
    想像力は、セーラのつらい気持ちを和らげると同時に、プリンセスならどう振る舞うかという自分の芯になる良いプライドを育んでいたのだと思った。

    ずっと読まれてきた名作は、大人になってから読んでも面白く、また子どもの頃とは違った読み方ができる。

  • (おすすめのポイント)
    ・セーラは父と母が亡くなってしまい、貧乏で、悲しい生活の中でも優しい心を忘れず、他の貧乏な下働きの人に食べものを分けてあげるところです。
    ・最初はお金持ちだったセーラ。でもお父さんが亡くなってしまい、セーラは夜おそくまで働かされます。でもクリスフォードさんに助けられていたり、そこがおもしろかったです。
    ・セーラという女の子が、新しい学校に転こうしてきていじめられます。でもセーラはいじめをのりきって成長していきます。ふしぎなこともあって、おもしろい作品です。
    ・私は、セーラが貧乏になっても、ずっと、いつまでも王女様の気持ちを忘れずに、やさしくしていたのでとてもいい人だと思ったからです。

  • ロンドンの寄宿学校に特別寄宿生としてやってきた富豪のクルー大尉の一人娘、セーラ・クルー。誰に対しても優しく、素敵な物語を作るのが得意な彼女は、まるでお姫様の様に贅沢に過ごしながらも決して高飛車になることなく、たちまち皆の人気者に。同級生のアーメンガルドに小さなロッティ、召使いのベッキーと仲良くなる彼女に、しかし悲劇は唐突に訪れる。クルー大尉が亡くなり、無一文で身寄りのない孤児となってしまった!? まさに天から地へ落ちるが如く一変し、まるで奴隷のような生活を強いられてしまうセーラ。しかし持ち前の想像力でどんな苦境も乗り越えていく彼女に、ある日信じられない奇跡が起こり――

    世界的に名作なバーネットの一編がついにつばさ文庫に登場。以前は「秘密の花園」を読みましたが、「秘密の花園」以上にこの「小公女」は私の姉が大好きな作品で、前からちゃんと読みたいなと思っていました。姉と話がしたかったので。ダイジェスト版で何となくストーリーは知っていたり、あと09年に放送された志田未来ちゃん主演のドラマを見ていたりしたのですが、ちゃんとしたのを読んだのは初めてです。普通のつばさ文庫よりも文字がびっしりでひょっとすると完訳に近いかも?
    最初はセーラが完璧超人過ぎて、読んでいるうちに自分が好きなのは、と言うよりもむしろ興味があって自分が描いてみたい、内面を掘り下げてみたいと言う人物は、ラヴィニアとかミンチンなど意地悪な方なんだなあ、と感じたり。セーラをついつい妬ましく思ってしまう、そういうのってすごく人間臭い、自然な心の動きですよね。だから自分は「人間臭い」キャラクターが好きなんだなって。セーラが(まるで八犬伝の八犬士が「仁義八行の化け物」と呼ばれたようにではないけど)まるで人間離れしてるとかそういうことを言っているのではなくて、他で言うと落語とか、自分の好きな文芸や芸能では私達に近い人物(卑小な人物)が主人公となっているから、そう言う小さい人物にある物語ってのを自分はより好むんだろうなと思いました。そちらの方がより説得力があると言いますか。
    思わず落語が出たけど、セーラが自分の語る物語に自分でも熱中してしまうところはまるで噺家のようだ(笑)と思ったりw ああそう、さっきの文脈で言うとセーラよりも「秘密の花園」のメアリの方がどっちかと言うと好きです。でもセーラも好き。だけどセーラだってメアリみたくなる可能性はあったわけで、そうならなかったのはクルー大尉の育て方が良かったのか、それともセーラ自身持って生まれたもので何か違っていたのか、という。でもセーラだって全部素晴らしく出来た完璧超人と言うわけでなくて、ちゃんと怒ったり、ミンチン先生を嫌いだと思ったり、もう駄目だと思ったり、エミリーに当たったり、そういう負の面も書かれてて(当たり前なのかもしれないけど)よかったです。「プリンセスのように」とよく書かれるけど、それは人として誇り高くあれ、どんな過酷な状況においても希望を捨てるな、諦めるな、夢を見続けろ、そういうことなのだろうなと思いました。特に好きなのはアンにパンをあげるところ。じわっときました。あとドナルドからの6ペンスを貰ってしまうところとか。自分もこうだったのだ、とあさましく思うところ。セーラ以外ではアメリア先生がミンチン先生に最後ぶちぎれるところとかすごく好きです。それとラストシーンのパン屋でのアンとセーラもすごく。
    「小公子」もその典型だけどこの「小公女」も一種の貴種流離譚で、でも最後には(勧善懲悪と言うわけじゃないけど)スカッと胸がすくわれる、報われる話なのできっと日本人ウケがいいんじゃないでしょうかこの話。私もセーラのようにどんな苦境においても相手を想える想像力や誇りや夢、希望を失わず生きていきたいな。

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著者プロフィール

フランシス・イライザ・ホジソン・バーネットは、1849年イギリス・マンチェスターに生まれたが、幼い頃父を亡くし、16歳で一家とともにアメリカへ渡る。1873年、医師のスワン・バーネットと結婚、二人の男児をもうける。1886年『小公子』を発表し大ベストセラーに。1905年『小公女』、1911年『秘密の花園』を発表し、世界的な児童文学作家としての地位を不動のものにした。ニューヨーク州で余生を送り、1924年同地にて死去。

「2021年 『小公女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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