異界と日本人 絵物語の想像力 (角川選書 356)
- KADOKAWA/角川学芸出版 (2003年9月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047033566
作品紹介・あらすじ
古来、日本人は未知のものに対する恐れを、異界の物語に託してきた。日常の向こう側に広がる異界では、陰陽師が悪霊と戦い、狐が美女に姿を変え、時間の流れが歪む。酒呑童子伝説、浦嶋伝説、七夕伝説、義経の「虎の巻」など、あまたある異界の物語を絵巻から読み解き、日本人の隠された精神生活にせまる。妖怪研究の第一人者が贈る画期的異界論。
感想・レビュー・書評
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内容は平易ですが面白い
タイトルに惹かれた方は是非手にとって見るべき詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
レポート用
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なじんだ昔話の絵巻物から異界を考察する。
絵巻物の図版が少ないけれど、もとの昔話(お伽話)を知っていればとくに問題はない気がする。
初心者にもわかりやすくて読みやすい。
個人的に、つくも神の百鬼夜行のくだりがおもしろかった。 -
(間借りです)
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「日本人と異界」小松和彦著、NHK人間大学、1993.10.01
p140 ¥550 (1993.12.28読了)(1993.10.01購入)
*本の表紙より*
日本文化の基層に深く根を張っている「異界」。その代表的要素である妖怪や宗教者たちの話を軸に、「異界」と現代に生きる我々との関わりを探る。
【目次】
第1回 異界をめぐる想像力
第2回 反魂の秘術~『長谷雄草紙』をめぐって~
第3回 源頼光と酒呑童子~『大江山絵詞』をめぐって~
第4回 妖狐の陰謀~『玉藻前草紙』をめぐって~
第5回 竜宮からの贈り物~『俵藤太絵巻』をめぐって~
第6回 竜宮の逆説~『浦嶋明神縁起絵巻』をめぐって~
第7回 義経の「虎の巻」~『御曹子島渡』をめぐって~
第8回 天狗と護法童子~『是害房絵詞』をめぐって~
第9回 狐の「浄土」と異類婚姻~『狐草紙』をめぐって~
第10回 百鬼夜行のパレード~『付喪神絵巻』をめぐって~
第11回 幽霊の近世~『死霊解脱物語聞書』をめぐって~
第12回 異界の行方 -
私たちは、通常生活する中で、境界を設定する。そうすることで秩序を生み出すことができるからだ。境界の内部、すなわち「われわれの世界」は基本的には安全で、友好的な領域であるのに対して境界の先の異界は、危険で何が起こるのかわからない未知の領域である。だからこそあえてそこに近づこうとしないのだ。異界に似た言葉で他界という語があるが、これは死後の世界や彼岸といった意味合いが強く、人間界とはある意味で分断されている。しかし、異界はより空間的に身近な世界である。もっと具体的にいえば、日本と外国というのは、境界を隔てた対立関係にあるといえる。その場合日本がわれわれの世界で、外国は異界となりえるのだ。本書は浦嶋太郎などの物語を通して昔の日本人がどのような異界観をもっていたか解説している。洋の東西を問わず異界という観念には日常や現実を異化する作用がある。自分たちの位置を、他の何かによって確認し、あるいはその見方を変革させることができるのだ。い会の物語はそういった点でも非常に重要な役割を担ってきた。