差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)
- 角川グループパブリッシング (2009年6月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047101937
作品紹介・あらすじ
部落とは、在日とは、なぜ差別は続くのか?誰も語れなかった人間の暗部。差別への無理解と、差別が差別を生む構造。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
「自分は他者より優位だという感覚は「享楽」そのものであり、一度その享楽を味わうと、何度でも繰り返したくなる。」p.70
-
元衆議院議員野中広務と人材育成コンサルタント辛淑玉との対談集。激しく差別される人生を余儀なくされた二人の言葉が突き刺さるようだ。特に辛氏の野中氏に対する「突っ込み」があまりにもストレートで、それに対する野中氏がまるで「ぼけ」役にまわった感があり、会話の空気感がそのまま伝わってくるようだった。二人の戦い抜く姿勢、世の中を変えようとする気概は、この本がかかれた20年以上たった今もなお必要とされていると思う。
-
良い本。
できれば10 代のうちに、しっかり読んでおくべき本。
題名の「差別」以前に、物の考え方のイロハを体感させる一冊。 -
野中広務が現役の頃は、好きではありませんでした。裏で色々やっているという印象が強くて。
でも、彼が政界を引退してから、時々彼の発言なりを見聞きするようになり、印象が変わっていきました。
そして、この本を読んで、彼のような政治家が今の自民党にいたら、ここまで酷いことにはならなかったのではないかと思いました。
自らの出自のこともあり、「痛み」を知っているから、弱い立場にある人のことを考えることができる。国民の生活を知っている。
そういう政治家が現在、どのくらいいるのだろうかと思う。
差別がどうして起こるのか。「自分はあの人(達)とは違うんで」という優越感に浸りたいからなのか。
人が差別をするとき、何を根拠にするのか。「あの人と私は違う」というところ?
でも、人にどれだけの違いがあるというのだろうか。
そんなことを思いながら、読んだ。 -
読んでいて重くなる本.だが,向き合わなければならない問題.
-
部落差別、朝鮮人差別がどのように行われてきてどう変わってきたかを説明する本
単純に面白くなかった。興味と合わない。
遠い場所の過去の歴史として見えてしまうなあ。
当事者意識を持つべきかも難しい -
小学生の高学年だったか、中学生になってからだったかは
忘れたが、学校で「部落差別に関する映画を観る」という
授業があった。
私の耳には「部落」が「ブラック」と聞こえ、「なんで日本で
黒人差別の映画を観るんだろう」と思った。
長じて私の住む埼玉県内でも北部では被差別部落が多くあること
を学んだが、身近に被差別者がいない環境で育った。
否、幼くて気が付かなったかもしれない。だから、映画の内容は
衝撃だった。同じ人間なのになんで出身地域ごときで差別され
なきゃいけないんだ?鑑賞後の感想にそんなことを書いたのは
覚えている。
本書は被差別部落出身の政治家・野中広務と、在日朝鮮人の作家・
辛淑玉との対談ということで興味があった。だが、少々期待外れ。
野中広務が語る自身の被差別体験は凄まじい。そしてただ単に
「差別をなくせ」と声高に叫ぶのではなく、被差別者たちも
所謂「同和利権」にしがみついてばかりではいけないと、この
利権を正すよう実際に動いている。
ただ、野中広務の話が辛淑玉を途中でぶったぎっているような
印象を受けるのは対談の内容を文字に起こした編集者の腕の
なさか。
勿論、在日朝鮮人として生まれ、差別と闘って来た辛淑玉の
体験も野中に劣らず凄まじい。彼女の活動によって家族が
ばらばらになってしまうのだから。
対談途中には辛淑玉による解説もあるのだが、これも少々内容を
邪魔なのではないかと感じた。
野中広務についてはやはり本格的な評伝を呼んだ方が良さそうだ。
差別はいけない。だが、そこここに差別は依然として存在している。
何かを理由に他者を差別することで自分の優越性を確認する作業と
して。そして、優越感に浸るという享楽として。
アメリカで過激な人巣差別的な言動を繰り返した人物のDNAを調べ
たら、黒人のDNAが見つかったなんて話もあった。
日本でも同じようなことがあるかも知れないよね。 -
差別問題について興味があるので手を取りました。
関東大震災の虐殺について初めて知り、恐怖を覚えるとともに、自分の国の問題について、他にも本を読み、より知ろうと思いました。
石原慎太郎の数々の差別発言について、被差別者でなくとも不快に感じていましたので、取り上げられていて良かったです。何でこんな弱者に優しくない人に、弱者であるお年寄りは投票するんだろう?って昔思ってました… -
過去の事例を客観的に学びたくて読み始めたけど、筆者達の主観が強くて疲れた。話が逸れがちになるので、対談形式は苦手だ。