ココロコネクト ユメランダム (ファミ通文庫)

著者 :
  • エンターブレイン
4.05
  • (52)
  • (58)
  • (32)
  • (2)
  • (3)
本棚登録 : 548
感想 : 42
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047278394

作品紹介・あらすじ

修学旅行を控えた9月末、太一たち二年生には進路調査票が配られていた。部室で将来を見据えて語るメンバーを見て、一人焦りを覚える太一。そんな時、「-これで最後です」と"ふうせんかずら"が終わりと始まりを告げる。山星高校全員の願望が見える、その現象を危惧した稲葉は何もしないことを部員たちに強要。しかし見捨てることはできないと主張する太一と唯、反対派の稲葉と青木で意見の衝突が始まって…。愛と青春の五角形コメディ第6巻。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いつもならふうせんかずらに勝手に色々されるけど、今回は5人が力を行使する、しないでひと悶着というお話です。

    今回は太一がメインのお話です。これでやっと全員がそれぞれの悩みに立ち向かうことができたと思います。
    今まで太一がしてきたこと、理由、諸々をひっくるめてのお話なので、これはよくできていると思います。

    全員の葛藤を描き終えて、ここからラストに向けてどう転がすのか。

  • うはぁ、つかれた

    誰かを助けたい
    誰かのために動きたい
    頼まれたから動き出す

    小学生の頃に言われたわ
    「じゃあ人に死ねって言われたら死ぬのかよ!!」
    誰かに行動指針を与えてもらうって楽でいいよね

    っていう痛烈な話

    RPGの主人公の話には思わず声を出して感心してしまった、さすが藤島麻衣子!

    ただ、シリーズ通して言えることなんだけど
    この作品をまた一行も飛ばさずに読み直したいかと言われると、どうなんだろう
    一度徹底的に失敗して、全部とっぱらって、残りかすから核を見つけ出すってさ、すごく疲れちゃうんだよ…

    残り二冊
    楽しませていただきます

  • 前期アニメから枠の6巻。
    現象に翻弄されるだけだった文研部メンバーが初めて現象を行使する側に回るお話。
    気持ち悪いとは思いつつ、なかなか否定しきれない主人公属性の追究がいい。救いようがない代わりに理不尽さもないと言うか、苦味がない青汁のようと言うか、シリーズ中でも今のところ一番の成長物語だった。

  • これでラストでもいいんじゃね?と思える締め括りだったけど、あと1本ラストがあるのね。
    最後はキレイにまとまって良かったけど、途中の八重樫太一にはイラついた。善意が気持ち悪いって思うことあるんだな、と感心するくらい。でも、このイラつきは同属嫌悪かな。じぶんの中にも、みんなのため、誰かのため、と言って意思表示を逃げてきたところが、少なからずあることがわかっているから。

    最後の桐山唯・八重樫太一の告白には、ジンとくるものがあった。恥ずかしながら少々涙ぐんでしまい・・・。本当にそばにいてほしいと思えたんだな、と。思いを言葉にすること、特に本であれば文字にすることの重さ。いや、恋愛モノの本を読む楽しさはココにあると思うんですよね。有川浩さんとか、言葉・文字の流れが心地良いというか、心に響くというか。

    そう、最後の太一・稲葉の語りにあったけど、子供が大人になるお話だったのね、この本は。現実ではそんなの気にすることもなく時間がただ過ぎてしまったけど、この小説では、文字にするのであれば、大人になる過程での葛藤,試行錯誤なんだろうねえ。今の若い子は、こんなこと考え、悩んでいるのかな。そう思うと少し可哀そうというか、悩まずにがむしゃらに進め、と言いたくなるのはじぶんがもう古い世代だからかな。

    好きだとか、普通だとか、正義だとか、答えのないモノをテーマによく書かれていますよね、サラッと。ラノベのいいところ、という感じか。

    最後は納まったけど、稲葉は可哀そうな役回りだったなあ、今回は初めから。

  •  千尋君の言葉を借りれば、「はっきり言って気持ち悪い」。
     何がってもちろん主人公がなんだけど、それは主人公が面に立ってるからなだけで、一歩引いてみればやっぱり「能力を利用しちゃおう!」って思えてしまう一部の人間の思考回路が気持ち悪い。
     たかだか恋愛ごとで、両想いだけどすれ違っている人をくっつけちゃおう! いいことだよね! って、そんなことで、今までどれだけふうせんかずらに痛い目に合わされたのかも忘れて、リスクも考えないで、ほいほいふうせんかずらの誘いに乗ってしまう。
     ほんとにみんなしっかりしてて、能力封印! だとお話に山場も生まれないだろう。ただ、軽いんじゃないかってこと。青木の窮地を救えるチャンスがあるから、葛藤の末に誘惑に負けてしまう……それならまだいいけど、その前に恋の神様気取りだから呆れる。
     能力によって救われた青木が、父親の会社の別な人間がリストラになることを気にして喜んでないのも、つまりはチートを徹底的に排除したいからだろう。そのくらいの慎重さがみんなに芽生えていてもいいだろうに。(人を救うチャンスを捨て置けないのが太一ということはあるが、じゃあ唯は?)

     それとは別に一番イラッとしたのは、テニス部への補習を巡る討論会の結末の茶番だ。勝手にボロを出す様は三文芝居のようで気が抜ける。
     
     とはいえ、太一君が自分を見つける(?)までのお話がメインなので、太一君の自分のなさも相まって、ずっとイライラして読んでいた。逆に、ここまでイライラさせられるのもある意味物語の力なのかもと思ったので★3で。

  • デレばんな自分の危うさにちゃんと気付いて立て直そうとする稲葉んまじ健気!
    とか軽いノリで言っていられないくらい著者の攻めに容赦がなさすぎて、すごいとは思っていたけどそれでもラノベだと侮っていたところを軽々と越えられて、太一がひどすぎて稲葉ん目線はないのに稲葉んがずたぼろすぎて本当に苦しかった。
    正しい間違いの二極論になっているのは若さかなあと思うし、でも、あなたが決めたことだから的に相手の考え方をただ受け入れて尊重することを良しとしないところは潤滑な大人の理論に染まっていない感じで共感に近い気持ちになった(わたし大人だけど)。

    あんまり擦れ違うものだから本当に不安で、
    そもそも言下に却下し強要する初期のやり方はとても良いとは言えないものだったと思うし
    (でもそれが稲葉んの精一杯で、完璧ではない一高校生で)、
    対立してしまってからの信念に基づく頑張りや想いの強さも、ただの高校生な太一には逆効果で背中を向けられてしまいそうで
    (元々の脱デレばん(完全ではないが)も振り回されて訳わかんねえ的にならないかという不安があった。見くびっている……のかなあ、稲葉んに都合の良い太一ではいてくれないだろうというか……)、
    終いには稲葉んが別れたいと思っていないことは絶対的ですごく伝わってわかるのに、稲葉んに入り込んだ上でそれしか道がないような気までして来る始末。

    止まってくれとめちゃめちゃ一生懸命で必死な稲葉んが、言動も行動も愛が駄々漏れで、自分を投げ出していて保身なんか欠片もなくて、でも全然通用しなくて、本当につらかった……。
    まさかこのまま……と半ば本気で絶望し掛けたけれど、終盤はさすがに期待が出来たから、なのに物凄く焦らされたから、もう、稲葉んは!稲葉んは!早く安心させなさい太一!とうるさかった(わたしが)。

    ああもう、泣きたい。なんてシリーズだ。すごすぎる。
    ようやく辿り着くラストまでずっとあまりにあんまりだったから、こんなの耐え切れないと思って、ずたぼろ稲葉んがページの隙間で伊織の胸で思い切りすきなだけ泣かせて貰えていたら良いと過ったりした。
    甘いかも、ずれているかも、しれないけど。

  • シリーズ7巻。ほぼ安定して文研部のメンバーのため、そして他人のためだけを行動原理としていた主人公太一、彼の行動を突き詰めれば、どうなるか?。本巻はこれを描くが、読後感はあまりよくない。もちろん、ギミックの用い方や登場人物の心象描写は既刊分に引けをとらない。しかし、太一の方法論に最終的にNoを突きつけ、それを太一自身が容認する結末に納得できないからである。つまり、やり方が拙劣にすぎない太一に比べ、稲葉の意見・行動こそ優越者による高みの見物という臭みが…。太一の成長物語としては止むを得ないと思いつつも…。

  • 山星高校の生徒たちの夢、望みが、文研部の5人にアトランダムでユメのように見ることができる。
    ふうせんかずら曰く、これで最後の現象で、ボーナスステージ。
    (自分たちには何の被害もない。)
    しかし、この力を使用するか否かで、文研部の5人が仲間割れしてしまう。
    太一、唯が使用する派、稲葉、青木が使用しない派、永瀬が中立。
    今回は、太一のお話。
    太一自身の根本的な問題。
    自分の目標、望みと向かいあう。
    途中、意固地になっているのを見ているのは、個人的にちょっとイライラ。
    前巻で暴れた千尋の態度が軟化しており、紫乃の毒舌が冴えわたる感じの雰囲気はとってもよい。

  • なんか皆えらく頑だなあ、と思った。そこまで「全か無か」にしなくてもこれまで通り皆で解決すればいいじゃない、と。だけど進路調査票という幼年期の終わりを突きつけられる時期に皆自分が何者なのか、何者になれるのか悩んでたんだね。そういう意味では初期に困難を乗り切った永瀬が一番大人に近かった、のかな?
    しかし「自分がない」という点には共感したというか自分自身も痛い所を抉られたというか…。

  • シリーズ本編第6弾!!

    修学旅行を控えた太一たち2年生たちには進路調査が配られていた。部室で各々の将来を語るメンバーだったが太一だけ何も言えずに焦っていた。そんななか<ふうせんかづら>が現れ「これで最後です」と告げられ、あらたな異変が始まった。メンバー以外の高校のひとたちの願望が見えるという能力を与えられた5人は、この能力を生かして人々を助けようとする太一、唯と、この能力を危惧しなにもするなと主張する稲葉、青木に対立してしまう。そして修学旅行当日迎え、事件が起きる・・・。

    今回は太一メインの原点回帰物語でした。作中に太一が責められているところは全部自分に言われているのかと思ってしまうくらい考えさせられる話でした。
    誰かに言われて行動することってとても楽でいいですよね。でもそういう人生を生きていくと、自分が空っぽなものになってしまうんですね。

    稲葉が必至に太一に訴えかけるけどその思いが届かないのところが読んでいて胸が痛くなりました。

    でもでも本当に面白いです。
    ほかのラノベにはないシリアス、特殊な現象とか起こるのに妙に現実味を帯びているストーリーはココロコネクトしか味わえないんじゃないかと思います!!

全42件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

第11回えんため大賞特別賞『ココロコネクト』でデビュー。シリーズ11冊で120万部を突破。2シリーズ目『アオイハルノスベテ』全5巻、『今日が最後の人類だとしても』続刊中がある。

「2017年 『今日が最後の人類だとしても2 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

庵田定夏の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×