この恋と、その未来。 -一年目 春- (ファミ通文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/エンターブレイン
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本棚登録 : 220
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047297289

感想・レビュー・書評

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  • ライトノベルらしからぬ重い物語、という前情報に手をつけるのを躊躇っていたが、実際に読み始めてみれば面白く最後のページまで続けて読んだ。

    実家で傍若無人な姉3人に虐げられて生きてきた四郎が、広島の全寮制の新設高校に入学し、同室の織田未来と出会う。未来は性同一性障害であり、身体は女でも心は男だった。積極的な未来に引っ張られる形で四郎は女の子と遊びに行ったりバイトしたり、何より未来とくだらない話をして仲良く楽しく過ごしている様が良い。四郎の父がシャレにならないくらい自由人だったり、姉からの虐げられっぷりが笑えないレベルだったりと軽すぎない部分があるため、未来の性同一性障害の設定が作中で浮いていない。

    これは、マイノリティの物語だ。普通を過ごすために特別な配慮を必要とすることなどは、マイノリティの気持ちとしてよく分かる。主人公の四郎があまりものを深く考えない人間であり、かといって人をいらつかせるわけでもない。その適度な無関心が心地良い。身体は女である未来に恋をしてしまい、心は男だから一生そんなことを言えるはずもなく。ただ側にいるだけの日々の中で、勘のいい未来が気付いてしまわないかが心配。

    ライトノベルか?と聞かれるとライトではないが、語り口と広島の雰囲気が重く見せていない。これはいい物語。

  • ラノベでこういう風に切り込んでったのは凄かったかも分からんね…

  • 2022/04/11-04/13

  • 母と姉に虐げられて育った弟くんが、広島の全寮制の高校に行ったら、同室のヤツは「トクベツ」なヤツで……。このうずうず感がたまらない。姉にこき使われていたからか、主人公は「女」に従順で、たまに女言葉もはいってるんじゃないか、というくらいだけどナヨナヨしているわけでもなく。相棒の未来くんも生き生きしていて、でも影があって魅力的です。

  • 2017/12/09 京大合同ビブリオバトル 一回戦

  • 前々から読んでみたいと思っていた作品。この方の「東雲侑子~」シリーズが女子高生作家の話なら、この作品は性同一性障害を持った子と相部屋になった男の子が主人公の物語。未来に恋心を持った四郎。これから二人にどんな出会いがあり、出来事があるのだろう。実際こんなシチュエーションは考えにくいのだが、その点では物語がどういう展開をしていくのか興味がある。この次の巻は手に入れているので、引き続き読んでいきたいと思う。

  • 2017年読了

  • LGBTの認知も高まったこの時代。ライトノベルでも性同一性障害がテーマに…!
    主人公はフツーの男の子(定番!)ですが、全寮制の高校に入学。ルームメイトは心は男の子、体は女の子。そのルームメイトが「イケメン」で…という展開。

    読んでみると、案外ラノベ的な浮わついた感じ(異常にキャラが立った奴がいるとか)はなく、静かに物語が進行していく印象。1巻の終わりも、あまり疾走感などはなく儚く締まった感じでした。

    粗はないけど、この静かさについていけるかは謎。次の巻を借りるべきかどうか、悩むなぁ。。

  • 東雲シリーズの雰囲気が好きなので、ならこれも読んでみようじゃないかと。性同一性障害という問題を抱えたヒロイン(?)を中心とした恋模様が切ない……!
    あと三好さんみたいな柔らかい広島弁の女の子がとっても好みです。

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著者プロフィール

2002年にファミ通文庫でデビュー。主な著作に『三月、七日。』シリーズ、『東雲侑子』シリーズ(ファミ通文庫)。『デビルメイクライ』シリーズや『鬼武者Soul』などのゲームシナリオの他、漫画原作も手がける。

「2016年 『この恋と、その未来。 ―三年目 そして― 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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