決定版 「軽症うつ」を治す 角川SSC新書

著者 :
  • 角川マガジンズ(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047315884

作品紹介・あらすじ

軽症うつとは、典型的な「うつ」とは異なり、「社会生活は一応できているが、心の中は非常な苦悩に満ちている状態」のこと。そこから抜け出すためにすべきなのは、薬や医師に頼ることではなく、「心と身体の両方を自分でコントロールすること」です。それはたとえば「生真面目過ぎる性格を見直す」「自分を相対化し、過保護にしない」「食生活と睡眠、便通を正常にする」ことなど。薬に頼っていては、一時的に症状は治まっても、原因の根本的な解決にはなりません。著者の長年の診療経験から導き出された、その画期的な治し方を紹介していきます。

感想・レビュー・書評

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  • 軽症うつの原因として性格的な要因が大きいとやはり感じた。
    すぐに自分の性格を変えることは難しいかもしれないが、
    脱完璧主義
    まあいいかの考え方
    自分を客観的にみること(具体的には自分が感じている不安や気持ちは自分の中で勝手に作り出しているものであり、それとは別に客観的にみた自分の評価を意識すること)
    が大事であると感じた。

    あと休職中に焦って将来に向けて勉強をすることはない、そんな時間は復帰してから十分にあるという言葉が今ちょうど休職中の身としては心に残った。

  • 『まあ、しょうがない』.『まあ、いいか』の言葉とともに、客観的な自分を保つことが大切ととかれ納得し、気が楽になった。
    後は睡眠、胃腸、便通の維持、運動など、の生活リズム、体調を整えることが大切ということに気づかされ、具体的な方法が教えられている。
    実践していきたい。

  • よく寝てよく食べる。
    めちゃくちゃ普通のことを言っている。
    最後の朝のダラダラしたい気持ちに素直に何もしないってのは納得。

  • 最近言われている「軽症うつ」について様々な角度から分析した一冊。

    うつ病に発症してからではなく、その前のうつ状態をどう克服すべきかという点において非常に勉強になった。

  • 何気に手にした本だったけど、「え?長年悩んでたこの症状は軽症うつだったのか!」と合点がいきました。
    心療内科に行っても数分話すだけで、薬が増えたり変わったりするだけ。
    無駄だなと思い、途中で止めちゃったけど、よかったんだ、これでと解決してくれた本。
    占い師たちには、芸術や何かを創作することで心が戻ってくるなんて言われたけど、こういうときってそんなのできない。
    結局、水のある銭湯やスパ、サウナ、水泳、汗蒸幕で気晴らししてたけど、それが推奨されてたので、間違ってなかったんだと読み終わった後、スッキリした。
    いいんだよ、それで合ってたんだよって言ってもらえた本。
    この調子で徐々に元に戻したいと思う。


    ・病院にかかる側が「治してもらおう」と受け身の姿勢ではいけない。ただ薬が増えていくだけ。軽症うつは仕事環境、人間関係から起こることが多いので、バランスを崩さないようにセルフコントロールしていくようにする。

    ・軽症うつにかかりやすいのは、生真面目で完璧主義、凝り性で融通が利かない、「ずぼらな人を見ると許せない」「一度感情を害すると後々まで引きずる」「周囲に気を使いすぎている」
    ・軽症うつの人は外面的には社会の適応性もあり、あまり自殺に至らない。自分の中で「こうあるべきだ」が強く、理想と現実のギャップに苦しむ。
    「全か無かの思考」の執着質。

    ・生真面目に仕事をこなす執着性格型は「できる」ようで「できない」。掘り下げるとすべてにおいて「気がすまない」体質。全部終わらせないと気が済まない、皆からよく思われないと気が済まない、机がきれじゃないと気が済まない。

    ・「すべき思考」がつらさを増大させ、自分を追い込んでいく。「仕事」+「すべき思考」=「きちんとやらなければいけないもの」の図式をゆるませ、「手を抜く」ではなく「余力を残す」「きちんとやらなくても一定の要件を満たせばいい」に置き換えてみる。

    ・人は一旦ネガティブ思考に陥るや、その楽さと心地よさから、どんどんその渦に巻き込まれ、自らが心の中で発した根拠に乏しい自己卑下の言葉によって強化していく。そして、ある程度の深さまで落ち込んでしまうと、客観的な判断を司る脳の部分が機能不全に陥り、容易には回復しなくなる。
    なので、このネガティブ思考の初期段階で食い止めることが重要。

    ・軽症うつが増えてるのは、現代社会が人間関係に希薄で人間として持っている「愛されたい」という欲求が満たされないのも原因のひとつ。愛への飢餓感が起こしている。

    ・長期間にわたって抗鬱薬や精神安定剤を飲んでいる人で、気力や体力がみなぎっている人がいない。どこか生気が足りない。薬によって元気を奪われているのではないか。軽症うつに関しては特にできるだけ薬には頼らず、運動や生活リズムの調整などで別の方法で模索すべき。

    ・気分転換を図るということは、悪循環な思考を一旦断ち切るということ。これを実現するには読書や芸術鑑賞などの文化系は×。ストレス思考は日々繰り返され強力に脳に刷り込まれているので、ちょっと鑑賞したくらいでは消去されない。「別世界に身を置くこと」「体に負荷をかけること」が大事。水泳は特によい。呼吸を使うカラオケもよい。

    ・上司が叱責をするときは、「客観的事実+感情的な主観」で成り立っている。客観的な事実のみ受け入れて、感情的な主観は却下すること。自分が全否定されたようなダメージを受けないこと。
    ・上司たるもの職位上の機能的な位置づけだけのはずなのに、勘違いして部下との対比によってあたかも全能的に優れていると思ってる人が多い。ゆえに存在価値が危ぶまれると、自分より優秀な部下を見つけてはねじ伏せたり、感情的になって自己防衛に走りだす。

    ・できない仕事はすぐに断る、手に余る仕事は人に振る。周囲を思いやるあまりに「便利屋」になるのはやめること。
    ・完璧主義から、「そこそこ人間」になる。力を入れる部分を見抜き、2割の仕事に集中し、あとの8割はそこそこにする。また「緊急性」より「重要性」を重視し、仕事に順番をつけること。

    ・困難にぶつかったら「どうしよう思考」から「こうしよう思考」に変えて、先が見えるようにすれば不安が減る。

    ・世界一の不幸にならない→「なんで私ばかりが」「周りの人は幸せそうなのに」
    ・過保護にして現状維持で悶々としない→「もう年だから」「何も資格もってない」「今までダメだったから」
    この二つの解決は「ま、いっか」「しょうがない」とつぶやいて思考パターンを作ること。

    ・軽症ウツの人にとって自殺を望むことは、この場を「逃げたい」だけ。


    【治し方】
    ・自宅安静の休みの取り方は思い切って長期間休むこと。

    ・「ダラダラ期」は何もしないことに徹底すること。身体は自宅だが、心は職場ということは絶対あってはいけない。連絡を絶つくらいにする。
    社会的な存在としての自分を一旦解き放ち、自分を立ち返ることが大事。
    「~しなければならない」を一切排除した生活をすること。

    ・「活動期」は何でも楽しいと思うことをやってみる。非生産的なものがいい。得てして英語やスキルを磨きたがるが、追い立てられる気になってくる。

    ・「復職期」は働きたい欲求が出てきたら働けばいい。環境を整えて復帰をする。

  •  社会生活は一応できているが、心の中は苦悩に満ちている状態を「軽症うつ」と定義し、セルフコントロールの重要性、性格、思考、認知など様々角度から対処法、治し方について綴られています。
     
     自宅安静においては「ダラダラ期」「活動期」「復職期」の三つに分けて説明。特に「ダラダラ期」については、やるべきこと、やってはいけないこと、うまくできない人へ、もたらされる心の身体の変化、と分けながら要点をまとめていて、わかりやすく納得できました。著書は10年前に出版されており、以降に出された著書も順次読んでみたいと思います。

  • P.111-114 愛されたい心理について読んで、フロム「愛するということ」春日武彦「自己愛な人たち」思い出す。バランス。 主観的/客観的思考とか、落ち込むことは楽とか、見えないことが恐怖とか、大変分かりやすい。しかしこの本のセルフコントロール術って、ごくごく当たり前の健康管理術なんですが…それが当たり前じゃなくなってきていることが精神疾患増加の原因だと分かります。身体の問題と密接に関わるという指摘も重要。自分の生活にも取り入れられることたくさんありました。

  • うつのきっかけを紹介し、うつに対する心の持ち方を教えてくれる本。

    うつのきっかけとして一番多いのは
    「上司との人間関係」らしい。
    「自分は全能」だと思っている上司の
    一貫性と客観性を欠いた言動が次第にストレスをもたらすという。

    ■主観を聞き入れる必要はない。

    たとえば、営業成績が芳しくない場合、
    「成績が悪い」という指摘と、
    「会社をつぶす気か」「こんなこと中学生でもしない」という指摘は
    全く別のものであり、後者の主観は聞き入れる必要はない。


    ■客観的な自分を働かせる

    感情的な気持ちに任せて、「アイツはいやだ」など、
    ネガティブな言葉を心の中で呟くようになったときは、要注意。
    この時には、客観的な自分を働かせて、
    その感情を食い止めることができれば、
    軽症うつに対するコントロールが可能になる。


    ■ストーリーに納得する

    相手に対する怒りで心が満ちてきた時、
    一方的に相手を責めるのではなく、
    自分の落ち度を箇条書きにして、
    「まあ、しょうがない」とつぶやく。

    さらに、相手が失礼な態度を取った背景を推測する。
    そのように意味づけをし、ストーリーに納得できれば、
    胸に怒りを納めることができる。

    上下関係の「圧迫-被圧迫」の問題は、
    それが継続されることにある。


    ■気が済まない症候群を見直す

    一見ポジティブな評価をうけやすい
    「納得のレベルまでやらないと気が済まない」というのは
    一種の自己満足であり、
    この癖を直すことが、うつにあたっては必要となる。


    ■自分を過保護にしないための魔法の言葉

    「まあいいか」「まあ、しょうがない」


    ■食べて直す

    発酵食品は疲労防止の効果があるので
    積極的に食べましょう。

    ■甘いお菓子はNG

    イライラした時には、チョコレートなど甘いものに
    やみくもに手がでてしまいがちだが、
    それはかえって逆効果となる。
    バナナなどがおすすめ。

    ■別世界に身を置く

    別世界、且つ身体に負担をかけることが良い。
    ベストは水泳。

    カラオケを利用して、上手に息を吐き、
    気の巡りをよくすることもGood.


    うつになったときには何もできないので
    普段からいやなことがあった時は都度、
    その場で清算していくのがいいですね。

  •  「軽症うつ」になった人はどんな考え方をしているのか、「軽症うつ」になったらどのような身体症状が出てくるのか、「軽症うつ」を治すためにはどのくらいの期間をかけて、どのような生活をすれば良いのかといったことが書かれている。
     最近言われる「うつ」の中でも、「新型うつ」とは全然別の、いわゆる従来型の生真面目で完璧主義でネガティブ思考をする人のかかるタイプの「うつ」について述べられている。今月の残業時間が82時間になって(でも土曜のタダ働き出勤もしたし、毎朝始業開始の1時間前から仕事をしていることを考えれば100時間くらい超えているんじゃないかと思ってしまう)、どうにもしんどく、仕事も自転車操業状態なので、いい加減「軽症うつ」になってしまうんじゃないかと思って、転ばぬ先のつえで読んだ本。
     なるほどと思ったのは、「落ち込むことの楽ちんさ」、「落ち込むことの心地よさ」(pp.104-11)という部分。これは、あるかもしれないと思った。あとは落ち込むことで周りの同情を買うとか。また、ふだん子どもを相手に仕事をしているが、「疾病利得」という言葉を初めて知った。そんな言葉がちゃんとあるんだ。
     「血」とか「気」とかいう話が出てくるのは意外で、実は著者は東洋医学(漢方)が専門だということが分かった。個人的にはこういう話はとっつきにくい。さらに長期間をかけるというのもなかなか受け入れ難く、こうならないための予防的な話をもっと聞きたかったなあと思う。考え方を改めよという話が結構出てくるが、ポジティブ思考をするのはやっぱり難しい。かと言って上から目線の本でもないので、悪い本ではないのだが、全体的には物足りない印象だった。(13/04/28)

  • 受け身で「治してもらおう」ではダメ。日頃から心と身体のバランスに気を配りセルフコントロールしていくこと。

    食事・運動・メンタルなセルフコントロールが必須になってきている、ということ。

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著者プロフィール

1962年、高知県生まれ。医学博士、もりしたクリニック院長。
久留米大学医学部卒業後、浜松医科大学心療内科にて、漢方と心療内科の研鑽を積む。
浜松赤十字病院、法務省矯正局、豊橋光生会病院心療内科部長を経て現職。
心療内科医として、日々全国から訪れる、うつや睡眠障害、不定愁訴の患者に対し、きめ細やかな治療で応じている。
『お酒や薬に頼らない「必ず眠れる」技術』『決定版「軽症うつ」を治す』『薬なし、自分で治すパニック障害』(角川SSC新書)、『不調が消えるたったひとつの水飲み習慣 』(宝島社)、『うつ消し漢方』(方丈社)、『もしかして、適応障害?』『もし、部下が適応障害になったら』(CCCメディアハウス)など、著書多数。

「2022年 『【新装版】うちの子が「朝、起きられない」にはワケがある』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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