狼領主のお嬢様 2 (B's-LOG COMICS)

  • KADOKAWA
4.07
  • (6)
  • (4)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 199
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047358881

作品紹介・あらすじ

「最後にきちんとお別れをしましょう」
前世が前領主のお嬢様であるとカイドに知られたシャーリーは、自身が、そしてカイドが今度こそ前を向いて生きるための”別れ”を切り出した。かつての恋人の未来を祈りながら別の道を行く決心をするが、その夜に屋敷で使用人に毒が盛られる騒ぎが起こってしまう。それをカイドに仇をなすものの仕業だとシャーリーは考え、自身以外にも転生者がいるのではという推論にたどり着いた矢先、カイドも毒によって倒れてしまい――。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ゲボゲボ泣いた

  • 年の瀬になかなかしんどい読書でした。
    相手のことを思うがゆえの裏切り。優しいひとが敢えて大切な相手を言葉の刃で切りつける。その刃は大切なひとを(狙いどおりに)傷つけ、そして何倍もの痛みを自身にもたらす。

    原作がラノベだけど、ライトノベルというにはあまりにも軽くない。
    重厚だって言いたいわけではない。伝えたいことを伝えるために、都合よく設定された異世界であり、人間関係であり、登場人物だ。それは別段ラノベだけの前提ではない、この作品だけの特性でもない。どんな創作物でも伝えたいことを際立たせるために設定は用意されるものだから、その点を論ずるつもりはない。
    単純にそうやって言い聞かせたくなるくらいに、主人公に与えられた環境が酷だった。主人公自身の聖性(というと語弊があるだろうか。徹底した自罰的な善良さだ)や彼女を支えるひとびとの優しさ、聡明さ、誠実さ。それが圧倒的に恵まれた天賦の恩恵であっても、あまりにもつらい。

    そんなつらい思いをしながら、それでも投げ出さずに追いつづけるのは、主人公のひたむきな献身はきっと報われる、報われないはずがない、と思うからだ。
    たぶん、この願いは作中で彼女を取り巻いている彼女の大切なひとたちが抱くのと同じ願いではないのかなと思う。作中では「物語の筋書き」は見えないし確信もできない運命で、私にとっては「物語の筋書き」は(作者の意図こそ知る由もないが)運命ではなく作者の作為なのだとわかっている。その差異はあるにせよ、いつかきっと報われる、を支えにして彼女の物語につき従うのだ。

    ハッピーエンドであってほしい。
    そろそろ精神的に若くもなくなってきたのであんまり波乱万丈で胸に痛い物語は苦しいのよ。
    そう言いながら、きっと彼女の辿る物語をまだしばらくは追っていきそう。誰もが幸せになりますように。

全3件中 1 - 3件を表示

柑奈まちの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×