狼と香辛料VIII対立の町(上) (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048670685

作品紹介・あらすじ

ロレンスたちがローム川で耳にした、『狼の足の骨』の噂。教会勢力は、どうやらその骨を自らの権威誇示のために利用しようとしているらしい。自分と同じ類の狼のものかも知れないその骨を、ホロが放っておけるはずもなかった。詳しい情報を得るために、ロレンスたちは港町ケルーベで女商人エーブを待ち伏せることにする。だがケルーベは、貿易の中心である三角洲を挟んで、北と南が対立している訳有りの町で-!?放浪少年コルが旅の供に加わり、ますます盛り上がるホロとロレンスの旅路。絶好調の新感覚ファンタジー第8弾。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ8巻に入り初の上下巻。シリーズはそこそこ続いているものの、会話劇と心理的かけひきの面白さが落ちてくるどころか、ますます冴えてきていると感じます。

    このあたりまでくるとプロットの巧みさはもちろんのことですが、キャラクターそれぞれの性格と、小説の世界観が完全に噛み合っているからこそ、面白いのだと感じます。

    今回はシリーズで初めて表紙にホロがいません。それもあってか、ある意味ではホロ以上に厄介な人物たちが、この巻では存在感を発揮します。

    前巻で因縁ができたやり手の女性商人・エーブとの緊張感あふれる心理戦もさることながら、この巻ではロレンスが所属する商会すらも敵になるかもしれない、ということが示唆されます。ロレンスはエーブ、そして商会と板挟みになり、迂闊に行動できない状況に追い込まれていく。

    ロレンスがそうした状況に至るまでに明白な恐喝や脅しがない点が、本当に良くできていると感じます。エーブと商会の関係性、それぞれの目的と立場。南北で対立する港町。そしてホロと同類かもしれない狼の骨を、権威づけに利用しようとする教会。

    そうしたこんがらがりそうな設定を最大限に利用し、会話と駆け引きでこの上巻を引っ張っていく。そのストーリーテラーぶりは見事としか言いようがありません。

    こう書くとホロの出番が少ないのかと思われるかもしれませんが、ホロはホロでちゃんと見せ場があります。ロレンスの指示に従い情報を集めに向かおうとするホロの素直じゃなさ、いや、逆に素直な言葉たるや……

    ロレンスとホロのしち面倒くさく、実は甘々な会話と駆け引きは今回も非常にハイカロリーでした。そこにうぶな神官見習いの少年・コルが加わり、コルが二人の関係性を勝手にいろいろと想像して、気を回そうとするのもおかしくて面白かった。

    上巻はまだまだ伏線を張っている段階だと感じます。エーブと商会の策略や思惑が入り乱れる中、ロレンスはどのような決断を下すか、楽しみです。

  • 記録

  • 背ラベル:913.6-ハ-8

  • 否応なく巨大な陰謀に巻き込まれるのは王道的だが、それだけに間違いは少ない。

    ちょこちょこ要らん人物がしゃしゃり出てくるのが気に食わないが。

  • 港町ケルーベで、エーブにあいまみえることになったロレンスたちは、「狼の足の骨」についての話を知っているというジーン商会の主テッド・レイノルズへの紹介状を入手します。さっそく訪れたレイノルズは、思いのほかすなおに話をしてくれますが、そうした彼の態度からは、エーブとの今後の関係についてなんらかの思惑が秘められているように感じられます。

    さらに、ローエン商会若き館長であるキーマンも、エーブと親交のあるロレンスに接触し、こうした人びとのさまざまな思惑のなかで、ロレンスたちはしだいに身動きのとれない状況へと追いつめられていきます。

    あいかわらず、一癖も二癖もある商人たちの駆け引きと、ホロとの心理的な駆け引きに翻弄されるロレンスですが、そこに朴訥ながらも頭の回転はけっして悪くない少年コルがくわわったことで、若干物語全体の雰囲気にゆとりが生まれてきたような気がします。

  • 『狼の骨の話』の情報を得るため、ロレンスたちは情報通であるエーブに接触しようと港町ケルーベに向かった。
    エーブから紹介状を書いてもらったジーン商会は、上からの命令応えるべく金に糸目をつけず狼の骨を探し出そうとしたようだが、曰く本物は見つかっていないとのこと。
    一方、エーブはケルーベの北側の有力者から無理難題を押しつけられているようで……?

    シリーズ初の上下巻。
    コルを連れての3人旅はどうなるだろうと思ったが、やりとりの幅が広がってさらにキャラが生き生きしているように見えた。
    いい感じにドキドキしたところで終わるので、下巻が楽しみ。

  • シリーズをここまで読んでようやく気づきましたが、この本分かりにくいですね。登場人物たちは決してストレートに考えを言葉にしないし、互いの利害関係ももはやぐちゃぐちゃで、全然理解できません。私が馬鹿なのかな。。。楽しめない自分にがっかりしてしまいます。

  • エーブに追いついた街で狼の骨の話を収集しているさなか、
    エーブと組合に板挟みになる騒動に巻き込まれる話。

    コルが加わって物語が華やかになったかと思ったら胃が痛くなるような展開に。
    キーマンのような人物とは関わりたくない。

  • コルという新たな旅のお供を連れ、女商人エーブを港町ケルーベで待ち伏せる。エーブに対し、掴みかからんばかりの勢いで迫るホロの様子はロレンスの事を思ってのことだろうか?
    レノスの町での毛皮を巡る騒動を清算するのでは無く、『狼の足の骨』の噂についてを聞き、さらにはエーブの紹介でジーン商会のレイノルズからも『狼の足の骨』の噂を聞き出した。
    [more]
    今後をどうしようかを3人で話し合い、情報を集めた矢先に町の北と南の対立に大きな影響を与える出来事が発生した。たまたま、町に多大な影響を持つエーブと知り合っていたロレンスも必然的に事件に巻き込まれて行くと言った感じか…
    コルはロレンスともホロとも違い、世間慣れしておらず擦れていないのがよくわかる。そんなコルの要所要所で言葉が腹の探り合いの中で一服の清涼剤のように気持ち良いな。

  • 狼と香辛料〈8〉対立の町(上) (電撃文庫)

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著者プロフィール

第12回電撃小説大賞《銀賞》を受賞し、電撃文庫『狼と香辛料』にて2006年にデビュー。

「2023年 『新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙IX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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