- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048686372
作品紹介・あらすじ
近年多発する凶悪殺人事件。異常な犯罪が起こるたびに犯罪者の精神傾向が取り沙汰される。しかし、犯人個人の精神分析をするだけで、事件の真相を明らかにすることができるのだろうか。社会を揺るがせた一連の事件を、犯罪心理学と法医学の両面から深層をさぐり、社会的背景、さらには人間の本質に迫る。
感想・レビュー・書評
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東京都監察医務院監察医であった著者が、世間を騒がせた惨殺事件を犯罪心理学や法医学の側面から犯人像を浮き彫りする本。
著者のこれまでの検死解剖の実績は本書の中のコメントにリアリティを与えている。 ちょっとした刑事ドラマや推理小説はあくまで作者が考えた人物背景や舞台をベースに犯罪が行われるため、プロの目から見て整合性があるものなのだろうか?という疑問を常に持っていた。 人を殺すという極限の状態というものは、一般人には馴染みが無いので、作者の虚構をさもありなんと受け入れてしまうが、実際その場に立つと本当は違った心理が働くということを本書は教えてくれる。
特にバラバラ事件は残忍な人間の仕業との先入観があるが、実際は普通の人間が保身をするという心理状態を引き金にしてしまうことが多いという。 人を殺めてしまった後の処理は、小説などでは詳しく描写されないことがあるが、保身→証拠隠滅というロジックが、死体の切断に人を駆り立ててしまうらしい。
本書が取り扱う話題の性質上、殺人の状況がかなり詳しく描写されている。 犯人の心理状態をたどりつつ殺人現場をイメージしてしまうと、殺人者側に吸い込まれそうで怖い。 TVやメディアを通して事件を見るだけであれば客観的な視点で犯人を見るのだが、「保身」の衝動は誰にでもあるので、本当に自分が冷静になれるのかは分からない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白かった。実際に起きたよく知られた事件を検証してるので興味深く読了。ただ「バラバラ殺人犯は残虐ではない」には違和感。保身からの行動が強いことを言いたいのだろうが。快楽殺人犯も何人か登場し死刑が執行されているようだが最近は死刑になることが目的の殺人が増えて街中が安全ではなくなってきた。そういう人間の抑止力になる方法はないのかとふと思った。
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興味がある犯罪心理学をまた1から学んでみようと思い、図書館で借りてきた。
著者は犯罪心理学者ではなく法医学者。
何万という死体を解剖してきた経験から法医学的な視点で実際の事件を例に挙げつつ死体と犯人の関係性や犯人の解説をする
犯罪心理学とタイトルで謳っていたからプロファイリング的な事を中心にしていくのかと思っていたが、プロファイリングが4割、死体の解説6割という感じだった。死体の解説というのは、例えば水死体はどのようにでき上がるのか。死後と生前の傷跡ではどう違うのかなど。
普段、中々知ることの出来ない死体のメカニズムを学べる。
物凄く面白い訳ではないが、犯罪心理学の足掛かりにはうってつけじゃないかな -
ニコニコニュース(2019.10.26):「人を殺すために生まれてきた」母親殺しの出所から僅か2年後に強姦殺人、男の歪んだ死生観とは【社会を震撼させた死刑囚たち】 https://news.nicovideo.jp/watch/nw6103998
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なぜ殺した上にバラバラにするんだろう。そんなに腹立つ相手だったのかと思ってたら、結局は自分の事しか考えてない人たちなんだなと、この本読んでわかった気がする。
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上野さんの作品で一番有名であろうのは『死体は知っている』『死体は生きている』であった記憶が。二冊とも読破済み。
犯罪心理学、という観点から、この事件の裏にはこういった心理が見え隠れするものだ、というもの。
たとえば、バラバラ殺人。多くの人は言う。
「なんてむごたらしい。冷徹な犯人に違いない!」
だが実情は違う。殺しはしたけれども、『生き返る』かもしれない。動き出すかもしれない。絶命していないかもしれない。多くの不安がないまぜになって、結局、二度と起き上れぬよう『過剰に』殺傷してしまうのである。
所謂『普通の人たち』が考えるうる『犯人像』が違っている。それを理解してもらえないだろうか。
偏見とはおそろしいもの。
すべてを覆い隠してしまうもの。 -
実際に起こった事件の被害者の殺害状況を元に、犯人の心理や事件の真相を読み解いている。経験をもとにいろいろなことが浮かび上がるんだな、っていうことが分かった。
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な、なるほど、と言っていいのだろうか?
とても読後感がいいとは言えない。でも、こういう方角からの視点も重視されてほしい。犯人を捕まえるために、そして何よりも犯罪を防ぐために。