絶対城先輩の妖怪学講座 五 (メディアワークス文庫)

  • KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048690386

作品紹介・あらすじ

絶対城の知り合いである女性を訪ね、人里離れた豪奢なお屋敷にやって来た礼音たち。妖怪談義に華が咲く二人に疎外感を覚えた礼音は、近所の川辺へと飛び出してしまう。そこで不思議な雰囲気を持つ少年と出会い――?

感想・レビュー・書評

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  • 妖怪は人々のいろいろな思いが作り出したものでいるわけがないのだけれども、このシリーズでは密かにその存在を主張している。しかし、今回は最初からこりゃあきっと長く生き続けた河童たちが出てくるなと想像できた。雪女は意外な正体だったけどね。でもまあ、環境保全の問題に絡めた話は面白かったよ。朝霧シアンくんはなかなか魅力的だった。お節介とお人好し全開の湯ノ山彩礼が何回も頭に来たようで気の毒だったかな。

  • 第5弾、今回は河童がテーマでした。関連して環境問題や政治問題など社会的な物も合わせて話が進んでいきます。

    毎回のように危険な状況に巻き込まれていますが、4話まではいつものノリで読みやすく最後は伏線が回収されていました。

    妖怪に関する考察も毎回のように興味深く、あとがきにあるようにストーリーの展開上、本来の伝承とは異なる内容に変更していることもある、となっていますが、ついつい引き込まれてしまいます。

    新しく登場したシアン君がまた活躍する機会があると嬉しいです。

  • 今回は河童が大きなテーマですね。いつもきちんと参考文献を当たっているのはさすが。

  • 年始のあいさつに行った先には、和風美女。

    わざわざ手土産を持って?! でしたが
    中身は…な手土産でした。
    近くの川が開発されて埋め立てられる、が
    今回の軸。
    いや、河童も??

    毎度のお馴染みで、ちまちまとした事件が
    きっちりと全て同じ方向に。
    子供達には好評な、目々連のビデオが
    ちょっと気になります。

  • 河童のまき。毎度毎度、結構なピンチに陥るよね

  • 【感想】
     安定して楽しめます。

    【一行目】
     「――以上のことから、夢を食う架空の獣『獏』は、実在するバク、即ち、奇蹄目バク科に属する大型哺乳類とは無関係と言える。そもそも、日本の獏は、中国から伝来したという形を取ってはいるが、その性質は、本来のものとは大きく異なるんだ」

    【内容】
    ・新キャラ櫻城紫(さくらぎ・ゆかり)さんと朝霧シアンくん。レギュラーになるのか?
    ・全編を通したら河川開発と河童の話。
    ・目目連と映画研究会と地域振興プロジェクト。
    ・雪女の噂を聞きユーレイ、絶対城、杵松の三人で小旅行。
    ・蛙の像と、なぜかシアンくんと張り合う絶対城先輩。
    ・河童の原型? ひょうすべ。
    ・見えかくれする「鬼」の存在。対決間近か?

    ▼文学部四号館四階四十四番資料室についての簡単なメモ(妖怪については基本作中の説明によるので一般的な説とは異なるかも?)

    【アイビー】東勢大学内の喫茶店。第一学生食堂より値段は高く量は少なく客層はおしゃれで華やか。
    【朝霧シアン】謎の少年。高校生くらい。頭脳明晰で運動神経も抜群。読んだ人はまず河童かもしれないと思うだろう。でも、河童はある意味創作された妖怪やし?
    【礼音/あやね】→湯ノ山礼音
    【いくち】第二巻に登場。
    【糸倉】大日本護法息滅会のメンバー。じつは・・・
    【今村】映画研究会の部員。
    【馬鬼】第一巻に登場。不慮の事故で死んだ馬の霊が妖怪化し不幸を招く。
    【映画研究会】専門はホラーとアクション、バイオレンス。高尚なアート系はシネマ同好会の領分。
    【遠藤】映画研究会の部長。
    【大柴】映画研究会の副部長? 茶髪で猿っぽい顔の人。
    【大百足】第二巻に登場。
    【大蛇】第二巻に登場。
    【鬼】あのクラウス教授をして「鬼には手を出すな」と言わしめた恐ろしい存在のようだ。
    【織口乃理子】国文科准教授。28歳だが20歳そこそこにしか見えないお嬢様っぽい美女。大学創始者の一族だが今は没落。一時期敵対していたが、後に協力者(?)となる。

    【ガイラゴ】ぶよぶよした肉体の妖怪。第四巻に登場。漠然とした恐ろしい妖怪のひとつ。
    【河童】超有名な水妖だが創作された妖怪に近い。鬼が古代、天狗が中世を代表する妖怪なのに対して河童は近世を代表する。発生当初から人間より弱い存在という設定らしいが櫻城紫さんの説では自然(特に水関係)に対する人間の感覚が江戸期には、畏れつつも最後には支配できるというふうに変わってきたからではないかとのこと。もともとあった河童的存在のイメージに人間があれやこれや付け加えた結果、今の姿になった。医療・薬学とも関わりが深い。
    【鎌鼬】第三巻に登場。有名妖怪。民間伝承系でしぶとく生き残っている。真空説はあり得ない。
    【川坊主】ぬめぬめした体表を持つ人型の妖怪。第四巻に登場。河童の亜種。人を見ると襲ってくる。エンドウ豆が苦手。
    【考える】知らなければ考えろ。 第二巻p.21
    【着ぐるみ】《男はな、着ぐるみに入ったら、女子に接触したくなる生き物なんだよ。これはもう自然の摂理だから仕方ない。》by大柴、第五巻p.91
    【杵松明人】理工学部の三年生。絶対城の友人にして協力者。すごく聞き上手で人あしらいがうまい。元演劇部。「ロマンとセンチメンタリズムは人生を彩る大事な要素だ」第四巻p.317。
    【木村茂吉】小久保荘の営繕担当。節足動物ラヴァー。
    【きよ】はるか昔の兵部家の当主で、河童と闘い腕を切り落とした。
    【京極夏彦さんとの違い】京極夏彦さんの作品とものごとを解決させる方向性は近いが、テイストは異なり、こっちはおどろおどろしい感じはほぼなくあっさりと軽くてドタバタしてる。コケオドシがないので好ましくはある。
    【クラウス・インフォレスト】絶対城の師匠。紳士的にだが、美女はとりあえずナンパする。文学部四号館の正式な持ち主。フィールドワークが好み。密教系古武道の達人。正体は自称・・・。「声を荒げた時点であらゆる議論は終了となる」第三巻p.122。
    【光陰】罵王院光陰。大日本護法息滅会のトップ。自称「憑きもの」。昨年まで東勢大学工学部バイオ資源学科の大学院にいた。担当教授は真萱/まがや。今は退職。本名は番場尚敏。
    【コーポ・ネオ苗代】礼音が入居している集合住宅。大学から自転車で二十分。いろいろ不便な位置にあるので家賃はお手頃。
    【小久保日奈美】礼音の友人。今はひなびたしかし通好みの温泉宿小久保荘の若女将。
    【駒引川】櫻城紫の屋敷の近くを流れる川。河童が出る。なるほど、やからその名前か。最近開発計画が出ている。

    【三枝】東勢大学の学生。大日本護法息滅会に関心あり。
    【櫻城晃/さくらぎ・あきら】櫻城紫の妹。亡くなっている。
    【櫻城紫/さくらぎ・ゆかり】非の打ち所のない美人。礼音は彼女にコンプレックスを抱く。絶対城いわく「同好の士」。大学と同じ市内のようだが人里離れた感じの深泥淵(みどろぶち)の傍らに建つ屋敷で暮らしている。茶道櫻城流宗家の令嬢にして櫻城流の家元でもある。河童専門のアマチュア研究家として絶対城も一目置く。
    【沢渡冬二郎/さわたり・とうじろう】櫻城さんちの庭師。
    【七人みさき】第二巻にちょっと名前が出てくるけど、個人的には昔からあれがけっこう怖い。なんでかわからないけど。いつかメイン妖怪として出てくるだろうか? まあ、あれを妖怪と呼べるならやけど。
    【城之内】映画研究会の女性部員。
    【白尾根】隣の市の小さな町。雪女が出る。
    【しろまくれ】第三巻に登場。はしてないけど名前は出た。それに例えたせいで礼音を怒らせた。
    【真怪】ほんとうの妖怪と分類されるもの。中には怪異を操る「技術としての真怪」というのもある。
    【真怪秘録】幻の本。物語の中心になっていると言える。絶対城が追っているものとも言える。
    【絶対城阿頼耶/ぜったいじょう・あらや】文学部四号館四十四番資料室に住まうワイシャツに黒の羽織で黒色の長身の怪人。妖怪に詳しい学生。バリトンボイス。スポーツは嫌いだがフィールドワークで山歩きには慣れている。改名しているらしく、その名の由来は井上円了の文章のようで、絶対城はあらゆる知識の集まる書庫のこと、阿頼耶は最も深い場所くらいの意。本名というか元の名前は不明。クラウスは知ってるようなので過去にあったらしい出来事のときに変えた可能性が高い。実家は政治家を輩出する家柄。
    【創作妖怪】絶対城は創作された妖怪にはそう大きな関心を示さないが、創作物であっても多くの人のイメージとしてあるのなら、脳内にいるのなら、いつかそれら多くのイメージがかたちをなすこともあるかもなあとか思う。AIM拡散力場みたいに。
    【蒼空/そら】小学五年生。礼音が通う市営スポーツセンター二階の柔剣道場で合気道を習う受講仲間。船幽霊を目撃してしまった。礼音のことをコーチと呼ぶ。

    【第一学生食堂】通称「いっしょく」。礼音御用達。
    【大日本護法息滅会】宗教団体。東勢大学から車で二時間半ほどの山間の朽縄町にあり、教祖の光陰は大学のOBで昨年まで理工学部の院にいたらしい。
    【立見菜月/たつみ・なつき】薬剤師。四十歳手前くらい。白尾根の温泉で出会った。天寺市の兵部製薬で働いていた。
    【多邇具久/たにぐく】蛙を神として敬うときの呼び名。特に知恵の神としての性格を強調するとき。農業国の日本では蛙が田の神とされることも多い。
    【憑きもの】第四巻に登場。大日本護法息滅会のトップ、光陰が使うとされる。飯綱使いとか管キツネなどのこと。光陰はトウビョウ(小蛇の集団)を使うらしい。持ち主の意思を反映して勝手に働いたりする。おおむねいい目にあっているヤツへの社会的制裁として「あいつは憑きもの」だとレッテルを貼る形らしい。「今日はついてる」と言ったりするのはこの憑きまののことなんだとか。
    【付喪神】第一巻に登場。長く使われた道具が変じた妖怪。
    【土蜘蛛】第一巻に登場。人を襲う蜘蛛妖怪。けっこう強力な妖怪として描かれることが多い。
    【手品】妖怪学と近い方向性を持つので絶対城はその手の資料も多く持っている。
    【天狗】第三巻に登場。超ビッグネーム。公的記録にも民間伝承にも現れ、歴史も長く、さまざまな様相で描かれる。絶対城先輩の暴くその正体は・・・
    【東勢大学】舞台となる私立大学。天寺市(てんじし)にある。古い施設を流用して創られており怪しい噂がいっぱい。
    【ドレス】礼音が絶対城をしばらく居候させた礼に買ってくれた。礼音いわく《あんな王室主催フラメンコ大会みたいな服》第四巻p.77。
    【泥田坊】第四巻に登場。メジャー妖怪だが鳥山石燕の創作なんだとか。当時の誰かを風刺したものらしいが昔からの伝承と創作妖怪を区別なく並べたために同列に扱われるようになった。ご近所に似たようなのが出没しているらしく小学生の間では「ドロドロ」と呼ばれている。

    【ナメラ筋】位置的な妖怪。超常的な存在が利用する道。ナメラとは一般的には蛇のことを今するらしい。
    【南郷蒼空/なんごう・そら】→蒼空
    【鵺】第三巻に登場。その正体は・・・
    【ぬらりひょん】第一巻に登場。頭が大きくて背丈の低い老人の姿の妖怪。「妖怪の総大将」的な言い方は後付けの設定だとか。
    【粘菌】南方熊楠で有名になった、かなりおもろい生物。第四巻の重要ファクター。
    【のっぺらぼう】メジャー妖怪。闇夜の象徴。意外なところで登場。

    【春田】市営スポーツセンターで合気道を教えている師範。
    【一つ目小僧】メジャー妖怪。第四巻に登場。絶対城は月を擬人化したのではないかと考えている。
    【判断】「それを決めるのは本人じゃないさ。判断するのはギャラリーだ」第二巻p.40
    【ひょうすべ】河童の仲間。古いタイプ。うん? ひょうすべと、いっこ下の兵部って音が近いな。神話伝説系では音には意味があることが多いのでたぶん関係あるんやろな。
    【兵部統子】天寺市市会議員。駒引川を開発しようとしている。兵部製薬の一族。駒引川開発は誰が考えても赤字になるので企業と議員の癒着は取沙汰されていない。他者に命令したりすること自体を好むタイプと織口先生は言う。男の権力者に多いタイプ。「若いチカラ活用プロジェクト」を推進している。
    【広人】そらくんの友人。合気道を習っている一人。
    【船幽霊】第二巻に登場。
    【ふれあい牧場】白尾根で雪女の話を聞いた寺の隣にかつてあった動物園と牧場の中間のような施設。動物虐待をしていたらしく、管理も甘く苦情が多かったからか夜逃げした。
    【べとべとさん】第一巻に登場。足音だけがついてくる追跡系の妖怪。あるフレーズを唱えることで去ってゆく。
    【星川】海洋生物学専門の小柄で童顔で気弱そうな女子学生。理工学部のバイオ資源学科四年生。船幽霊事件で関わった。見た目に反してイヤなことはテコでもやらない強さも持つ。いつか礼音のライバル? になるかも? 「恐竜とかマンモスとか、単体で強い生物って、意外とあっさり滅びますから……。弱くて小さくて小賢しい方が、結果的には有利なんですよ……?」

    【真萱鋭吉/まがや・えいきち】東勢大学で研究室を持っていた生物学者。粘菌が専門。憑きもの使いの血族らしく、その教え子がトップを務めている大日本護法息滅会と何らかの関わりがありそうな感じ。
    【間刈/まがり】市営スポーツセンターで剣道を教えている警官。厳格で短気な性格。
    【見越し】第二巻に登場。
    【水木しげる】民俗学的伝承のある妖怪と、鳥山石燕などの創作した妖怪を、おそらく意識的に混在させて紹介し、そのことで最近の妖怪観が決定づけられたと絶対城は言う。
    【海晴/みはる】蒼空(そら)の友人。小学六年生。市営スポーツセンターで剣道を習う美少女剣士。鎌鼬の被害に遭った。
    【目目連】いっぱい目がある妖怪。鳥山石燕の創作。

    【夜行さん】第二巻に登場。
    【山姥/やまうば】第三巻に登場。個人的には「やまんば」と呼んでいたが「やまうば」が正式? 絶対城によると民間で広まった伝承ゆえに鬼や天狗に較べより直接的な怖さがある。恐怖をもたらす者であると同時に善性を抱くこともある不可解な存在。
    【ユーレイ】絶対城は湯ノ山礼音をこう呼ぶ。
    【友香/ゆか】礼音と同じ学部の友人。
    【紫/ゆかり】→櫻城紫
    【雪女】ラフカディオ・ハーンの雪女が秀逸すぎてイメージが固まってしまったが、多くは出会った人間をいきなり殺す。いろんな話が混じりやすいタイプ。
    【湯ノ山礼音/ゆのやま・あやね】語り手。ヒロイン? 大学一年、経済学部。長身でツルペタ系の女性。たぶん、うまくすれば男装の麗人ふうになれると思う。絶対城先輩はユーレイと呼ぶ。とある妖怪の末裔らしくサンプルとも呼ぶ。能力を解放したら凄いんやけど普段は解放していたくはなく、そのためには絶対城先輩の作る(怪しい)アイテムが必要でほぼ下僕扱いされている。趣味と特技は合気道。
    【妖怪】個人的に考えているだけだが、妖怪は概ね、人間が主に自然(および自然現象)と折り合いをつけるため、そのズレを埋めるために発生したのかなと思っているので絶対城先輩のやり方は本来のありように合ってるんだろうと思う。
    【妖怪学】井上円了がつくった学問。その意図は妖怪という怪しい存在に理性の光を当て、そのバックボーン、背景に隠されたものを探ること。要するに妖怪なんていないと証明したかったってことかと。それは時として不都合なことを隠蔽してきた権力側にとってまずいことでもあり、それゆえに危険でもあった。
    【妖怪学の意義】礼音がいつか誰かの役に立つかもしれないと言って、ある程度絶対城先輩が納得したみたいなのが不思議。そんなもんとはちゃうでしょ? よっぽど弱ってたのかと思ったら、そうでもなかったみたいやし。ちょっとキャラがブレてたかな。
    【妖怪の分類】井上円了が提唱したらしい。生物などを見誤った「誤怪」、捏造された「偽怪」、自然現象などを超自然と思い込む「仮怪」(その中でさらに物理的実体に由来するものを「物怪」、心理的要因に由来するものを「心怪」)、そして「真怪」はほんとうの妖怪。

    【霊】妖怪は自然発生だが霊は人工的なもので深みが違うらしい。それは、ぼくもそう思ってる。
    【わいら】第三巻に登場。名前と姿だけはいくらか流布しているがバックボーンを持たない妖怪。どうやら無名の絵師の創作かもしれない。

    【若いチカラ活用プロジェクト】兵部統子市会議員が推進している。大学生などの能力を地域振興に使おうというプロジェクト。織口先生は反対している。
    【笑い女】第三巻に名前のみ登場。

  • 「河童」
    全国の川や沼に伝わる妖怪。
    馬を川に引きずり込んだり、泳いでる人間を襲って尻子玉を奪ったりするお馴染みの行動様式がある。
    人の想像が相まって今知る河童の姿が出来たと考えると、人間の想像力の広さには驚かされるな。

    「目々連」
    廃屋の障子に無数の目が現れるという怪異。
    江戸時代の絵師により創作された妖怪であり、伝承などは一切記録されていない。
    大人の事情があるとしても、制約を後から変えてまで子供に強制させるのはただ権力を行使しているだけだよな…。

    「雪女」
    雪の夜や吹雪の日に屋外に現れる、若い女性の姿をした妖怪。
    中国地方以北のほぼ全域に伝わる妖怪で、その容姿や行いは地域によって様々である。
    吹雪の中あんな状態のものを見たら、誰でも妖怪の類と勘違いしてしまうだろうしとても恐怖だろうな。

    「多邇具久」
    日本神話において蟾蜍を指す呼び名。
    蛙は田の神の使いであり、雨を呼ぶ存在として全国的に信仰されている動物である。
    蛙にこんな呼び名があるうえ、こんな神聖な生き物だったとは知らなかったな。

    「ひょうすべ」
    九州に伝わる川の妖怪。
    人間に近い外見的には古いタイプの河童であり、武力でもって河童を統べた役職の名称である。
    お互いの利益の為に結んだ約束を、自分たちの利益の為に無茶苦茶な理屈を盾に破るのは良くないよな…。

    「雪男」
    青森、長野、徳島などに伝わる山の妖怪。
    亡くなった彼女はいったい何を調べていたのだろうか…。

  • このシリーズを読むといっつも思うんやけどね・・・。

    うん・・・。

    私、全然妖怪に興味はない・・・(笑)。

    じゃあなんで読むねん! って、なんやろう、前作からも思ったけど、

    絶対城先輩と礼音ちゃんがわかりやすくラブい・・・。

    エッ・・・。ま、まじで・・・。このシリーズに恋愛要素はまったく期待してなかっただけに、
    「絶対城先輩可愛すぎかっ!!」
    と、おたく的なツッこみをかましたい。
    これは、杵松さんポジションがおいしすぎる・・・。

    こんなけ可愛く恋愛する絶対城先輩を間近で見れるなんてものすごい眼福ではないか・・・。

    あ、いやいや、ここはキュンな恋愛どころではないのかな?
    絶対城先輩の過去含め、次作で色々なことが明らかになりそうなので早く続きを借りよう。


    あとはもう、礼音ちゃんが面白すぎる。何この子ピュアすぎるわ!
    野生のダチョウと戦うとか、ピュアすぎるわ!! えっ、そっち!?

    可愛すぎる絶対城先輩にはピッタリの男前少女。
    煮え切らない(いろいろな意味で)絶対城先輩が、新たに登場した櫻城さんにはわかりやすくメロメロになってるのにイラッとするのですら、礼音ちゃんにかかると男前。

    「自分にも怒ってるけど絶対城先輩にもそれ以上に怒ってる」
    と、自己分析するところとか、
    「カッコイイ・・・!」
    と、思ったわー。そりゃあ絶対城先輩も惚れるよ(推定)。

    その後の冷静な自己分析もいい。誰が悪いとかではなくて、自分の感情をただ並べるだけでわりとスカッとするんやね。
    怒りと反省はわりとガーッとできるけど、一番鬱屈とするのは自己弁護やね・・・。
    色んな思考ってグルグルやりすぎると、結局、自分は悪くない、だって〇〇やもの、悪いのは△△や、ってなってしまって、迷宮入りするな。

    怒るのは悪くない。反省もしていいやろう、でも、自己弁護のやりすぎはあかんねやな・・・。
    ちょっと、見習おう。

    (さすがにダチョウと戦えるくらいまでの境地にはたどり着けないと思うけど・・・)


    そんな具合に可愛い絶対城先輩と男前な礼音ちゃんを間近で見られる杵松さんがうらやましいっちゅうことで。
    彼も彼で、「お菓子作りに凝ってる」とか「シュークリームを作った」とか、おいしすぎる設定がたっぷりやけどな・・・。

    そもそも、理系の演劇部っていうのもたまらんわ。

    絶対城先輩は礼音ちゃんを「所有物」って言い切ったのに、ここはヤンデレちゃうねんな(笑)。
    なんやろうな、この違い。
    絶対城先輩が可愛すぎるから(笑)?



    さて、今回は1冊を通して河童の話。
    兵部統子とシアンくんの
    「どっちが犯人か」
    と、いうひっかけ(?)は、私も礼音ちゃん同様一瞬だけシアンくんを疑ってしまったわ。

    各章はちゃんと完結するのに、話がちゃんとつながっていて、最終的に1冊を通してオチがつくのがいい。
    サラッと読み飛ばしたい妖怪うんちくがあとあとの伏線になっていたりして、作中でも語られていたように
    「妖怪というのは色々な伝承が混ぜ合わされて作られたもの(でもある)」
    と、いうのを地でいってるなー、と、思う。

    そこが面白い。
    具体的な何、と、いうのはあるようでないのに、
    「〇〇らしい」
    「▽▽といわれている」
    と、いう情報を集めて、最終的に私の中でイメージが固められる。
    今回は河童という妖怪について、私のイメージができたな。
    身が軽い、頭がいい、気が優しい、でもって、人間に近い見た目。

    ・・・なので、わりとそこらへんに河童の末裔(もしくは現役の河童)がいるのかも。


    ■■■■


    ■忖度 そんたく

    [名](スル)他人の心をおしはかること。「相手の真意を忖度する」


    ■抉られる えぐられる

    ( 動ラ五[四] )

    刃物などをつきさしぐるりと回してくり抜く。 「木を-・った椀」

    人の心に激しい苦痛・動揺などを与える。 「肺腑(はいふ)を-・る話」

    真相を明らかにしようとして容赦なく追及する。 「現代の世相を-・る」


    (2016.10.23)

  • うーん河童実在は世界観が若干歪んだ気も。
    でも面白かったです。

  • 河童の回。
    短編かと思いきや、雪女から続いていたという…。そうか、あの方の正体はあれかぁ。

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著者プロフィール

小説家。2008年に『ほうかご百物語』でデビュー。著作に『少年泉鏡花の明治奇談録』『金沢古妖具屋くらがり堂』『今昔ばけもの奇譚』『ゲゲゲの鬼太郎(TVアニメ第6期ノベライズ)』など。予言獣を扱った作品に『ほうかご百物語8』、『絶対城先輩の妖怪学講座 十』(いずれもKADOKAWA)、『アマビエを探しに』(『文芸ラジオ』8号)などがある。
○推し予言獣は「左立領」。中に二人くらい入っていそうなデザインが着ぐるみ怪獣愛好家としてはたまりません。

「2023年 『予言獣大図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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