NOISY

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048728225

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  • 自己完結した世界


     斉藤由貴は、あの斉藤由貴に間違いありません★
     1989~1994年にかけての彼女は、エッセイ、詩集、小説を精力的に発表していて、そのころ間違いなく物書きでした。彼女が持っていた感性、少女性、早熟度、美意識、あの摩訶不思議な危うさ……。どれをとってもそうした創作活動に「向き」だったのです。ただ、あまりにも刹那的な作風でしたが。
     もったいないけど、この唯一の長篇小説『NOISY』を書いたのち、戸張が降りました。

     冒頭から、いきなり手首を切るか切らないか、数ページにわたる絶望と葛藤の描出が鬼気迫ります……! 美しい月、という名前を持つ女性が、かっこいいけどどうやら軽薄らしい、遊び人的な男に捨てられて、思いつめてしまったのです。異様な緊迫感に包まれていて、「病的」「末期症状」といった言葉すら浮かびます。
     崖っぷちで生にとどまった彼女でしたが、精神状態があやしすぎる……★ 自分の傷を自分でえぐるかのように、男を誘惑したり逆襲されたりしながら、不安で不安定で危険に満ちた日々を流れていきます。この、女としてのカルマの深さ! 引きずりこまれます。
     しかし、この繊細な悪女が普通の男の子と出会い、自分を取り戻したところで、小説もこれ以上普通にはなれないところへと舵を切ってしまいます。この唐突なすこやかさは、一体どうしたの? 劇的な展開の方が似合いそうなのですが……。

     ただ、これ以上危険な目にあわないところまで堕ちてしまった人にとっては、平凡な毎日こそがかけがえのないものに見えるのでしょう。これ以上危険な恋はできないどん底まで映してしまった目には、普通の恋愛こそが輝いて映るのでしょうね☆
     完全に自己完結している。他者の声を聞き入れないような固さがあって、宝石の美しさを見る思いでした★

     のっけからの自殺失敗には、コーネル・ウールリッチの『夜の闇の中へ』をふと思い出しました。

  • 恋多き女性の惨憺たる人生の一部。
    そんなもんかなあ、と納得いかない感は残ります。

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