- Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048731850
感想・レビュー・書評
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縄文ロマンから、ややモンスター系SFへ。
やや安っぽくなった残念感は否めない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
◆ネタバレがありますのでご注意ください
やっぱりこういう日本神話、神道を題材にしたものは個人的なつぼにハマる。「日本書紀」「古事記」以前のことが書かれているという「旧辞」、邪馬台国、蛇神信仰、などからオルバースのパラドックスまで、さまざまな要素をパズルのように組み合わせてひとつのストーリーを作り上げているところはけっこうおもしろく、とくに上巻はグイグイと引っ張られ、上下巻あわせて約1300ページだったが3日間で読んでしまった。
でもけっきょく「旧辞」には何が書かれていたんだ? 前半でかなり重要な要素だったのに後半は出てこなくなってしまった。
祐美は安達祐美がモデルなのか? ボーイッシュだが愛くるしいタヌキ顔の美少女って…。ただ個人的にはテレ朝深夜の「虎ノ門」で井筒監督と一緒に出ていた女の子−−グーグルしたら「豊岡真澄」という名前らしい−−がずっと頭の中にあったが。
太陽系を包み込む生命体というのはちょっとムチャクチャでもあるが、それが地球上の生命を灼熱から守っており、したがって「神」というのはおもしろい。
でも古代からよみがえった蛇神がカムナビに焼かれて死んだ後、このアラハバキ神はどうなったんだ? 神の視座からこのストーリーを締めるなにかあってもいいのではないか。
ただなー、文章がイマイチ。科学的知識や小説の外である現実世界でもこういう人たちがこういうふうに言っているとか、ちょっとした表現(志津夫が怪物と格闘しているときに、「格闘技にくわしい人ならガードポジションをとったというだろう」みたいな)などがプカプカに浮いてしまっていて、いきおい文章の緊張感をそいでしまう。ストーリーテリングに迫力や重みがないというか…。おかげでせっかくいろいろ調べたであろう事柄もストーリーとしてはいまひとつドラマチックに盛り上がらないというか。このあたりが「ヤマタイカ」と大きく違うところ。
真希を除いたキャラクターがどうにもステレオタイプっぽくて活き活きとしてこない。その真希にしても、志津夫はただ利用すべき相手であり恋愛感情的な想いはほとんどないも同然。だが志津夫の方はなんどとなく真希に魅了されており、さらには真希と祐美の対立もひとつの軸になっているのだから、いっそ真希にも志津夫への想いがほのかに芽生えたほうがキャラクター同士の関係性がより豊かになり、真希のキャラクターもより深みが出たのではないか。もちろんうまく描かないとよくありがちなただの三角関係になってしまうが。
最後で祐美と結婚することになるが、そのときにはウロコもだいぶ消えてきているというのはあまりにもご都合主義。あれだけストーリーの中心をなしてきたのだから、そういう志津夫と結婚するにあたって祐美のそれなりの覚悟というか決意というかが描かれるべき。そもそもこのふたりが結婚することについても、祐美の志津夫への想いは真希とのやりとりの中である程度描かれていたが、一方の志津夫から祐美への想いは出会ったばかりの頃に第一印象的にほんの少し出てくるだけであとはほとんど触れられていない。むしろ個人的感情であれば真希に対するもののほうが好意であれ嫌悪であれ非常に強く描かれているぐらいだ。よってふたりが結婚するというのはどうしても最後にとってつけたような印象になってしまっている。
ということで、ストーリーを組み立てる上での題材はそれぞれかなりおもしろいのでほんとは★4でもいいのだが、そうした題材を基に描かれた小説としての部分がイマイチなので、★3.5となった。 -
SFホラー。
上巻よりは、読みやすく
先が、どうなるのか
気になって仕方なかった。
ストーリーの展開は
それなりに楽しめました。 -
古代の蛇神信仰を基にしたSFホラー。古事記神話も絡ませ、世界観を上手く作り出していると思う。
ただ、登場人物の会話のやり取りだったり、彼らが使う比喩表現だったりが、全体的に妙に軽く、それが深刻な場面にさえも出てきて、ユーモアと受け取るよりも逆に苛々させられた。物語の世界や展開はそれなりに楽しめたのに、登場人物たちにいまいち感情移入できなかったのが残念。 -
001.初、並、カバスレ、ヤケ、小口黄ばみ、帯無。