- Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048740579
感想・レビュー・書評
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風船病の話が一番好きだ。私もかかっちゃうなと思いながら読んだ。
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初めての西加奈子作品。津村記久子がひたすらリアリティ溢れてるのに対して、こっちは感覚的?つかめるような、つかめないような…。
私のお尻が面白かった。 -
短編集です。
デビュー当時の著者の作品はいくつか読んで、地に足をつけた話を書く人だなと思っていました、話も面白い。
それ以降しばらく読んでなかったのですが、数年ぶりにこの著書を読んだところ、驚きました、いつの間にか狂気を帯びてしまっている。
なかでも実在の作家、山崎ナオコーラを名指しにして書かれている『甘い果実』が良いです。
主人公は山崎ナオコーラに嫌悪感を抱く作家志望の女性で、作中、とにかく、同性で作家の山崎ナオコーラを徹底的に唾棄すべき存在としている。ところが、最後には山崎ナオコーラが世界一好きになっている、その好きになる理由は是非、読んで確かめていただきたいです。読み手が書き手にある種、試されているようなお話です。 -
生きることへの愛
独特の世界観を持つ著者の短編集。
この著者の本は初めてだ。
気に入ったのは表題作の『炎上する君』、そして最後に収められている『ある風船の落下』。
「生」の面白さを感じさせる二作である。
『炎上する君』
浜中と梨田という二人の女性。
浜中は「戦中」「学徒動員」というあだ名をつけられた過去がある。
対して梨田は「戦後」「火垂るの墓」というあだ名。
二人はとても優秀な女性であるが色恋には興味がない。
そんな地味な容貌の二人が、突然バンドを組んだ。
バンド名は「大東亜戦争」。
(淡々と書かれているからそれがまた可笑しい。想像すると一人でにやついてしまう)
二人はとにかく真面目で、感情を爆発させるはずのバンドも「こなす」作業になっている。
だから「足が炎上する男」に興味を持った。
そして二人も炎上した。
最後の文が印象的である。
君は炎上している。
その炎は、きっと誰かを照らす。煌々と。熱く。
君は、炎上している。
『ある風船の落下』
風船病という奇病がはやり始めた。
人は膨れて膨れて、ある日飛び出して戻ってこない。
ハナもふくれて飛び出していった。
死んだと思われていた風船病の患者は、ある場所にたまっていた。
皆、一定の間隔を取って。
そうすれば傷つかない。
悪意に悩ませられることも、蔑視に耐えることも、裏切られることもない。
しかし、誰とも寄り添うこともできない。
「地上」の人間は愚かだ。
決められた価値観しか認めない。はみ出すものには容赦ない。
だが、それでも人間でいたいとギヨームは言う。
その叫びに身体が震える。
「あなたが好き」
その声がもたらしたものは、なんだったのだろうか。
他6編。
著者の炎上する心が伝わる作品だ。 -
久しぶりに印象に残る短編集を読んだ。タイトルを見たら内容がちゃんと思い出せるのだ。意外と全話記憶に残る短編集は少ない気がする。
一風変わった文章表現もピッタリくる。尖り過ぎず牧歌的にもならず、軽過ぎず重過ぎず。とにかくそのバランスが気持ち良い。
感覚的なお話が多くて、とても好みでした。 -
孤独感だったり、もやもやだったり。。。
一歩踏み出そうってことかな。 -
素敵な短編集でした!
特に「炎上する君」好きですなぁ
帯にもある最後の一文が大好きでした
すべての作品が、好き勝手に想像できる自由さがあるので、読むたびに解釈が違うと思います:>
西さん初めましてだったのですが、期待通りでした~
他の作品もわくわくです:) -
ちょっと不思議な世界が詰まった短編集。表題作がいちばん好き。想像力が刺激され楽しいんだけど、少し孤独。
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表題の作品が一番好き。
あと風船病のはなし。
どっちも同じようなことをいってる気もする。
西さんのは基本的に人を好きになることを肯定的、とゆーか
それが生きるのに必要だ、とゆーか、そーゆー感じがする作品が
多いなあっと思う。
あと表現の仕方が独特、とゆーか、わあ、絶対私には書けない、という
表現してくる。すごいなあ。まあプロの作家なわけだから当然なんだろうが。
でも、この人の感覚はなんか、好きだ。
炎上の君、は最初2人の口調から女だと思ってなくて、分かったときに、
なんかおもしろいなあっと思ったんだが、終盤口調が変わった時に、
なるほど、ここのときのためかあっと納得。
ビフォアーの2人も好きだったので、ちょっと残念な気もするんだが、
アフターな2人はなんだか楽しそうでもあるので、
まあしょうがないか、と思う。
にしても燃える足、とか、おもしろいわあ。素敵だわ。