よくわかる人工知能 最先端の人だけが知っているディープラーニングのひみつ

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048922333

作品紹介・あらすじ

コンピュータがプロの囲碁棋士を破り、世界中が注目する人工知能。トヨタ、東大、スーパーコンピュータ開発の最先端研究者がはじめて語る、人工知能ビジネスのリアルな「今」と、2025年の未来を先取りする一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 現在日本で人工知能を産業界で大きく牽引している清水亮さんが(当時の)日本の人工知能開発の最先端を担う方々にインタビューをした「よくわかる人工知能」だ。これも2016年の出版なので、この本が出版された時点から色々と世の中は動いてしまっているのだが、依然として方向性について理解するにはとてもわかりやすいと思う。・・・というよりも、今となってはAIについての変化が早すぎるということを実感するための良書という位置付けとしてもよいかもしれない。

    本書は基本的に「清水さんが話を聞く」というスタイルなので、本人がノッている場面とそうでない場面で、あからさまにテンションが違っているのが面白いところだ。言い換えれば、この本はあくまで「清水さんが見ている世界」を表現しているだけなので、考え方に対してどのようなポジションをとるかは個人の自由である。そういった意味で、興奮しつつもかなり客観的に書こうとしている前書と、こちらではかなりニュアンスが異なる。それでも、どういった方向性に進むのか・・・といったことを知るには最先端の方に話を聞くのが一番というのは、全くその通りだと思うし、その内容をこれだけわかりやすく噛み砕いてくれる本書は入門書にうってつけだと思う。

  • 天才プログラマー清水亮が、人工知能分野で先端を行く人々との対談を記録したもの。

    対談相手は、東京大学教授 松尾豊、トヨタ研究所エグゼクティブ・リエゾン・オフィサー岡島博司、NVIDIAディープラーニングアーキテクト兼CUDAエンジニア 村上真奈、ヤフージャパン研究所所長 田島玲、慶応大学教授 前野隆司、慶応大学准教授 満倉靖惠、ドワンゴ人工知能研究所所長 山川宏、PEZY Computing社長 齊藤元章の8人である。

    松尾氏はAIの機能を、認識・運動・言語として、認識はすでにやることがないところまで行っているという。認識の機能は、農業、建設、食品といったジャンルにどんどんこれから広がる余地があるともいう。

    AIベンチャーのPreferred Networkが注目の企業とされているが、先日トヨタから増資を受け、日本ベンチャーとして期待を集めている。トヨタのAIへの取組みは、資金力もあるし、グローバルな知名度もあり興味があるところ。岡島氏からも決意のほどがうかがえる。

    NVIDIAの村上さんと話をしている清水さんはとても楽しそうだ。

    前野さんとの対談では、リベットの実験や運動準備電位といった意識の話が当然出てくる。深層学習の果てに人間の意識の解明につながる何かが出てくるのかということはとても興味があるところ。

    ドワンゴの山川さんとの対談でも脳内の神経ネットワークの話が出てくる。コネクトームというワードも出てくる。自分の興味がつながってくるようでとても楽しい。

    AGI (Artificial General Intelligence)だけでなく将来にはASI (Artificial Super Intelligence)が出てくるというとSF感たっぷりなんだけれども、全く非現実な感じもしない。今のディープラーニングの使われ方は、まだ入り口の入り口でしかない、という齊藤氏の言葉は多くの人が共有するところでもある。

    対談本というのは、面白くないものになることも多いのだが、この本は清水さんの人選とともに、清水さんの深く広い見識と、その清水さんが一歩下がって相手を引き出しつつ全体としてまとめるという工夫がされているので大変読みやすく、内容も興味深い。人工知能自体が今とても面白いことになっているというのもある。
    結構、お勧め。


    ---
    『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4040800206
    『マインド・タイム 脳と意識の時間』ベンジャミン・リベットのレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/400002163X
    『脳はなぜ「心」を作ったのか「私」の謎を解く受動意識仮説』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4480427767
    『コネクトーム:脳の配線はどのように「わたし」をつくり出すのか』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4794221657
    『人類総プログラマー化計画~誰でもプログラミングできる世界を目指して~』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/B012N158RS

  • 7年前の本ですが、今読んでも面白い!
     
    人工知能
    ChatGPTをはじめとした生成AIだとか、AlphaGoだとか、ディープラーニングだとか、エンジニアでなくてもこの言葉を聞かない日はない、というくらい最近は話題の絶えないものの一つとなっています。
     
    しかし、そもそもプロ棋士を破ることや数々のキーワードから綺麗な絵を描くことができたら、『人間的な知能』と呼んでいいのか?
    感情のない知能は、ただの機械からまだ脱しきれていない感じがして、『人工知能』と呼ぶには賞賛しすぎなのではないかという気が個人的にはしていました。
     
    本書を読んでいると、その辺りの感じ方も人それぞれです。
    個人的には慶應の満倉准教授の意見がすごく腑に落ちました。
    「今の人工知能研究にはホルモンの要素が欠けている」

    満倉准教授の話はすごく面白くて、
    ・人間の感情は電気信号
    ・人間の感情は能動ではなく受動
    ・ホルモンの要素を入れれば、人工知能が感情を持つことは可能
    (かなり意訳)なんてワクワクしながら拝読しました。
     
    感情が電気信号なら、コンピュータに感情を持たせることが可能になりそうですね。
     
    2023年の7年前の著作ですが、当時からの進捗具合を採点しながら読んでも面白い本書、おすすめです。

  • 007

  • 人工知能と深層学習、深層学習はビジネスをどう変えるか?、最新のAIはどこまでできるのか、人工知能は意識を持つのか?、ディープラーニングの先にあるもの、と言ったテーマで、各界の識者と対談が進められていきます。

    対談は以下の面々。
     人工知能、深層学習で著名な、松尾豊氏
     元トヨタの岡島博司氏 自動運転やロボット
     グラフィックチップのNVIDIA社の村上真奈氏
     元IBMでヤフージャパン研究所所長の田島玲氏
     受動意識説の慶應大学教授の前野隆司氏
     慶應大学准教授の満倉靖恵氏は、ホルモンの要素を人工知能にという取組みをしている。
     ドワンゴ人工知能研究所所長の山川宏氏 は、汎用人工知能への取組み。
     清水亮氏と人工知能領域で活躍している学術、ビジネスの識者との対談。
     最後の対談では、Pezy computing の齋藤元章氏。

    個人的に興味深かったのは、受動意識説を提唱している慶應大学の前野隆司氏。

    「意識」と機械学習の関係性と人類を考えると、非常に深いところに入っていきながら、哲学的要素との融合も導けそう。計算機、コンピュータの研究が哲学まで昇華するとは…

    国産スパコンベンチャーPEZY Computing 社長の齋藤元章氏 この人、かなりぶっ飛んでて世界で戦えるバイタリティー感じる人なのですが、国費を流用したと2017年に訴えられちゃって社長辞任。国費流用?作業費用の不正な手続きがあったそうだが、この破天荒な人に、この罪はちと不釣り合いというか、捕まえる側は捕まえる理由があるのだろうが、この件で一線を引いてしまいそうで、残念。

    読み物として、読みやすいし、どの領域が人工知能で熱いのかを分かる点で、思った以上に良かった。

  • AIの発展の流れがよくわかる本だった。
    ディープラーニングやニューラルネットワークなど、よく耳にするけど意味はよくわからない用語
    が身近な例で例えられていて、非常にわかりやすかった。
    また、脳科学者など他の分野の専門家との対談もそれぞれの見地から知らなかった話が聞けて大変面白かった。
    AIの概要を掴むにはとてもいい本だと思います。

  • この類の本全般に言えることだが、別に本を読んだからといって特別額が深まるわけではないことを最初に書いておこうと思う。そうでもしないと、勘違いする人があまりにも多そうだからである。

    先述した通り、特段知識や学が深まるわけ絵はないのだが、なんといっても、様々な分野の著名人が対談をしてくれているのを紙ベースで読むのは大変面白かった。
    多角的な視点から見るという点において、広義では「よくわかる」ということなのだろうな。そういう風に思いました。

  • 著者含めて最先端の人工知能関連に携わってる方々の
    対話形式の内容。ちょっとついていけないぐらい最先端であり
    創造の世界の話で、引き込まれる。
    内容的に難しい部分もあるが、本の中で出てくる
    人工知能の工学というより自然科学的というより内容に
    興味を惹かれた

  • 今話題の 「ディープラーニング」について知りたい!

    2017/02/10  予約 8/3 借りる。 8/9 読み始める。8/22 途中で返却、再度読みたい。

    よくわかる人工知能 最先端の人だけが知っているディープラーニングのひみつ

    内容と目次・著者は

    内容 :
    現在の人工知能を取り巻く状況とは? 今の人工知能に足りないこととは?
    人工知能が完成したとき、どんな世界が待ち受けているのか?
    研究者や人工知能をビジネス化している企業の担当者たちとの対談により解き明かす。

    なぜ深層学習が革命的なのか? p14-38
    松尾豊 松尾豊‖述 p42-70
    4大IT企業がこぞって公開する深層学習フレームワークのねらい p79-85
    岡島博司 岡島博司‖述 p86-105
    深層学習戦争の鍵を握るハードウェア p105-107
    村上真奈 村上真奈‖述 p110-121
    劇的な進化を続ける深層学習用ハードウェアと課題 p122-124
    ヒューマン・エンハンスメントとしてのAI p128-130
    コンピュータ・グラフィックスとAIの相克性 p130-136
    CGを生成して騙そうとするAIと、騙されないように見抜くAIの対決 p136-139
    予測する人工知能 p139-141
    写真を説明するAI、説明から写真を描き出すAI p141-143
    アートとしてのAI p143-144
    データマイニングと人工知能 p144-153
    田島玲 田島玲‖述 p156-170
    深層学習を応用した超人工生命LIS(Life In Silico) p176-180
    意識は全て幻想である p180-183
    前野隆司 前野隆司‖述 p184-211
    満倉靖恵 満倉靖恵‖述 p214-239
    世間話から哲学的な問いまで会話で答える人工知能 p250-253
    汎用人工知能(AGI)とは? p253-254
    山川宏 山川宏‖述 p256-285
    一般超知能(ASI)はいかにして出現するか p285-287
    齊藤元章 齊藤元章‖述 p290-322

    著者 : 清水亮
    株式会社UEI代表取締役社長兼CEO。株式会社ドワンゴ会長室第三課長を兼務。
    著書に「教養としてのプログラミング講座」「実践としてのプログラミング講座」など。


     

  • 予約して購入。凄い面白い。

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著者プロフィール

日本学術振興会特別研究員

「2022年 『「予科練」戦友会の社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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