アリクイのいんぼう 運命の人と秋季限定フルーツパフェと割印 (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048935777

作品紹介・あらすじ

「有久井と申します。シロクマじゃなくてアリクイです」
 ミナミコアリクイの店主が営む『有久井印房』は、コーヒーの飲めるハンコ屋さん。
 訪れたのは反抗期真っ只中の御朱印ガール、虫歯のない運命の人を探す歯科衛生士、日陰を抜けだしウェイウェイしたい浪人生と、タイプライターで小説を書くハト。
 アリクイさんはおいしい食事で彼らをもてなし、ほつれた縁を見守るように、そっとハンコを差し伸べる。
 不思議なお店で静かに始まる、縁とハンコの物語。

感想・レビュー・書評

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  • ★ほんと、ハンコって人生変わるわよねぇ(p.160)

    ・ストーリーはともあれ会話とキャラクタの楽しさに一読の価値があるシリーズ。第二巻。ストーリーもけっこうひねりがあるけど。
    ・今回はかすかにミステリっぽいところもなく。
    ・父親との間がぎくしゃくし学校でいじめにあっている女子中生は御朱印を集めていた。
    ・有久井さん恋される。
    ・予備校の喫煙所で二人のクズがくすぶっている。
    ・ハトとかぴおくんがいつもケンカしている理由がわかる。

    【一行目】蚊に刺されて一番最悪なのは、むこうずねの辺りだと思う。

    ▼有久井印房についての簡単なメモ(巻数のない引用は第一巻と思う)

    【アザミ】字箕。一浪中の予備校生。無職の三十五歳へ続くレールの上にいる。映画好き。クズメガネ。「で、」で優位に立とうとする。宮前大良の友人のようだ。
    【有久井印房/ありくいいんぼう】食事と印鑑の店。ミナミコアリクイの有久井さんが店長。
    【有久井まなぶ/ありくい・まなぶ】有久井印房のご主人。種類はミナミコアリクイ。鼻はいいが目が悪いのでコンタクトレンズを使っている。乙女はとりあえず抱きしめたいと思う。爪でハンコを掘る。チタンも掘れるらしい。こわっ!
    【育実/いくみ】鈴掛台次郎と花枝の娘。プロのオカリナ奏者で世界を飛び回っている。チーズが好き。
    【池尻】一浪中の予備校生。無職の三十五歳へ続くレールの上にいる。金髪で卒業アルバムに載ろうと前日に染めてそのままずっと金髪のままなアホ。「…けどさ、」が口ぐせ? 宮前大良の友人のようだ。
    【市顔ささめ/いちがお・ささめ】望口デンタルクリニックのアルバイト歯科助手。歯科衛生士を目指している。職場にコスプレっぽい服で来る女。
    【一寸ちゃん/いっすんちゃん】会社での江田真夜の後輩。有久井印房の近所に一寸堂という文房具店があるが関係あるかどうか不明…珍しい名前やし展開上あるのでしょう。
    【一寸堂/いっすんどう】有久井印房の向かいにある文房具店。美人の奥さんが有名でチョットさんと呼ばれている。
    【院長】望口デンタルクリニックの院長。何よりもプロレスを愛している。アラフォー。結婚はしている。
    【宇佐ちゃん】有久井印房の店員。ウサギの若い女性。営業のプロである江田真夜が彼女は有能な営業になれると太鼓判をおした。
    【AN】ノナは(ひそかに)父親のことをこう呼ぶ。アナログネガティブの略。
    【江田真夜/えだ・まよ】おいしそうな名前。オフィスビル賃貸の営業。ブラックな体質だが江田真夜はけっこう満足している。三十歳。
    【M先生】音大で宮前文乃のピアノの先生。
    【かぴおくん】カピバラ。有久井印房にいる職人。名刺やスタンプのデザイン担当。無口だがときおりダジャレか哲学ポエムを発する。
    【カピバラ物流望口営業所】有久井印房の近くにある。江田真夜が物件を売ろうとしている。カピバラマークの通販サイトはここの経営ではなかろうかと思われるが価格が安い代わり届くのに一週間かかる。
    【かぴばら不動産】鈴掛台次郎が家を売ろうとしている不動産会社。マスコットキャラクターとしてSUUMOくんならぬすもうくんがいる。
    【川沙希市望口/かわさきし・のぞみぐち】有久井印房がある。カピバラの名を冠するものが多い。
    【グランパレス火毘腹/かぴばら】「僕」の一家が住むことになった。
    【景観】《僕が定義する「景観」はただの景色ではなく、大人になってから懐かしさとともに思いだされる心象風景だ。》p.221
    【琴葉野彩華/ことばの・あやか】占い師。いずれ登場することもあるかも?
    【鷺沼】アザミや池尻と同じく予備校の喫煙所でくすぶっていた二浪パイセン。
    【鈴掛台次郎/すずかけ・だいじろう】ものがなんでも見つからなくなる呪いにかかっているような家を売るために実印を作ろうとする。六十九歳。すぐ噴火する。
    【千弥/ちや】三元千弥。東僚太の現在の彼女。フォローしにくいないないづくしの女。
    【チョットさん】すごい美人で《なんか歩くたびにチリンと風鈴がなりそうな色っぽさ。》第二巻p.39。一寸堂の奥さん。
    【俊子】七瀬の実母。父と結婚した。前の姓は西野。仕事はトリマー。
    【七瀬】昨日から姉になった。十七歳の女子高生。じつは僕の父と結婚して僕の母になろうと目論んでいたが実の母に先を越された。将来海賊王になるかもしれない。
    【根津/ねづ】江田真夜と同じ会社の契約管理課。なにかとうっとうしい男という印象だが他の社員からの受けはいい。
    【望口高校】七瀬の通う高校。
    【ノナ】月観野菜と書いて「つきみ・のな」と読む。中学生かな。趣味というのではないが御朱印を集めている。《わたし、本当にずっと楽しくなかったんだ……》第二巻p.44
    【パークハイム叙七三/じょなさん】僕や七瀬の家族が以前住んでいた。
    【ハト】ジョナサン・ハートミンスター。通称「鳩なんとかさん」。有久井印房の客。いつもタイプライターをつついてなにやら書いている。自称ブンシバト。
    【花枝】鈴掛台次郎の妻。鈴掛花枝というきれいな名前となる。故人。わりとお気楽な性格だった。
    【ピザトースト】《ピザトーストは実に懐が深い。》p.101
    【否定】ノナいわく《否定の言葉にはトゲがあって、いつまでも相手の心に刺さる》第二巻p.9。アザミいわく《僕たちはなんだって否定する。》第二巻p.199
    【僕】姓は筑紫野。達観した小学六年生。七瀬ときょうだいになった。
    【真夜/まよ】→江田真夜
    【ミナミコアリクイ】有久井さんの種類。威嚇(かわいらしい)が有名。
    【南マチ】ノナと同じクラスの生徒。いつらか目立つ。性格はわるい。
    【宮前大良/みやまえ・だいら】音大の学生。ピアノ科。注文した通販の商品が届かないことがある。バイトでかぴばら不動産のマスコットキャラクターすもうくんの中の人をやってる。じっとしているだけなので眠っていることも多い。どうやら後の登場人物、アザミと池尻の友人で裏切り者のようだ。
    【宮前文乃/みやまえ・ふみの】音大を辞める予定。ピアノ科。通販生活が普通で自分が注文したものも覚えていない。トリアタマとよく言われる。実家は島根でいつもカニを持っている。この作中屈指のおもしろい人。もしシリーズ化するならぜひレギュラーになってほしい。
    【ミルフィーユ】有久井さんのつくるミルフィーユは「……もふっ」「もふふっ」。
    【ユウコさん】ハトが探している女性。かもしれない? チョットさんかもしれない?
    【夢をかなえた】《だって、『なりたい自分』がないってことは、いまの自分が一番ってことじゃないですか。》p.63
    【予備校の喫煙所】たむろするのはアザミ、池尻。
    【楽(らく)と楽しい】《僕たちは楽だけど、楽しくない》第二巻p.176
    【僚太/りょうた】東僚太(ひがし・りょうた)。凛花の元カレ。とはいっても高校一年生の頃でキスすらしてない。いまも友人。顔だけはいいらしい。こいつのせいで歯科衛生士人口が増える。
    【凛花/りんか】中応凛花。望口デンタルクリニックの歯科衛生士。三十代。マスク美人。患者から告白されることが多いが虫歯の男は患者にしか見えないのでつきあえない。「運命の人」の登場を待っている。江田真夜の友人。

  • 今回は少し重い事情を抱えてるひとが多く、少し読み終わるのに時間がかかりました。アリクイさんは可愛いし印房のみんなはいいひとですが、なかなかな重さでした。

  • ほっこりする。
    途中とあとがきがやたらギャグ(コメディ?)チックだけど、息抜きができる感じでよかった

  • アリクイさんが店主でしゃべる動物たちのいるカフェ兼はんこ屋さんのシリーズ2巻目。
    なんともほっこりするお話は相変わらず。
    前作登場人物もカフェの常連になっているようでなんか嬉しい^^ 

    けれど3話目はちょっとそれまでとは毛色が違う感じがした。
    具体的にはコメディ風味。
    その流れは最後のあとがき風短編でさらに加速した。
    もしかしてこっちの方面に向かうのでしょうか?笑 

    それにしても鳩何とかさんとかぴおくんとチョット夫人にそんな因縁があったとは!
    いつか現在進行形の話も描かれるのかな?

    あと、このカフェは異世界説には納得した^^

  • ちょっとお客の残念感が目立つ。
    もう少しアリクイさんも積極的に絡んで、話にほっこりとした雰囲気を足して欲しかったかな。

  • 浪人生の話が刺さりました。
    私も毎日「楽しい」より「楽」をしているかもしれない・・・。

  • 神社仏閣巡りは大好きだけど、なんとなく敷居が高い気がして手を出していない御朱印集め。印としての見方もあるのかと、関心した。
    が、しかし、やはり敷居が高いので、まだ御朱印集めには手が出せない。

    歯科衛生士の話はちょっと無理があるような感じが。。。全体的に可愛らしい感じがする本作品で、妊娠検査薬購入のくだりはちょっとエグい……。

  • 【あなたの節目に縁を彫る。ここはアリクイが営むおいしいハンコ屋さん。】

    「有久井と申します。シロクマじゃなくてアリクイです」
     ミナミコアリクイの店主が営む『有久井印房』は、コーヒーの飲めるハンコ屋さん。
     訪れたのは反抗期真っ只中の御朱印ガール、虫歯のない運命の人を探す歯科衛生士、日陰を抜けだしウェイウェイしたい浪人生と、タイプライターで小説を書くハト。
     アリクイさんはおいしい食事で彼らをもてなし、ほつれた縁を見守るように、そっとハンコを差し伸べる。
     不思議なお店で静かに始まる、縁とハンコの物語。

  • 前巻に比べるとエピソードが小粒な気はするが、全体としての爽やかな雰囲気は健在。ストーリーを追うごとに主要キャラの過去が明らかになっていく構成もいい。

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著者プロフィール

◆著者
鳩見すた(はとみ・すた)
『ひとつ海のパラスアテナ』で第21回電撃小説大賞で“大賞”を受賞しデビュー。著書に『アリクイのいんぼう』1~4巻、『ハリネズミと謎解きたがりなパン屋さん』1~2巻、『秘密結社ペンギン同盟 あるいはホテルコペンの幸福な朝食』1~2巻、『種もしかけもない暮らし ~花森姉妹はいまが人生で一番楽しい~』(KADOKAWA)、『こぐまねこ軒』1~2巻などがある。

「2023年 『江ノ島は猫の島である ~猫を眺める青空カフェである~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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