むかしむかし あるところにウェルビーイングがありました 日本文化から読み解く幸せのカタチ
- KADOKAWA (2022年1月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048971645
作品紹介・あらすじ
ウェルビーイングを第一線で研究する予防医学研究者・石川善樹が3年間没頭して観続けたもの、それは「昔話」のアニメだった―
2022年の最重要ワードのひとつ、「ウェルビーイング」(=心身ともに健康で満たされている状態のこと)。
その本質に迫るカギは、昔話をはじめとした古事記、アイドル、和歌などの日本文化に隠されていた。
予防医学研究者・石川善樹×人気ラジオアナウンサー・吉田尚記が贈る、いちばんやわらかいウェルビーイング本。
人気ポッドキャスト番組『ウェルビーイング ~旅する博士と落語するアナウンサー』を大幅に加筆・修正して書籍化!
感想・レビュー・書評
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ウェルビーイングとはなにものか?
ビジネスでは因果を重視し、ウェルドゥーイング、パーパス、さらに上を目指すのをよしとするが、因縁を重視し、ただ「いる」「ある」ことをよしとしとする。
ウェルビーイングとは、人生全体に対する主観的な評価である「満足」と日々の体験に基づく「幸福」が影響。
さらに奥を目指し、ハプニングを受け入れ、首尾一貫した人格でなくても良い、自己肯定感は低くても良い、自他に寛容になる、ゼロ地点に戻ること。日本昔ばなしがいい例。
東西文化で異なり、アイドルも天皇も仏も推し、何がよいかは人それぞれで人のを見て憧れはあってもハックできず。
なるほど、どれも腑に落ちた。
169冊目読了。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本人にとってのウェルビーイングを考える本。WHOの幸福度ランキングのような西洋基準でのものの見方ではなく、東洋には東洋の、日本には日本の価値基準に合った見方があるのではないかと話が進められる。
面白かったポイントは、昔話での個人の描き方。西洋の物語の多くは、若者が「個」を強化し、高めていくことで理想のありたい姿に近づこうというもの。それに対して日本は名無しの老人の身に起こった日常やハプニングを描き、最終的には元の日常に戻るというもの。西洋が立体的な上下の空間認識の上で成り立っているのに対して、日本は平面的なのっぺりとした空間認識の元に成り立っているんだと思った。
そうした日本の精神的な平面性が西洋的な「何かをして、何者かになる」ではなく「同じ地平に存在する」ことに価値を見いだすのではないか。
その他にも「奥」という概念や「連」と『号」という「分人主義」的な考えが古くからあり、また単純にその存在を尊ぶ心などが現在の日本人のヲタク文化へ通じる部分を感じさせられた。
日本人的なネガティブさ=自己否定による謙遜の例も挙げられていたが、「沼に落ちる・はまる」のような言葉も、平面的な空間から自己卑下して落ちる感覚がそのような表現につながっているのかもしれない。「平面の下に落ちる」感覚はあれど、「平面から上がる」感覚は持ち合わせていないのが日本人なのかしら。 -
■記憶に残すこと
・日本人は謙遜の文化着強いため。自己肯定が苦手であり、自己否定を否定することで自己肯定する。
・欧米人は上を目指し、日本人はプラス過ぎずマイナス過ぎない0を目指す。
・安心と驚きの両方を求める。
・目先の驚きを経験することで長期的な驚きを減らす。
・理系的なアプローチは普遍性や再現性が重要であり、文系的なアプローチはその瞬間の文脈に対応することが重要であるという違いがある。
・人間の本質は遊びであり、移動を繰り返し、未知を求める姿である。 -
イキイキの元祖的立ち位置の方の話。
Do社会の対比にBeの考え。
する・やるの視点からいる・あるでまずは幸せ(前頭前野の左側活性化状態・一過性)とウェルビーイングを分ける。
SVOで考える西洋視点と、落語や昔話から考える何も起きない日本的視点の見直し。
上より奥とあるが奥の説得力はやや弱い。
ただ、旅や出張に近場のカフェでの仕事の例のように、小さなハプニングにより結果的な大きなハプニングに備える考えは好き。
古事記の神様の三人目の引用の話はおもしろく、三択目が無であってもいい、受け入れてもいい考えが大事かも。 -
日本的なウェルビーングがわかりやすく。納得させられた。するとことではなく、ただいること。0に戻る幸せ。日本昔ばなし。さまざまなエピソードや切り口で、ウェルビーングとはなにかに気づかされ、今後の生き方や気持ちのもちかたに影響を受けると思うよい一冊でした。
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日本的なウェルビーイングとはなんだろう?古事記、古今和歌集、日本むかし話などから探っていっている。たしかに、日本の昔話はおじいさんとおばあさんが多い!
ウェルビーイングについて書いてある本で、今のところ一番しっくり来ます。
「上より奥」「因果でなく因縁」「いるを意識してもつ」 -
幸せを色んな方向から見てみたくて読んだ
それが叶った本やった -
今流行り?のウェルビーイングを学ぼう、と、読んだが、思った「学び」な本じゃなかった。
読みやすくて、柔らかな気持ちになる大変面白くて心に良い本でした。
最近は好きな文芸評論・文化考察的な話から、最後は、思いがけず、旅について。
まさに、な言葉が。
あぁ、やっぱり旅に出たい。
今、私を「いる」だけの存在にさせてくれるのは、旅と、ラグビーかな。
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ウェルビーイングは「する」「なる」や自分から離れられたときに生じます。
そして人は遠くに移動した時、孤独を感じると同時に、ただの「いる」だけの存在になれます。移動した旅先の土地では、普段の自分がまとっている肩書きや役割、役職を取っ払って、素の自分のままでいられるからです。
一人旅を好む人は、そのことが自身の心に深い安心感と開放感をもたらしてくれることを無意識のうちに理解しているのでしょう。
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#読書記録 #むかしむかしあるところにウェルビーイングがありました #石川善樹 #吉田尚記 -
幸せのかたちはそれぞれ。
北欧式の幸せが言われるし賞賛されるところだが、日本文化から読み解く幸せのかたちは私たちに必要な視点なのかもしれない。
読んでよかった本。